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2015-07-14

チラシを見ても映画を観たことにはならねえ31

                       チラシ 150713京マチとお富士さん

 またまた、花のお江戸から名画座のチラシが送られてきました。
 現在、いかにお江戸の名画座とはいえ、存続の危機に常に襲われていると聞いていますが、にしても『大和は豊穣の麦の秋』を真似れば、『お江戸は豊穣の映画の夏』でおまんな。田舎から眺めれば羨ましい限り・・・・・・。
 にしても・・・・・・
 今から50年前、あるいは60年、70年近い以前の映画を銀幕に映し出したとしても・・・・・そのころ、映画界で活躍していた監督やスターたちのことを現在、どれくらいの人が知っていて名画座に駆け付けていることか! 「懐かしの」という意味ではなく、「温故知新」の意味で名画座も企画してはるんやろと思いますが、それこそ「懐かしの」だけでは観客席はじいちゃん、ばあちゃん、あるいはおっちゃん、おばちゃんだけになってしまいますがな。
 若い人たちが集まり、往時の映画の懸命さ加減、真摯さ加減、アホくさ加減、ヌケ作加減を当時の美男美女スターともども楽しまれんことを! にしても、今、たかが古い映画に時間と料金を惜しまない若い人がどれくらいいるのやら・・・・。

 ということで、今回のトップバッターは東京・池袋の名画座で上映された「艶と凛 大映に咲いたふたつの名花 京マチ子と山本富士子」から。
 大映という映画製作会社はもう存在しとりませんが、京マチ子、山本富士子という、当時、大映映画でケンを競った女優も今や休眠状態でおます。殊に山本富士子は五社協定で映画界を閉めだされて既に半世紀。その後の主な活躍場所となった舞台からも遠ざかってはります。
 お富士さんといえば、セリフ一本調子の大根と揶揄されたものでおますが、「夜の河」(56年、監督・吉村公三郎)の淡い恋に破れ、仕事一筋に生きようとする京都のおねえちゃん、その京都のおねえちゃんで巧みな京都弁で周囲をひっかき回した「彼岸花」(58年、監督・小津安二郎)の蓮っ葉な感じの娘さんが思い出され、特集には取り上げられていなかったけれど、戦傷いえない父親や酒乱気味の母親、身勝手な妹たち家族の犠牲になる「如何なる星の下に」(62年、監督・豊田四郎)のしっかり者のお姉ちゃんも印象深いものでおます。
 小津映画にはたった一本の縁しかないながら、先月行われた小津安二郎の記念碑建立ではゲストに招かれ、三重県の伊勢を訪れていたとか。伊勢は映画界に入る以前の東京生まれ、育ちの小津安二郎が10代の中期からおよそ10年間、過ごした土地でおます。齢80を越えたお富士さんを新聞記事で拝見しましたが、さすが、あたりをまぶしくするような「華やかさ」は健在だったようでおます。
 一方の京マチ子といえば・・・・・
 伝え聞くところによると関西で病がちの身を養っているとか。京マチ子といえば、この特集でも取り上げられていた「偽れる盛装」(51年、監督・吉村公三郎)の「うちら、肉体派どすよってにな」と戦闘魂ムキムキの芸者君蝶と「人間はなぜ死んでしまうんでしょうねぇ」とフーテンの寅に力なく呟いた「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」(76年、監督・山田洋次)で見せた浮世離れしたような奥さまをすぐ思い出してしまいます。

                      チラシ 150713戦後すぐの映画

 次なるは、やはり出ました、「戦後70年特別企画」。節目、節目は多彩な催しの格好の題材でおます。
 神保町で8月一カ月を通して予定されている「1945-1946年の映画」がおます。
 日本の主要都市が焼土と化した敗戦直後、「映画どころやないわ」と生きるのに必死な生活者がいた一方で、まさに生きるために映画界もいち早く商品を提供し続けたというのがよくわかる企画でおます。そこには理屈はいらん、ただ楽しんでくれたらというようなレビュー映画あり、オペラまがいの映画あり、チャンバラができない禁止令を逆手に取ったような時代劇あり、はたまた戦中の権力者を糾弾した映画あり、まさに生きるために悩み抜く女たちを描いた映画ありとさまざまでおます。
 特集の中で戦後、いち早く公開されたのは「伊豆の娘たち」(松竹、45年、監督・五所平之助、公開日45年8月30日)とおますが、製作は8月15日以前から始まっていたようで、完全に戦後生まれの第1号は「リンゴの唄」がヒットするきっかけとなった「そよかぜ」(松竹、45年、監督・佐々木康、公開日45年10月11日)だったそうな。
 お勧めはマキノ正博監督による「グランドショウ1946」(松竹、46年)。ウエイトレス(高峰三枝子)とコック(森川信)のオペレッタなラブコメディ-でおますが、当時SKDのレビュースターだった水ノ江瀧子がサロメのような扮装で延々、一人で踊りまくるシーンは絶対のみものでおます。



 
 


                        チラシ 150713東映現代劇

 トーエー映画は時代劇ばっかとちゃうねんとばかりに企画、既に上映が始まっている阿佐ヶ谷の「東映現代劇の潮流」でおます。
 ホンマ、ライトばっちり、色付きのにぎにぎしい東映時代劇の併映作品としての立場が多かった大泉撮影所発の現代劇はモノクロ作品が多く、地味めでしたもんね。プロデューサー、監督などが戦前の日活多摩川の系譜の人が多かったせいか、見た目キラキラの時代劇に比べ、人間の臓腑をえぐるような作品も多かったのも事実でおます。
 そんな中から選ばれた36本の映画群。残念ながら日活多摩川を彷彿させる作品こそ少ないものの、ギャング映画あり、喜劇映画あり、やくざ映画あり、社会派映画あり、お色気映画あり、戦争映画あり、スリラー映画あり、刑事物映画ありで、結構にぎにぎしいやん、でおます。

                       チラシ 150713戦後日本の歩み

 いつのころからですやろ、日本の暗い過去の歴史、政治問題、いわゆる恥部とされる事件などに触れることが禁忌とされるようになったのは?
 お気楽な日本映画が横行する中で企画されたのが、今月末から池袋で予定されている「映画を通して検証する 戦後日本の歩み、11の断面」でおます。
 もはや戦後日本を描いた映画として古典的な「原爆の子」(近代映協、52年、監督・新藤兼人)や「帝銀事件 死刑囚」(日活、64年、監督・熊井啓)などを始めとする沖縄問題あり、基地問題あり、三島事件あり、政治疑獄あり、60年代学生運動あり、薬禍事件あり、戦争問題ありで、まさに百花繚乱、日本の戦後も魑魅魍魎の世界だったことが分かる特集でおます。
 21世紀になった今、われわれはまだ魑魅魍魎の世界に生きているんですけどね。

 お友達から送られてきたチラシの中には阿佐ヶ谷の「昭和の銀幕に輝くヒロイン第78弾 岡田茉莉子」や池袋の「川島雄三と鈴木清順 絶対熱烈支持宣言」、渋谷の「デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子」、神保町の「夏休み特別企画 漫画から生まれた映画たち」などもおましたが、ブロガーさん、疲れました。
 ごめんなさいよ、お友達!
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