2016-09-25

チラシを見ても映画を観たことにはならねえ35

                        チラシ女流文学映画

 お江戸のお友達からチラシが送られてきて、今回は名画座のチラシは少なかったのでおますが、数少ないうちから、ちょっと取り上げてみました。夏の間、ブログ更新を怠けていたためのウオーミングアップでおます。

▽「吉屋信子と林芙美子 女流作家の時代」
 来月1日から一カ月、神保町の小屋で予定されている特集でおます。吉屋信子、林芙美子、宇野千代、壷井栄、円地文子、平林たい子、原田康子、向田邦子、有吉佐和子、平岩弓枝などなど、昭和の文壇を彩った華麗な? おばさまたちが名を連ねとりますな。
 そのおばさまたちが心血を注いだ小説をもとにした映画群をざっと羅列してみると……

 吉屋信子=「花つみ日記」(1939年、東宝京都、監督・石田民三)
        「安宅家の人々」(1952年、大映東京、監督・久松静児)
        「鬼火」(1956年、東宝、監督・千葉泰樹)
        「花の慕情」(1958年、東宝、監督・鈴木英夫)
        「花の恋人たち」(1968年、日活、監督・斎藤武市)
 林芙美子=「稲妻」(1952年、大映東京、監督・成瀬巳喜男)
        「下町(ダウンタウン)(1957年、東宝、監督・千葉泰樹)
        「泣蟲小僧」(1938年、東京発声、監督・豊田四郎)
        「放浪記」(1962年、宝塚映画、監督・成瀬巳喜男)
 

 平林たい子=「地底の歌」(1956年、日活、監督・野口博志)

 円地文子=「結婚相談」(1965年、日活、監督=中平康)

 宇野千代=「おはん」(1984年、東宝、監督=市川崑)

 壷井栄=「女の暦」(1954年、日活、監督=久松静児)

 原田康子=「白い悪魔」(1958年、日活、監督=斎藤武市)

 向田邦子=「あ・うん」(1989年、東宝、監督=降旗康男)

 有吉佐和子=「恍惚の人」(1973年、芸苑社、監督=豊田四郎)

 平岩弓枝=「惜春」(1967年、松竹大船、監督=中村登)

 上映が予定されている映画は以上の17作品でおます。
 おなごはんも強ぅなりました。男たちとの関わりにおいても欲得抜きの愛情だけでなく、打算も欲得も男と同じで、かつては夫に、恋人に捨てられて泣くのはおなごはんだけだったのに、今は男も泣く時代になってます。 それだけ男女差がなくなったとも言えるし、均等なのは何も雇用問題だけではおまへんなぁ。


                        チラシ時代劇映画


 池袋の老舗名画座(といっても新体制になってますが)では、久しぶりの時代劇特集でおます。
 題して「絶対に観てほしい時代劇」、おっと、既にスタートしてるやおまへんか。伊藤大輔監督の『反逆兒』や中川信夫監督の『東海道四谷怪談』といった、この種の特集の常連作品があるかと思えば、晩年は易者になった小沢茂弘監督の『赤い影法師』や潰え去った大映京都晩年の森一生監督『忍びの衆』なんて珍しい忍者映画も組み込まれている全20作品の特集でおます。
▽『怪談かさねが渕』(1957年、新東宝、監督=中川信夫)
 新東宝おなじみのお化け映画でおます。この手の映画のヒロインだった若杉嘉津子が愛して、棄てられて、怨んで化けて出る年増のおねえさんを演じてはります。

▽『東海道四谷怪談』(1959年、新東宝、監督=中川信夫)
 崩壊直前の新東宝の名作怪談映画として世評を得てはりますが、若杉嘉津子のお岩を何度見ても、伊右衛門でなくても蹴り飛ばしたくなるのは、どうしてなんやろ?

▽『十三人の刺客』(1963年、東映京都、監督=工藤栄一)
 遅く生まれ過ぎた不世出の映画とでもいうべき、集団抗争時代劇のトップを走っている映画。もう少し早く誕生していたら、お気楽な東映時代劇ももう少し延命していたんじゃないの?

▽『集団奉行所破り』(1964年、東映京都、監督=長谷川安人)
 大坂の奉行所の金庫破りを企むあぶれ者たちが最後は全員、水浸しになって頑張る泥棒映画で、侍ではない町人たちの集団抗争時代劇でおます。東映時代劇のヒーローだった大友先生が回りきらない舌で気炎を上げとります。

▽十七人の忍者(1963年、東映京都、監督=長谷川安人)
 密書争奪に集められた十七人の伊賀者の抗争劇で、次々に忍者たちが使い捨てにされていく中、わざと囚われの身になるボスの大友柳太朗と迎え撃つボスの近衛十四郎との心理作戦のやり取りがみもの。紅一点の三島ゆり子がいい。

▽忍びの衆(1970年、大映京都、監督=森一生)
 市川雷蔵亡き後、東映から大映に移籍して大映時代劇の主役を引き継いだ松方弘樹の努力も報われず、すぐに大映という古い会社は消え去った。そして今、千人斬りを豪語した弘樹しゃんは病に伏す身に……。

▽赤い影法師(1961年、東映京都、監督=小沢茂弘)
 石田三成の孫で、母子で徳川幕府に挑む大川橋蔵の忍者映画。母親が明かおさぬ父を求め、やがて、その父と対決することになる橋蔵は、やはり貴種流離譚物語から縁は切れなかったようで……。

▽用心棒市場(1963年、東映京都、監督=小沢茂弘)
 西部劇の『誇り高き男』を模したような、どうということのない橋蔵主演の股旅アクションだが、どういうわけか、しばしば時代劇特集に取り上げられている。なんでかな?

▽大江戸五人男(1951年、松竹京都、監督=伊藤大輔)
 町奴の幡随院長兵衛と旗本の水野十郎左衛門の対立といったって、今では歌舞伎の演目以外ではお目にかからないけど、阪妻おじさんと右太衛門の大将以下、山田五十鈴、高峰三枝子、月形龍之介、高橋貞二、高田浩吉などのスターが顔を見せる。

▽続清水港(1940年、日活京都、監督=マキノ正博)
 森の石松が現代にタイムスリップしちゃう石松代参のお話。バック・ツー・ザ・フィーチャーって、何も現代の映画に限らないんだよね。「おれら、とっくにやってるわい」とマキノのオヤジの声が聞こえてきそう。

▽天狗飛脚(1949年、大映京都、監督=丸根賛太郎)
 戦後の、立ち回りのある時代劇が占領軍によって禁じられていた時代、時代劇作家や時代劇俳優が苦心惨憺して作った立ち回りのない、侍が主役でない時代劇。「高速参勤交代」ならぬ「高速飛脚物語」というべきか。

▽狐の呉れた赤ん坊(1945年、大映京都、監督=丸根賛太郎)
 これもアメリカ軍駐留下で作られた時代劇で、拾った子どもに無垢の愛情を注ぐ阪東妻三郎の演技は『無法松の一生」の後、「王」將』や『破れ太鼓』に続く時代劇スターではない魅力がおます。

▽まらそん侍(1956年、大映京都、監督=森一生)
大映時代劇の二大巨頭ながら、ちょっと先輩の市川雷蔵に一歩も二歩も先んじられていた勝新太郎の明朗時代劇。しかし、雷蔵のように水もしたたたる二枚目とはいかず、勝新の躍進は『不知火検校』まで待たねばなりまへん。

▽ドドンパ酔虎伝(1961年、大映京都、監督=田中徳三)
 堀部安兵衛の赤穂事件以前の高田の馬場の仇討ち騒動をベースに、当時流行していたホップス調のドドンパが流れまくる、ミュージカル風時代劇。勝ちゃっんもいろいろやってたんでおますなぁ。

▽鴛鴦歌合戦(1939年、日活京都、監督=マキノ正博)
 志村喬も歌う、市川春代も歌う、もちろん、ディック・ミネも歌っているミュージカル時代劇で、唯一歌わないのが主役の片岡千恵蔵という不思議な映画。歌が苦手だった千恵さん、しかたなく口をモグモグさせているのがおかしおますな。

▽ジャズ大名(1986年、大映、監督=岡本喜八)
 筒井康隆の小説の映画化で、音楽好きの大名がジャムセッションを楽しんでいるうちに世の中が変わってしまったというアホらしくも滑稽な物語。シニカルな喜八喜劇は笑いを誘い、そしてちょっぴり戦争と平和を考えさせるお話だす。

▽反逆兒(1961年、東映京都、監督=伊藤大輔)
 伊藤大輔&中村錦之助が初顔合わせで実現した戦国の悲劇だが、何が凄いって錦之助の母を演じる杉村春子と妻役の岩崎加根子との東映時代劇の中にあってめったに見られない新劇女優の演技合戦がすごおますな。

▽下郎の首(1955年、新東宝、監督=伊藤大輔)
 コケの一念とでもうのか、一貫して時代の下層の人間の怒りと哀しみを描き続けた伊藤大輔の力作。信じていた主人にも裏切られていく下郎の憤怒が最後は叩きつけるように噴出するのでおます。

▽大殺陣(1964年、東映京都、監督=工藤栄一)
 政治腐敗をただそうとする下級武士たちの企みに巻き込まれ、妻を惨殺されて命果てる里見浩太郎と政治騒動の外にあって時代を皮相な目で見て、ラスト、一転して怒りにかられる平幹二朗の対比がよく、政治の時代を反映してますな。

▽十一人の侍(1967年、東映京都、監督=工藤栄一)
 工藤版集団抗争時代劇のラストを飾る作品でおますが、お話が『十三人の刺客』と似通っているのは、ちょっと戴けまへん。攻める者も攻められる者も数人を残して「そして誰もいなくなった」のも同じでおますな。
 
 
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