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2006-07-12

69)成瀬映画のような「ジャスミンの花開く」

 「パープル・バタフライ」に続く、チャン・ツィイー主演の日本公開の新作は2004年製作の中国映画「ジャスミンの花開く」(監督=ホウ・ヨン、原題名「茉莉花開」)です。
 1930年代、上海事変直前から始まる祖母、母親、娘の三人の女の物語で、1980年末までのおよそ50年にわたる女たちをチャン・ツィイーが一人で演じ分けています。そりゃもう、チャン・ツィイーワンマンショーの趣があり、ファンには楽しめる映画ですね^^
 上海の町角に建つ写真館を舞台に1930年代の主人公は映画好きが高じて映画女優になる茉(モー)、その娘で1960年代の文革時代を背景に主人公となる莉(リー)、そして文革時代以後の新中国に生きる莉の娘、花(ホア)のそれぞれの人生が描かれています。
 莉は映画女優だった茉が映画会社社長との間に設けた茉の実の娘ですが、莉の娘、花は血のつながらない養女です。茉と莉は実の親子ですからチャン・ツィイーが一人で二人を演じてもおかしくはありませんが、本来、血のつながらない花までもをチャン・ツィイーが演じているという、この強引さは天晴れというほかありません。
 人気俳優に憧れ、映画館に通う若い茉に突然、舞い込んだ映画女優への道。茉は一躍サクセスストーリーを歩み始めますが、写真館を経営する彼女の母親(ジョアン・チェン)は「映画俳優なんて・・・」と必ずしも賛成ではなく、やがて茉が映画会社の社長(チアン・ウェン)と関係を持つと「あの男とは別れたほうがいい」と諭します。しかし、舞い上がっている茉は聞く耳を持ちません。
 この母親の言葉は、莉の時代にも花の時代にも似たようなセリフで登場します。つまり、三人の女は出会った男で苦労するのですね。
 そんな言葉を娘に言ったこの母親ですら、長い寡婦としての末、美容師の男と親しくなったものの、その男が娘の茉と関係したことから自殺してしまいます。この母親を入れると、映画は四人の女の物語にもなっています。
 
 人生というもののおかしさは、かつて母親に「あの男とは別れたほうがいい」と言われて反発した茉が、今度は自分が母親となって娘が年ごろになって恋人ができた時、自分も同じようなことを娘に言っているという皮肉さですね。莉は勝手に結婚し、夫の家族との不和を経て子どもができないことがネックとなり、夫婦とも悲劇的な最期を遂げます。
 さらに、茉の不幸は孫の花にまで同じようなことを忠告していることです。祖母の忠告にもかかわらず、花も祖母に黙って恋人(リィウ・イェ)と結婚しますが、男はエリートコースから外れ、日本に留学した揚げ句、心変わりしてしまいます。しかし、その時、すでに花は自分を捨てた男との子どもを身ごもっています。
 花が子どもを生んだ時、すでに祖母の茉は亡くなっていますが、娘夫婦の死後、孫の花を育て上げた茉が娘の莉を生んでシングルマザーにならざるを得なかったのと同様、花もシングルマザーとなったことも茉にとっては不幸なことだったかもしれません。

 およそ50年にわたる女三人の生き方をオムニバス風に綴った年代記映画ですが、観ているうちに、ふっと成瀬己喜男監督の映画を観ているような匂いを感じたのは、成瀬監督も同じようなドラマをよく描いていたからでしょうか。もちろん、成瀬映画で高峰秀子や淡島千景、司葉子、三益愛子などが演じた女たちを、この映画ではチャン・ツィイー独りが演じているわけですが、女の哀しみと強さ、それは共通しています。
 夫に去られ、祖母にも死に別れて独りになった花が土砂降りの雨に打たれながら子どもを出産するシーンがありますが、圧巻です^^
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