--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2015-08-10

たまには怪談映画を!

怪談映画のビデオ 150809

 昔の日本映画の興行には観客に納涼気分を味わってもらいため、「夏は怪談映画を」の映画興行がおましたが、日本から季節感が失われてしまった昨今、もう、そんなことはおまへん。もっとも、毎日のようにどこかで殺人が起こっていたり、不可解な事件が起こっていたりと怖さ、怖ろしさが満杯の現実のほうが一歩も二歩も先を行っているので、日本人は年中、納涼気分でおます。
 従って、昔日の怪談映画を現在、観ても少しも怖ろしいことはおまへんな。そもそも「怪談」は読んで字のごとく、絵として見せられるより、お話を聞くほうがよほど怖いことは、稲川淳二のホラー話の例を持ち出すまでもなく、受け手のイメージに訴えてくるほうがよほど怖いものでおます。
 かつては「怪談」、いまでは何でもかんでも「ホラー」と言い換えられとりますが、この「何でもかんでも」がクセモノで、ホラーも団体で押し寄せてくると「ホラ(法螺)かいな?」とツッコミたくもなります。

 さて、過日、マイコレクションの中から、ふと手に取った怪談映画の録画ビデオ。ラベルを確認すると録画じた時期が2003年とあり、既に10年以上が経過しているビデオでおます。「よく、まぁ、ご健在で!」とコレクター自身(ボクのことね)もびっくりのビデオで、当時はまだDVDなど廉価で手に入る現在とは違い、ビデオテープ主流の時代でおます。ボクはせっせとCSで流れる映画をビデオ録画していたのでおますな。
 もっとも、現在では録画機能のデッキがジャンクして以来、ビデオテープもDVDも録画することはとんと絶えてないのでおます。もっぱら、かつて録画したテープやセルソフトのDVDを再生するばかりでおます。

 猛暑の折柄、さて、10年以前に録画したビデオは無事に再生できるかなと思いつつ、再生デッキにかけると画質はDVDに及びまへんが、きれいに録れておりました。そこで早速、このビデオ鑑賞でおます。上映時間は一時間前後の怪談映画が3本、一気に観ちゃいました(笑)。映画は大映の「怪猫有馬御殿」と新東宝の「怪談海女幽霊」「怪談本所七不思議」の3作品でおます。



 

 ●「怪談海女幽霊」(1960年、監督・加戸野五郎)
 いかにも大蔵貢社長下の新東宝らしいタイトルでおますが、映画を観て「どこにも海女の幽霊なんか出てきやへんやないか」と突っ込みたくなる映画でおます。
海辺の話でおますから海女に扮したねえちゃん女優がわんさか出るには出るのでおますが、肝心の幽霊は殺される網元のおっちゃんという、何とも色気のない怪談映画でおます。

 敗戦直後、漁に出た網元と4人の使用人が、旧日本海軍が海に落としていった宝物を拾い上げます。警察に届けようという網元に対し、使用人たちは欲にからんで網元を殺害、宝物を自分たちのものとし、それから10数年後。元使用人の4人が次々に殺され、平和な海辺の村は猟奇事件の村と化してしまいます。
 駐在所の巡査(小高まさる)からの要請で本庁から刑事(明智十三郎)が事件解決に乗り込んでくるのでおますが、ここから網元の死後、その一家が離散していたことが分かり、映画は何やら横溝正史の小説風になっていくのでおますな。「この事件は怨念だ」と断定した刑事が過去を調べていくと、網元の死後、その奥さん(若杉嘉津子)は使用人の1人に凌辱され、自殺。一人娘(万里昌代)も行方不明、彼女ときょうだい同様に育った青年(御木本伸介)は出征したまま、これまた行方が分からず、網元一家は絵に描いたような悲劇に見舞われていたのでおます。
 網元の屋敷と土地は使用人の1人(沢井三郎)が引き継ぎ(というより、乗っ取りに近いかもね)、村の顔役になっとります。
 これ、見事なまでの横溝世界でおますな。
 そこで次々と元の使用人が殺されていく猟奇事件が起こるのでおますが、殺された男たちが死んだ網元の使用人だったことから、刑事さんでなくても犯人、わかっちゃいますよね。観る者の期待通りに話は進むのでおます。
 映画の最初のほうで、万里昌代が巡礼の老婆に化けて、かつての自分の家、現在は沢井三郎が住んでいる家を訪れ、ちょっと沢井さんを脅かすシーンがおますが、以後、この老婆は出てこず、何のための登場? でおます。
 モノクロ映画でおますが、処々に画面を彩る海女役のねえちゃん女優たち。海辺での休憩シーンや海中の遊泳シーンで頑張っているのでおますが、彼女たちのいでたちは海水パンツばっちりのへそ出しルックでなかなかガードが堅とおます。製作された1960年は、これでも結構、煽情的だったんかいな? と21世紀の現代からみれば不思議に思うばかりでおました。

 ●「怪猫有馬御殿」(1953年、監督・荒井良平)
 現在発売中の大映特撮映画コレクションで、今や伝説の女優、入江たか子の化け猫映画の第一作「怪談佐賀屋敷」(1953年、監督・荒井良平)が出とりますが、この有馬御殿は佐賀屋敷の好評に次ぐ入江たか子の化け猫映画の2作目でおます。
 鍋島の猫騒動同様、有馬の猫騒ぎも有名でおましたが、この作品は何のことはない、鏡山の焼き直し(脚本・木下藤吉)でおます。しかし、勢いを得たというのか、ここでも入江さん頑張ってはります。佐賀屋敷ではアクティブな化け猫で拍手喝さいでおましたが、有馬御殿では首をはねられても、その首が宙を飛んで仇にくらいつくという猛執ぶりで、これまた拍手喝さい。まさに「首が飛んでも動いてみせるわ」の伊右衛門の強がりを実践してはります。

  大名家の奥向きのお話でおます。八百屋の娘で新参の愛人(入江たか子)が、嫉妬に狂う先輩の愛人(北見礼子)と取り巻きの奥女中たちから、事あるごとにいじめられとります。いじめる奥女中たちに扮しているのは金剛麗子、大美輝子(のちに近江輝子)、橘公子という大映時代劇おなじみのおばさまたち。
 思い余った入江さん、おとなしく身を引こうとしますが、主君(杉山昌三九)やその弟君(坂東好三郎)が許しまへん。この男たち、入江さんがいじめられているのを知りながら、何ら解決のための手を打とうとしてないのが「これでええんか?」でおます。もっとも、解決のために乗り出していたら、化け猫映画にはならしませんけどね。ここは入江さん、徹底的いじめ抜かれないと話は成立しまへん。
 ある夜、唯一の忠実な腰元(阿井三千子、のちに阿井美千子)を実家へ使いに出している間、金剛ばあさんの主導で自殺に見せかけた格好で殺されてしまいます。入江さんの流した血を、どこからか現れた飼い猫がペロペロ舐めて・・・・・・。
 さぁ、ここから死んだ入江さんの逆襲が始まるのでおます。入江さんの怨念が飼い猫に乗り移り、化け猫誕生でおます。次々に自分の死に手を貸した女たちに反撃していくのでおます。
 まず、就寝中の腰元(小柳圭子、柳恵美子)を襲い、捕えたネズミをいたぶるように弄びます。ここは、化け猫映画の定番で、おなじみのシーンを入れているのはうれしいでんな。
 次に大美輝子を襲い、かつて行燈の火入れの際、火傷をしたと嘘を言い、自分の筆跡を盗んでいった大美さんを本当に火傷させ、真相をゲロさせた後、金剛ばあさんに誤殺させてしまい、橘公子には手の指を食いちぎり、縊死させて火の見櫓に吊るしてしまいます。最後に残った金剛ばあさんには、殺した女たちを総出させて自分が殺されたのと同様のセッティングの中で恐怖を味あわせ、あの世に送っちゃいます。
 まさに、入江さんの反撃は「目には目を」でおますな。しかし、入江さんの怒りは、これで収まらしません。まだ、いじめの張本人の北見礼子が残っとります。ここはおっかさん女優の対決でおます。入江たか子と入江若葉が親子なのはよく知られとりますが、長谷川一夫と縁続きの戦前派の女優、北見礼子は林与一の母親でおます。
 お家を騒がせる妖怪の退治に立ち上がった坂東好太郎と大格闘の末、入江さんは矢で打ち抜かれ、首をはねられるのでおます。これで一件落着かと思いきや、その首がまっしぐらに宙を飛び、部屋に逃げ込んだ北見礼子の首筋めがけてガブリ! 最後は吸血鬼も顔負けの復讐を果たすのでおます。
 前作の「怪談佐賀屋敷」以上に八面六臂の入江たか子の化け猫映画でおます。当時、ゲテモノ映画と卑下され、入江たか子自身も華族出身のスターが零落したと揶揄されたと聞いとりますが、ゲテモノ映画であるからこそ、化け猫のこれでもか! のしつこさはみものになっているのでおます。しかし、以後の入江さんの化け猫映画は、この面白さを欠いていくのでおます。

 ●「怪談本所七不思議」(1957年、監督・加戸野五郎)
 東京・本所に伝わる七不思議の伝説をもとにした怪談映画で、しかし、少しも怖いことはおません。
 旗本(林寛)に助けられた本所に巣くう狸(橘美千子)が、その旗本の家の内紛を救うというスト-リーで、なぜかラストは狸御殿映画のような歌と踊りで終わる、それこそ不思議な映画でおます。ここでも「うらめしや~」と登場するのは、殺された旗本で、男の幽霊。おじちゃんの幽霊では少しもきれいではなく、怪談映画のウリである女の幽霊の色気もおません。
 旗本の内紛劇は円朝の「怪談牡丹燈籠」のパクリで、旗本の愛人(山下明子)と浪人者(天知茂)が乳繰り合っとります。お露のような美女(松浦浪路)も出てくるのでおますが、死にはしまへん。旗本の跡取り息子で剣術修業のため、江戸を留守にしていた若侍(明智十三郎)が、殺された父親の仇を討つことになるのでおますが、にしても色悪の天知茂がええ味出しとります。
 この2年後、天知茂は有名な中川信夫監督の「東海道四谷怪談」(1959年)に色悪の民谷伊右衛門に主演しとりますが、その先駆け的な役どころで、新東宝時代の冷徹な悪人役の天知茂を堪能できる、これまた怪談話とは別のところがみものの、不思議な映画なのでおます。








関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。