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2016-12-17

山中映画のリメイクは『上州鴉』

                         上州鴉161120

 たまたまCS放送で観た大河内傳次郎主演、冬島泰三監督の股旅時代劇『上州鴉』(1951年、大映京都)は、山中貞雄督のトーキー2作目とされる『国定忠治』(1935年、日活京都)のリメイク作品でおました。
 この『国定忠治』は上映フィルムが失われ、もう観ることはできないのでおますが、シナリオだけは残っとります。シナリオでは『国定忠次』となっており、原作が山中貞雄、脚色が三村伸太郎の鳴滝組のおにいさんたち(当時)で、リメイクの『上州鴉』は原作が三村伸太郎、脚色が新藤兼人で、ほぼ忠実に元ネタのシナリオを再現したグランドホテル形式の映画でおます。主演はどちらも大河内傳次郎。

 大河内傳次郎扮する国定忠治が関所破りをした後、役人に追われながらも上州の田舎町に現れ、その町にある旅籠(はたご)を舞台にしたドラマでおますが、なぜか元ネタのシナリオでは国定忠治となっているのに、リメイクの方の大河内傳次郎の役名が星越の瀧蔵となっており、これは役人に追われる忠治の偽名で、最後には歌舞伎でよくあるように「星越の瀧蔵、実は国定忠治」となるんやないかと待っとりましたが、最後まで国定のくの字も出てこない映画でおました。戦後、時代劇が解禁されてからの映画でおますが、なにか国定忠治を名乗るには映画製作上の差し触りがあったんかいな? でおました。なんでやろうね?


 さて、大河内傳次郎扮する星越の瀧蔵さん、越後の薬売りに化けて旅籠に逗留しとります。旅籠とその周辺にはいろいろな人たちがいてはります。そこがグランドホテル形式の所以でおますな。
 関所破りをした瀧蔵を捕縛することに執念を燃やす老目明しの伍助(高松錦之助)、その娘で居酒屋を営むお吉(水戸光子)、お吉の亭主で瀧蔵の子分でもあったバクチ癖のなおらない亥之吉(本間謙太郎=阪東好太郎)、祭りを当てこんでバクチ場を開く土地のやくざの親分長沼の長五郎(羅門光三郎)、招かれてきた二足ワラジの親分山形屋藤蔵(東良之助)、健気な娘お光(高森和子)を身売りしようとしている貧乏百姓の佐兵衛(葛木香一)、あてどない仇討ちの旅に暮らす武士(石原須磨男)、路銀も尽きた駆け落ち者の男女(小堀明男、美多川玲子)、お光の幼馴染で、友達の不幸をただ身守っているしかない旅籠の女中お君(星美千子)、町の出来事を何でも賭けごとのネタにする駕籠かきの茂十(渡辺篤)と当八(近衛敏明)、旅の飴売りで山形屋の手先になる紋次(加東大介)などが出たり入ったりする主な面々でおます。

 山形屋藤八と身売り親子とのカラミは、新国劇の十八番、行友李風の『国定忠治』からのパクリでおますな。身売りの娘に扮した高森和子は、その後、NHKの放送劇団を経て関西を代表する実力派女優になり、その後はエッセリストに転身した人で、大河内の縁戚につながるとか。この『上州鴉』がデビュー作とかで、映画ではほかに『忍者狩り』(1964年、東映京都、監督・山内鉄也)で山城新伍の浪人を色仕掛けでたらしこむ尼僧のくの一を演じとります。
 石原須磨男は大映倒産まで付き合った京都撮影所の脇役俳優で、いつもは貧乏な町人や農民などを演じているのに、この人の侍姿なんて初めて観たわ! この仇討ちのお侍さん、仇を見つけたと思ったら人違いで、だんだんやる気も失せている中、本当の仇は長五郎親分の用心棒として同じ旅籠にいながら最後は瀧蔵に討たれてしまい、そうとは知らずに当てのない仇討ちの旅に出てしまうという、かわいそうなお侍さんでおます。
 東良之助も大映京都の脇役だったおじさんで、いつもは気弱な、それで5いて狡猾な面も併せ持つ商人やめし屋のおやじなんぞを演じとりますが、ここではちょっとスケベエな親分で、金50両で娘を買っておきながら飴売りの男を使って身代金を奪い取ろうとし、瀧蔵に踏んだり蹴ったりの目に遭わされるバカな親分でおます。
 渡辺篤と近衛敏明の駕籠かきコンビは、いかにも山中映画に出てきそうなコメディリリーフの役どころで、元ネタでは「あのね、オッサン」の高瀬実乗と鳥羽陽之助のお馴染みのコンビが配されとります。さまざまな

 こうした町のさまざまな出来事に口を突っ込んだり、傍観したりしている瀧蔵さん、役人に追われて薬屋に化けているのもさることながら、この町を訪れたのには訳がおます。およそ40年前、この町に住んでいたひとりの女を探しているというわけで、ここは新藤脚本のオリジナルでおます。
 その女とは瀧蔵を産んだ母親で、とうに死んでおります。そのあたりの消息を知る目明しの伍助と瀧蔵がお光の居酒屋で隣り合って酒を酌み交わすいい場面がラスト近くに用意されとります。ここはじっくりと見せる見せ場でおます。
 大河内傳次郎の相手をする高松錦之助は戦後、東映時代劇の脇役として頑固な老武士や職人などを幅広く演じていたおじいさんでおます。いつもは映画の事件の周辺を彩るワキの人物で芝居らしい芝居を見せるところはなかったのでおますが、この作品では酒を酌み交わす相手が自分が追っているお尋ね者えと知りながら、相手の男が探し求める女のその後を語って聞かせるというええ芝居を見せているのでおました。
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