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2016-04-11

ラストがうやむやな「かげろう絵図」

                       かげろう絵図 160410

 山本富士子がさばけた感じの謡(富本節)のお師匠さんと大奥に潜入する武家娘の姉妹の二役で頑張っている1959年の大映時代劇でおます。
 原作は松本清張、脚色が衣笠貞之助と犬塚稔のじいちゃんコンビ、監督も衣笠貞之助。時代劇で女優が主役を張るというのは、このころ珍しおましたが、お富士さんに衣笠とくれば、この時代、『白鷺』(1958年)や『歌行燈』(1960年)などの明治物の作品があり、時代劇とはいえ、この映画もお富士さん&衣笠のコンビ映画の一環だったと思われます。

 ヒロインを助ける若侍に『歌行燈』でも共演している市川雷蔵が付き合い、美男美女共演の総天然色、シネマスコープ作品でおますが、とにかくお富士さんが美しおます。齢80を超えた現在でも、その美貌は衰えてまへん。この時代、あまりの美貌が先に走り、演技的にはちょっと・・・といわれたものでおますが、だからこそ無声映画時代の女形俳優であった衣笠貞之助が演技指導も兼ねてコンビ映画がいくつか製作されたのでおますやろね。

 お話は江戸の天保年間のことでおます。
 歴史的には水野忠邦の天保の改革が起こる少し前の時代で、十一代将軍・家斉(柳永二郎)が隠居し、十二代将軍の座を家慶(伊沢一郎)に譲ってもなお「大御所政治」と呼ばれた、権力を握っていた時代でおます。
 そこにつけ入ったのが幕閣の人物にあらず、在野の中野石翁(滝沢修)でおます。自分の娘のお美代(木暮実千代)を家斉の後宮に入れており、お美代の娘が加賀前田家に嫁ぎ、そこで出来たひ孫を次代将軍にし、権力を握ろうと画策しております。頼みの綱は家斉の自分への厚い信頼であり、老いた家斉が元気なうちに自分のひ孫を次期将軍にするという遺言状を早く手にしようとあせっております。
 お美代を中心とした大奥の権勢をバックにつけた石翁の暗躍に、幕閣の連中も手をこまねいているわけではおません。無役の旗本(黒川弥太郎)を通じて彼の知己の娘を大奥に送り込み、かくして、武家娘に扮したお富士さんの登場と相成ります。



 
 

 中野石翁、こいつ、悪いやつでおます。
 天保時代を舞台にしたほかの時代劇でもしばしば悪役として登場し、片岡千恵蔵の遠山の金さんシリ-ズの『荒獅子判官』(1955年)だったか『喧嘩奉行』(同)だったかにも出てきて権力を握ろうとして遠山金四郎に蹴散らされておりますな。
 変わったところでは沢島忠監督の「大江戸評判記・美男の顔役』(1962年)にも登場し、ここでは月形龍之介)扮する碩翁さん、大川橋蔵以下の天保六花撰の面々に別荘を無断借用され、最後は皆で輪になって踊りを踊ったりしとります。
 石翁の娘で、将軍の側室であるお美代のほうは、感応寺事件で有名でおますな。男ひでりの続く大奥の高級女官たちと、女ひでりの坊主たちとの愛欲のもようはしばしば劇化されとります。爛熟した大奥の規律引き締めのためにも、のちに水野の天保の改革が起こったのでおますやろね。ま、あまりの引き締め政治に下々の不評を買い、この改革は失敗に終わるのでおますが。

 さて、大奥に潜入したお富士さん、か弱い女の身でなにほどの活躍ができるのか、周囲は敵ばっか。
 そこで協力するのがお師匠さんのお姉さん。ついで雷蔵の若侍も隣家の酔いどれ町医(志村喬)が身ごもった女(阿井美千子)を診察したことで行方不明になり、おのずと謎の解明に立ち上がります。身ごもった女は大奥の女官で、石翁の腹心(須賀不二男)と男女の関係になって妊娠、揚げ句の果ては秘密漏えい防止のため、殺されて大川に浮かぶことになります。

 その後、いろいろあって、さて、ラスト。
 石翁の悪事が暴かれ、大奥も粛清されるだろうと観ていたら、いつの間にか、お富士さんの妹娘はいつの間にか消え、その代わり、お姉さんの方が石翁の屋敷前をウロウロしていて石翁の配下たちに見つかり、請われて配下たちに得意ののどを聞かせたりしちゃってます。
 姉娘が石翁一派に拉致られたと知った雷蔵さんも石翁邸に忍び込み、チャンチャンバラバラを展開。このチャンバラが何ともまどろっこしく、およそ2時間弱、長い物語を観てきた末、チャンバラ途中で一巻の終わりになっちゃいます。
 何だか気のいかないおマ○コのような終わり方で、江戸城の門を俯瞰で映し出し、ナレーション処理して何とも中途半端な終わり方でおます。あとでウィキで情報を得たのでおますが、この時、清張の小説のほうが完結しておらず、映画の終わり方も苦慮したそうでおます。
 なんだかなぁ~。もうちょっと整理しろやと、60年近く以前の映画にツッコミをいれたくなったのでおました。



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