2016-10-23

私家版加藤泰論への道 これでラストかもしれない生誕記念上映

                         加藤泰パンフ101011

 来月4日から東京・池袋の名画座で、「生誕100年 加藤泰」という上映会がおますな。
 さすがに今年は加藤泰監督の生誕100年を記念した映画会がモテモテでおます。確認できただけでも国立近代美術館フィルムセンターでの特集を皮切りに京都(京都府文化博物館)、神戸(神戸映画資料館)、大阪(シネ・ヌーヴォ)と、あちらの世界に旅立った映画監督が遺した映画群が花咲き、今度の池袋での上映会が生誕記念のラストを飾る催しになるかもしれまへん。

 特筆すべきは、かつて加藤泰監督の映画が上映されると知ったら、どんなこともさておき駆け付けていたボクが、今年の一連の催しには一度も参加していないことでおます。エンジン切れを起こしたんでっしゃろか?
 冒頭に掲げた写真は、およそ30年以前、加藤泰監督がこの世から消えて数カ月後に行われた追悼上映会で、日替わりでトークショーに参加した加藤泰映画ゆかりのゲストメンバーのサインの寄せ書きでおます。
 場所は、同じく池袋の名画座。もっとも今ある名画座はその後、建て替えられたものでおますが、当時のその名画座は昔ながらの映画小屋の趣きを残した劇場でおました。当時、この名画座に関係していた友達が気を利かせてゲストにサインを依頼し、後日、ボクに手渡してくれた、ボクには期待もしていなかった記念品でおます。
 ♪時世時節は変わろとままよ~の歌詞の文句にある通り、自署のサインを遺してくれたこれらの人たちの名前を見ると、既に加藤監督のもとに参集している人も多く、あちらの世界で皆で加藤監督の「よ~い、アイッ!」の掛け声を楽しんでいるのかな?

 今回の来月4日から始まる特集上映に予定されている映画は20本でおます。

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『炎の城』

11月4日の番組
『炎の城』(1960年、東映京都)
『風の武士』(1964年、東映京都)
 東映時代劇時代、加藤泰は多く若手スターと組んでいたが、これは東映時代劇中期と末期の大川橋蔵特集。加藤泰が主演の人気俳優に引っ張られ、引っ張る相違がよく分かる2本でおますな。

11月5日の番組
『人生劇場』(1972年、松竹大船)
『風と女と旅鴉』(1958年、東映京都)
 今ではあまり読まれなくなっている大長編小説と真っ向から立ち向かった映画と、そのころの東映時代劇のタブーにあえて挑戦した映画のカップリングでおますな。

11月6日の番組
『大江戸の侠児』(1959年、東映京都)
『花と龍』(1973年、松竹大船)
 映画界の先輩・山上伊太郎の原作を得て夜盗になった男の怒りがさく裂する映画と、『人生劇場』に続くおなじみの長編小説を根底から洗い直して父と息子の意見の対立を掘り下げた作品でおます。

11月7日の番組
『幕末残酷物語』(1964年、東映京都)
『明治侠客伝 三代目襲名』(1965年、東映京都)
 掟に縛られて本音と建前のギャップに喘ぐ男たちのドラマの中で、まだ大スターになる以前の、加藤泰もほめたたえていた野に咲く花のような藤純子(現・富司純子)の特集でおますな。 

11月10日の番組
『瞼の母』(1962年、東映京都)
『緋牡丹博徒 花札勝負』(1969年、東映京都)
 中村錦之助(のちの萬屋錦之介)と藤純子という、当時の東映映画の立役者を主役に得て、ともに渡世人(平たくいえばヤクザ)に扮した映画のカップリングでおます。

11月11日の番組
『沓掛時次郎 遊侠一匹』(1966年、東映京都)
『緋牡丹博徒 お竜参上』(1970年、東映京都)
 中村錦之助と藤純子の、ともに登場する果物がふと知り合った男と女をつなぐ大事な小道具として登場し、錦ちゃんは女への思慕に悩み、純子は世話した少女の行く末に心を砕く映画でおます。

11月12日の番組
『懲役十八年』(1967年、東映京都)
『日本侠花伝』(1973年、東宝)
 常に映画の中で意思の強い女をヒロインに据えてきた加藤映画には珍しく、流れに身を任せているヒロインが登場する映画と、無知だった女が次第に強い意思を持つ人間に成長する、いつもの加藤映画が見比べられる作品でおます。

11月13日の番組
『骨までしゃぶる』(1966年、東映京都)
『車夫遊侠伝 喧嘩辰』(1964年、東映京都)
 単なる若手女優から加藤泰映画に出ることにより、意思強固な人間を演じる俳優に変身した桜町弘子の記念的な作品の特集でおます。映画評論家の山根貞男氏によれば、桜町は加藤泰が最も気に入っていた女優だったとか。

11月14日の番組
『緋牡丹博徒 お命戴きます』(1971年、東映京都)
『炎のごとく』(1981年、大和新社=配給・東宝)
 東映任侠映画時代の末期、加藤泰が藤純子演じる女ヤクザと決別した映画と、加藤泰の遺作となった映画のカップリングで、殊に遺作のほうでは加藤泰の優しさと怒りが渦巻いている作品でおます。

11月15日の番組
『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(ごーるでんプロ、配給・松竹)
『男の顔は履歴書』(1966年、松竹大船)
 『懲役十八年』とともに、ヤクザ出身の安藤昇の主演映画で、戦中派三部作と称される映画2本でおます。ハチャメチャな戦争映画の後、戦後の混乱を描く中で「ついていくってのが好きだからな、日本人ってヤツは」の言葉が強烈でおます。

 以上、特集の20作品を駆け足で振り返ってみました。





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