2014-10-18

時代劇は終焉したのだろうか

                       チラシ 時代劇141008

 長い間、このヘボブログの更新を怠っていると「映画を観てないからネタがないんやろう」と思ったのかどうか、いつものお江戸在住のお友達さんが例によって江戸の名画座のチラシを送ってくれたのですが、雑多なチラシの中に上掲のような時代劇特集を報じる池袋の名画座のチラシが交じっておりました。
 きょうから始まっている、題して『春日太一と新文芸坐のオススメ時代劇映画祭』。
 
 特集に取り上げられた作品を眺めてみると・・・・・・。
 「無宿人御子神の丈吉 牙は引き裂いた」(1972年 監督・池広一夫)
 「座頭市千両首」(1964年、池広一夫)
 「丹下左膳餘話 百萬両の壺」(1935年 監督・山中貞雄)
 「河内山宗俊」(1936年 監督・山中貞雄)
 「関の彌太ッぺ」(1963年 監督・山下耕作)
 「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年 監督・加藤泰)
 「座頭市物語」(1962年 監督・三隅研次)
 「座頭市兇状旅」(1963年 監督・田中徳三)
 「笛吹川」(1960年 監督・木下恵介)
 「宮本武蔵 一乗寺の決斗」(1964年 監督・内田吐夢)
 「子連狼 三途の川の乳母車」(1972年 監督・三隅研次)
 「祇園の暗殺者」(1963年 監督・内出好吉)
 「十一人の侍」(1967年 監督・工藤栄一)
 「十三人の刺客」(1963年 監督・工藤栄一)
 「山椒大夫」(1954年 監督・溝口健二)
 「人情紙風船」(1937年 監督・山中貞雄)
 「徳川いれずみ師 責め地獄」(1969年 監督・石井輝男)
 「女獄門帖 引き裂かれた尼僧」(1977年 監督・牧口雄二)
 「切腹」(1962年 監督・小林正樹)
 「幕末残酷物語」(1964年 監督・加藤泰)
 「柳生一族の陰謀」(1978年 監督・深作欣二)
 「必殺4 恨みはらします」(1987年 監督・深作欣二)
 「里見八犬伝」(1983年 監督・深作欣二)
 「魔界転生」(1981年 監督・深作欣二)
 「忍者狩り」(1964年 監督・山内鉄也)
 「十兵衛暗殺剣」(1964年 監督・倉田準二)

 古い映画を上映することを旨とする名画座の催しにケチをつける気はおませんし、傑作ぞろいの個々の作品にも文句はおません。でも・・・・・・・
 「なんだかねぇ~」の思いがぬぐえません。
 なんでですやろね?
 まるで時代劇葬送曲のような、昭和の昔、まだ映画会社が自社で製作する映画が産業として成り立っていたころの作品ばっか。こういう特集が組まれるたびに、そのころの映画が選ばれる。昭和が終わり、21世紀の世の中になって映画の製作システムが変遷していく中で、時代劇映画の製作なんて稀にみる物珍しい映画になっているのでおますな。


 
 時代劇映画の復活はあるか? などと大上段にテーマをふりかざす気が毛頭おません。
 火宅の中であちらの世界に旅立った山城新伍という映画俳優が、かつて大映映画が潰れ、残務処理の当たった大映労組が「映画の灯を消すな」のスローガンを掲げた時、多分にアイロニーを込めて「映画の灯なんて、とっくに消えてまんがな」とよく口にしておりました。1970年代初頭、世はまさに日本映画受難の時でおました。
 今、誤報道でたたかれている大新聞が先月、「時代劇は生き残れるか」のテーマで特集を組んでおりましたが(9月30日付)、その中で文芸評論家の縄田一男さんが
 『時代劇が危機的状況にあるのは、否定しようもありません。近年のNHKの番組を見れば、質の劣化はわかります。お笑いタレントが、忠臣蔵の浅野内匠頭を演じる。時代劇の所作を心得ていない俳優が主役をはる。人物造作も単純で、悪役ならひたすら悪役を幼稚に描く。脚本が弱いのです。実力より人気優先で配役を決め、万人にわかりやすい物語を届けている。目の肥えた視聴者を馬鹿にしていると、いわざるをえません』
 と、インタビュー記事ののっけから手厳しいことを語っている内容が、もう時代劇は生き残れないことを言いつくしているようです。ただ、最後に『希望は女優たちです』という意見には異論があるけれどもね。

 山城新午の謂いを真似るなら「時代劇の灯なんて、とっくに消えちゃってるよ」ですね。
 「いったい何人殺すつもり? お前は殺人マシーンか!?」と主人公を思わせるような斬って斬って斬りまくるチャンバラにしかカタルシスを覚えない人たち、殺人マシーンに斬られて大袈裟にのけぞって倒れるカラミの役者たち、きれいに着飾って生活の垢も感じさせず、それでいて現代口調でしかセリフを言えない女優たちを漫然と眺める人たち。縄田さんが言う『目の肥えた視聴者』(あるいは目の肥えた観客)がめっきり減ってしまったことも「灯が消えちゃった」と感じる一因でもあります。
 
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久しぶりにコメントします。

今日で終わりの京都“よしもと”国際映画祭が閑散としているようです。メイン会場は今回がこけら落としとなる桂川のシネコン…一応、市内とはいえ、どうしてこういう選択になるのか、首をかしげます。もちろん、今や「祇園花月」となった「祇園会館」での上映もあったようですが、もう「映画をはしご見する」と言う文化は、東京以外はなくなったのかもしれませんね。
企画は今回の池袋の時代劇の特集にもうたわれている御仁のようですが、恐らくうまく意見を通せなかったのかもしれません。池袋はその反動かも。といっても、結構、有名どころの作品ばかりですが、これも上映プリントはその程度しか残っていないのかもしれませんね。
私としては、笠原和夫のインタビュー本でも大々的に取り上げられてる『祇園の暗殺者』一択なのですが、ある東映時代劇通からは「監督は内出好吉でしょう。観たけど、印象に残ってへん」と手厳しい言葉が…。どうなんでしょうね?
にしても、今、時代劇の新作がロードショーされているんですが、まるで触手が動きまへん。せめて黒澤の弟子の作品だけでもとは思っているのですが、これもどんなものなのでしょうね?

ややもすれば・・・・友人さんへ

 内出好吉といえば、大御所・伊藤大輔の松竹時代劇の助監督を経て一本立ちになり、割と早い時期に東映時代劇のモノクロ時代にハンティングされたおっちゃんですが、可もなく不可も会社の要求通りの商品を仕上げた監督で、右太衛門、千恵蔵の映画も撮っていることから、重宝された人だったんでしょうね。
 東映時代劇の末期、河野寿一や松村昌治らとともに集団時代劇風の作品も撮っていますが、その後はテレビ映画の時代劇製作に移り、テレビ時代劇でも時間的制約がある中できっちり仕上げ、やはり重宝された本編風ショットで時代劇が撮れる監督だったのでしょうね。
 「祇園の暗殺者」が脚本・笠原和夫、監督・内出好吉を想起するたびに、ボクが思い出すのは脚本・笠原和夫、監督・小沢茂弘だった「日本侠客伝・刃」を彷彿します。
 これは同シリーズの最終作で、内容は「無法松の一生」的作品で、内出監督同様、エンタティナーだった小沢茂弘にしてはよくできた映画でした。
 笠原の本がよかったのでしょうね。だから、製作時期は大きく離れているけれど、
「祇園の暗殺者」もあるいは期待できるかもね。ボクはほとんど記憶にないけどね。

 今期の京都国際映画祭はひどかったようですね。今、映画祭と聞いて熱心に通う映画好きっているのかしらん? おっしゃる通り、はしご見をするというのが今も日本で観客に根付いているのかどうか・・・・。
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