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2006-09-27

元に戻った?「新仁義なき戦い 組長最後の日」

 およそ30年ぶりに観ることができた深作欣二監督の「新仁義なき戦い 組長最後の日」は、実録やくざ映画というより、きっちり、実録やくざ映画より前時代の任侠映画でありました。

 「仁義なき戦い」シリーズといえば、東映のそれまでの任侠映画のパターンを覆した実録やくざ映画のトップに立つ作品群として有名です。
 ことに、長年、任侠映画の脚本を担当してきたシナリオライター・笠原和夫が手がけた初期の4作品、「仁義なき戦い」(1973年)「仁義なき戦い 広島死闘篇」(同)「仁義なき戦い 代理戦争」(同)「仁義なき戦い 頂上作戦」(1974年)の連作は、それまでの「俺の目を見ろ、何にも言うな」式のウエットなやくざ映画の方式を根底から覆し、ノンキに相手の目を見ていたら命も取られかねないやくざ世界の抗争を描いた作品群として日本映画史上に記録されています。

 この転換は、かつて、美男美女が出てくる、きれいなきれいな東映時代劇群が「用心棒」や「椿三十郎」などの黒澤明監督によるモノクロの、色気がないといえばない時代劇の出現でぶっ飛んでしまったのと同じくらいの衝撃的な出来事でした。
 ただ、その時代劇の交替と異なったのは、東映時代劇が東宝製という他社の時代劇に駆逐されたのとは異なり、時代劇以後の東映が掘り当てた「やくざ映画」の金鉱を東映自らが趣を異にしたことで、しかも、監督の深作欣二はともかく、それまでの任侠映画を支えてきた笠原和夫自身が従来のやくざ映画を潰してしまったことに驚きがあったのです。

 ところが・・・。


 「新仁義なき戦い 組長最後の日」は、このシリーズにおける深作欣二監督の最後の作品ですね。
 脚本も、最初の連作4作品で笠原和夫が「俺、もう疲れちゃったよぉー」と降板した後、任侠映画時代では傍流であった高田宏治や主に東映東京の現代やくざ映画のシナリオを担当していた神波史男、東映京都撮影所の労働争議の最中、助監督から監督に昇進して物議をかもした荒井美三雄などが手がけています。
 この作品の脚本は高田宏治ですが、笠原和夫による4作品以後、「新仁義なき戦い 組長最後の日」までの約3年間、ネタが尽きてしまったのでしょうか、今から観ると「なんやねん、コレ。任侠映画やないかー」というような筋立てになっております^^

 主演は菅原文太。これは1作目以来、変わっていません。しかし、役者は変わらねど、キャラクターは既に広島やくざの広能昌三ではなく、北九州の炭鉱の町で育った男として登場しています。
 大阪を中心とする関西やくざと、北九州のやくざ軍団が揉めています。そんな中、文太が若いころから世話になった親分(多々良純)が関西やくざの鉄砲玉によって殺されます。
 文太は親分の跡目を継ぐ存在として目されていますが、名和宏や織本順吉をはじめとする九州のほかの親分たちは「親の仇もとらんで二代目にはなれんのう」と言って敵討ちをそそのかします。そそのかされなくても、文太は亡き親分の仇を討つことを心に秘めています。
 そんな矢先、関西やくざの申し入れがあり、「やくざ世界の大同団結のために」という大義名分で関西と九州のやくざが手打ちで仲良くなり、九州の親分たちは文太に敵討ちの中止を命令します。
 このあたり、「仁義なき戦い」シリーズらしいといえば言えますよね。このシリーズでは、その時の都合で言を左右する人間がワンサカ出てきています。
 ところが、いったん、決意に火がついた文太は収まりません。「仇を討てと言ったのは、お前らやないか」とばかり、徹底的に親分の敵討ちに突っ走り、関西やくざのトップ(小沢栄太郎)をつけ狙ってゆきます。

 「仁義なき戦い」シリーズ以前、文太映画には組織もクソのない、己の欲望のまま暴れまくるチンピラを主人公にした「人斬り与太」シリーズがありましたが、この「新仁義なき戦い 組長最後の日」の文太は人斬り与太のような無軌道なキャラクターではありません。
 まるで、ひところの高倉健が演じた男たちのように普段は寡黙な男です。おまけに、やくざ世界に関わっていることを潔しとしない面もうかがえます。そんな物静かな男がいったん決心すると、もう迷うことなく己の信条を貫き通そうとします。

 これって、前時代の任侠映画の主人公のキャラクターでしょ?
 笠原和夫による「仁義なき戦い」シリーズ初期の4作品の主人公・広能昌三ですら、ここまで突進するキャラクターではなかったですよね。

 「仁義なき戦い」シリーズという実録やくざ映画は、回り回って最後は一昔前の任侠映画に回帰していたことが30年たった現在、見えたということはボクが気付くのが遅かったのか、どうか・・・
 以後、このシリーズは工藤栄一監督による「その後の仁義なき戦い」で根津甚八や宇崎竜童が主演して変質し、さらには豊川悦司や布袋寅泰、高橋克典、渡辺謙などの俳優が登場して新たな映画となっています。
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欧米か?

 『仁義なき戦い』を観るときは、副読本として「昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫」が手放せない私です。近年の映画本の中でも一、二を争う面白さですね。同様に深作欣二のインタビュー本もありますが、圧倒的に聞き手の意識の違いがあるようです。
 さて、笠原脚本ではない『新仁義なき戦い 組長最後の日』は、どちらかといえば『仁義ある戦い』といった感じでしょうか。やはり少し格が落ちる?
 しかし、このシリーズは『ゴッドファーザー』に通じるものがありますが、欧米人が観ると、同じ役者が違う役で、しかも主役級で出ているので、シリーズ(正編の一作から五作)を通して観ると、実に不思議に見えるでしょうね。

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