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2006-06-13

56)浪花女の「大阪ど根性物語 どえらい奴」

どえらい奴110202


 わがご贔屓・藤純子の出世作「緋牡丹博徒」シリーズの生みの親ともいうべき鈴木則文監督の監督第一回作品が、1965年製作、藤田まこと主演の「大阪ど根性物語 どえらい奴」です。
 タイトルからでも分かるように根性物、主人公が艱難辛苦の揚げ句、目指した目標に成功するサクセスストーリです。

 この映画が製作された時代は、前年に東京オリンピックがあり、5年後には大阪・万国博(EXPO70)がやってくるころです。日本中が好景気にわいていたころですね。「なぜば、なる」をまだ日本人のだれもが信じていたころです。
 だから、映画やテレビでも根性物のドラマがよく作られていました。花登筐原作の大阪商人物あり~の、柴田錬三郎原作の出世物語があり~の、バレーや野球のスポ根物あり~ので、百花繚乱。健気な日本人は貧しさから抜け出すため、持てる全智恵を絞りながらコツコツと頑張っていました。
 それから40年、今の日本は幼稚園児や小学生が一人で歩きもできない荒廃の極みに達していますが・・・・・。

 この映画は、そのころに製作された根性物映画で、主人公の藤田まことが目指したのは葬儀会社経営でした。その相手役で娘から妻へ、さらには母親へと変遷する女性を演じたのが藤純子です。
 


 この映画を観たのは、もう随分昔になってしまいました。
 そのころ、大阪・北浜にあった老舗の百貨店・三越の最階上(8階だったか?)にあった小さな劇場で、自店を訪れる顧客のためのサービスとして映画が上映されていました。フィルムはレンタル用の16ミリですが、もちろん、顧客サービスですから入場は無料です。

 ボクは三越の顧客でもなかったので、よく最階上まで映画を観に行っていました。それまでの各階は無視です^^ この三越のエレベーターがクラッシックな味わいのあるエレベーターで、ドアの上の大理石の壁面にエレベーターの箱が何階にいるかを示す赤い、大きな矢印のある丸い表示板が付いていました。そう、ちょうど、小学校の教材などで登場する大きな、丸い時計のようなシロモノですね。
 この劇場は、のちに有料のミニシアターになり、メジャーではない日本映画や外国映画が上映されるようになったり、新劇や商業演劇などの芝居も上演されるようになったりします。
 演劇のほうでは、ボクもよく文学座の公演に通ったりしましたが、ちょうど、三越・元社長の岡田Oとキンキラな怪しげなおばさん・竹久OOとの三越震撼事件が起こる以前で、あの事件以来、この劇場の歴史は閉ざされたままになって、大阪・三越の閉店を迎えています(大阪駅前に再開の予定ですね)。
 16ミリフィルムながら、まだ無料上映だったころに出会ったのが、この「大阪ど根性物語 どえらい奴」で、そのころ、「緋牡丹博徒」以前の、もっと言うなら藤純子のデビュー直後の映画を追いかけていたボクのアンテナにうまくひっかかってくれました。

 映画は、「大正元(1912)年」のタイトルのあと、厳かな君が代の演奏で始まります。何かいな? と思えば、大阪のある女学校で生徒に大正天皇崩御とその葬儀のもようを知らせる涙声の教師の声がダブります。声の主は谷啓。
 谷啓といえば、彼もこのころ、「図々しい奴」(二部作)という根性物の映画に主演しています。同じようにテレビで根性ドラマに主演していた青島幸男も藤純子の見合い相手の男で出演しています。
 さて、教師の涙声に影響されるかのように涙、涙で聞き入る女生徒たちの中で、ただ一人、しらけた顔の女生徒がいます。純子扮するヒロインの登場です。
 不審に思った教師が咎めると、彼女はこう応えます。
 「うち、葬儀屋の娘ですから葬式には慣れてますねん」

 純子は、大阪で古くから葬儀屋を営む男{曽我廼家明蝶)の娘です。その葬儀屋で働く若い男が藤田まことで、やがて、近代的な経営方法を目指す主人公が業界の古い体質との確執を経て成功までの騒動を繰り広げるサクセスストーリーとなります。
 純子は、やがて、藤田まことと夫婦になり、まだふくよかだった面影の純子はストレートのロングヘアに白いリボンをつけた当時の女学生ファッションから一転、丸髷の初々しい姿を見せてくれます。そして、子どもをもうけると、夜泣きがやまない赤ん坊をあやしながら「天満の子守唄」なんぞを歌って聞かせてくれます。
 よき妻、よき母になるのを願っているかのように、則文さん、純子をかわいく、そしてきれいに捉えています。カメラアングルは必ずしも仰角ではないのですが、見つめる眼差しは「仰ぎ見」ですね。

 そんな鈴木則文の純子への最高のメッセージが読み取れるのが、藤田まことが純子にプロポーズするシーンです。
 わが主人のお嬢さんへの想いやみがたく、藤田まことが夜の戸外へ純子を連れてきて想いを告白するのですが、男のプロポーズの言葉を聞くより、そのシーンの背景にびっくりしました。
 二人が立っている場所にはリリアン。ギッシュ主演の無声映画「散りゆく花」の大きな手描きの看板があります。
 散りゆく花ー。純子のデビュー当時から純子を見守ってきたという鈴木則文の、女優・藤純子へのラブメッセージですね。この当時、純子はまだ主演映画はありません。知名度が全国区となったNHKの「源義経」への出演も、この映画の翌年のことです。
 散りゆく花になるためには、まず、大きく花を咲かさなければなりません。やがて、純子は大輪の花を開花させることになりますが、このころ、鈴木則文はこうして、まだ未熟だった純子に応援歌を送っていたのだなと、このシーンで強く感じさせられました。
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 この映画をビデオで見たのか見ていないのか記憶が定かではないのですが(アルツハイマーです)、青山さんのおかげで「音」で聞いていましたから、見たような錯覚に陥っているのかもしれません。
 撮影の時のエピソードがものすごく印象に残っています。お腹にザルを入れて妊婦の扮装で撮影所内を歩いていたら、父親でプロデューサーの俊藤プロデューサーが「まだ、売り出し前なのになんちゅー格好なんや」と嘆いていうと、純子さんは「おとうさん、何も恥ずかしいことないやないの」とか答えたとか。こういう、ごく普通の感覚を持っているところがいいですねぇ。
 

三田佳子の美しさに免じて、許してね

本日も新世界で名画座めぐり。昼一に飛田東映で『日本の首領 完結編』と『るにん』の二本を観て、その足で日劇会館で『炎の城』にかけつけた。もちろん、飛田は『喧嘩犬』を、日劇では『姿三四郎』をパスしたけど、四十にもなって、こんな一日を送っていてよいのだろうか、少し自己嫌悪に陥った。でも、それは三田佳子の美しさに免じて、許してね。映画的にはともかく、ほぼニュープリントだったのに感動。そして、加藤泰という人の中にある「黒澤明への対抗意識」(?)を考えました。もちろん飛躍でしょうが、同じシェークスピアを題材にした『蜘蛛巣城』から二年余。会社からのお仕着せ企画かもしれませんが、かなり演出を凝っている様な気がしました。意余って力及ばずという感じです。今、ネットで検索したら日本映画研究という雑誌の加藤泰研究という別冊(?)7号に「炎の城」演出ノートが掲載されているようです。青山さんは持っていますか?ちなみに音楽は先日亡くなられた伊福部昭ですが、ラストのチャンバラシーンの音楽がまるで怪獣映画にそっくりで微笑ましかったです。でも、シェークスピア原作に戻れば、公式にシェークスピアを原作にしているのは、上記の二本と、後は『乱』だけなんですね。もっとも、戦前はどうか知りませんが、それでももう少しあってもおかしくないのではとも思いました。

純子ファンさんへ

 そうですよね、そういうこと、ありましたよね^^ 映画館にテレコ持参で音やセリフの採録。今のようにビデオやDVDがなかったころですから、周囲の雑音にイライラしながら音採ってましたよね。何回も観ている映画ならともかく、この映画のように1回しか観ていないと、セリフのある部分は辛うじて記憶を戻せるけど、無音の時は画面そのものは動いているから「?」となったりして^^ あのころの自分と同じ年代の子って幸せですなぁー。きっと、テレコ持参で映画館・・・ってことはないだろうから。

やっぱり・・・・・さんへ

 旅から戻られたんですね。おかえりぃ~。
 でしょ? 三田佳子のオフェーリア、きれいだったっしょ??
 意余って力及ばず、まさにその通りですよね。橋蔵と格闘して、先日の「真田風雲録」の汐路章のセリフじゃないけど、「う~む、残念!」な加藤泰さんですが、ハムレットが死なずに民衆の蜂起の先頭に立つ、その民衆の蜂起にわずかながらでも加藤泰らしさを刻んでいるというか・・・。
 ところで、旅中、矢野龍子さんの故郷で映画を観たってコメントがあったから、てっきり熊本まで行ったのかと思いきや、高知だったんですね。高知なら鬼龍院花子ですよ^^ 

やっぱり・・・・・さんへ(追記)

 書き忘れたので・・・^^
 「日本映画研究」の所有、トーゼンですよ!

重ね重ね事実誤認。すみません。昔、ある会社にいたころ、四国に出張した時に、『緋牡丹博徒』の話をしたことがあって、その話をした人が九州の人で、話がこんがらがったのかもしれません。でも、スケバン刑事の南野陽子はそうですよね。「おまんら許さんぜよ」ですな。でも、許してね。
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