--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2006-06-20

59)京言葉で悩殺の「幕末残酷物語」

 1964年の加藤泰監督作品「幕末残酷物語」は、新選組映画です。
 加藤泰の師匠ともいうべき伊藤大輔監督の作品に「興亡新選組 前史・後史」(1930年)という幕末の幕府方御用集団であった新選組の興亡史を描いた映画がありますが(現在、フィルムが失われていて観ることはできません)、しかし、この「幕末残酷物語」は新選組の興亡を描いた映画ではありません。
 舞台をほとんど新選組の局内に限った、組織の矛盾を追求した作品で、タイトルが示すように局内で人が殺されるようなことがあれば、モノクロ画面に血が噴出するような映画です。
 主演は大川橋蔵。橋蔵といえば、白塗りの時代劇スターとして東映時代劇ではライバル視された中村錦之助(後の萬屋錦之介)と人気を二分した俳優です。錦之助が単なるチャンバラだけではない時代劇に主演したのを受け、たびたび彼もチャンバラだけではない時代劇に挑戦しました。しかし、錦之助の成功に反し、橋蔵の場合はことごとく失敗したといっても過言ではないでしょう(トミーファンの方々、すみません)。
 この時期、橋蔵の映画時代は後期に入っていましたが(最後の映画は1967年の「銭形平次」)、この「幕末残酷物語」は、いつもの橋蔵臭を消し去った演技を見せている映画といえます。
 そんな橋蔵が、この映画で演じたのは無理にでも新選組に入隊しようとする田舎出の青年武士です。そして、無事、新選組に入隊した橋蔵が心を通い合わせる女性に扮したのが藤純子でした。

 「あ、動いたら・・・。動いたら痛とおすえ」

 映画の中で初めて登場した時の藤純子の第一声です。純子は、殺伐とした新選組屯所の片隅にある台所で働く女中に扮しました。
 入隊試験の模擬試合で気絶してしまった橋蔵が息を吹き返し、その主観の画面の中に、ふくよかな笑みをたたえて純子は登場します。守り袋を手にして純子の言葉は以下のように続きます。

 「おうちがつけておいやした、この成田さんのお守りが・・・」

 守り袋のおかげで命拾いしたという意味ですが、短いセリフながら、純子の話す京言葉を耳にしただけで、もう参りました^^とろけそうになりました^^純子の京言葉が実に色っぽいのです。色っぽいといっても年増のそれではありません。この年、純子は19歳から20歳になるころです。
 画面の中に現れた純子は、決して洗練された美しさを持つ女の子ではありません。むしろ、その逆で、イモっぽいといってもいいくらいです。いかにも京都周辺の田舎から都に働きに出てきた女の子という感じですが、その年代に特有な健康的な色っぽさに満ちあふれています。
 そして、この京言葉。後年、純子は女博徒映画などでメリハリのある口調を披露しましたが、このころの純子の声はやや太く、しかし、おっとりとした、優しさのこもった京言葉を聞かせてくれています。
 最初のこの京言葉を聞いただけで、ファンとしては「やったぁー!」のガッツポーズなのでした^^

 ずっとあとになって、加藤泰監督にインタビューした時、この映画にも触れ、この女中の役に藤純子を起用したのは、この映画の助監督を務めている鈴木則文監督の推薦だったそうです。先に加藤監督の「車夫遊侠伝 喧嘩辰」(1964年)にも純子は出ていますが、「幕末残酷物語」では橋蔵扮する主人公自身の矛盾をも浮かび上がらせる作品の要ともいうべき役どころでした。
 当時の純子を振り返り、加藤泰は「いい娘(こ)でしたよ。本当にいい娘だった」と、しみじみと語っています。まだ持てる武器のない、このころの純子の一途な懸命さが映画監督としての加藤泰の心をくすぐったのでしょうね。「幕末残酷物語」のあと、「明治侠客伝 三代目襲名」(1965年)へと続きますが、それ以後の藤純子と加藤泰との出会いは、純子が主演スターとなってからで、「緋牡丹博徒 花札勝負」まで途切れています。
 対する純子のほうは、加藤泰をどう見ていたか?

 「加藤さんの映画って、しんどかった・・・」(寺嶋純子さんへのインタビューから)

 これは、おそらく、加藤泰が担当した「緋牡丹博徒」三作品を通した感想だと思いますが、加藤泰映画の「しんどさ」、観るほうも十分分かりますよね^^

 
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。