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2013-05-24

学生ロマンス 若き日

              若き日130524

 小津安二郎監督の1929年の松竹蒲田作品でおますが、われわれが現在観ることができる小津安二郎の監督作品で最も古い映画だとか。優に84年も昔の作品(原作・脚色=伏見晁)で、しかし、出てくる風俗、街の風景こそ年代を感じさせるものの、内容は少しもカビ臭いことはおまへんのですな。

 つまり、若い男は勉学や仕事よりも自分に見合った女性を何とか手に入れようとする、女性のほうでも男性に言い寄られて悪い気はしないという、もう何十年、何百年となく繰り返し繰り返しドラマに描かれてきたお話であり、現代でもなお、そういうドラマが作られ続けております。

 女の子と知り合いたいと思っているのは結城一朗と斎藤達雄で、ともに同じ大学の親友でおます。彼らに気に入られる女の子は松井潤子で、清楚な感じの女性でおます。
 この結城一朗という俳優は小津映画へは1本きりのようでおますが、戦前まで俳優をしていた人で、戦後はプロデューサーに転向し、このころの娘役で、のちには恰幅のいいおばさんになった花岡菊子と結婚したそうでおます。
 結城君は大学の勉強より遊びに熱心で、要領のいい、ちょっとチャランポランな学生でおます。斎藤君のほうはあまり要領はよくないけれど真面目な、しかし、お人好しのところがある、小津の学生映画で斎藤達雄がよく演じているキャラクターでおます。

 後年、小津映画ではカメラが動くことはほとんどおませんが、この映画は冒頭、大学の最寄り駅から大学のキャンパスを経て周辺の街並みへとカメラが俯瞰で左へパン移動しとります。ラストは結局、元も黙阿弥になったという意味で今度は左から右へ同じ景色を俯瞰でカメラがなめて終わり、カメラのパン移動自体、まだ小津安二郎が自分のスタイルの確立には程遠かったことを偲ばせとります。






 この結城君、若い美人の女性と知り合いたくでたまりまへん。ごもっともなことですな。まだ20代の大学生が精力を持て余しているのは80数年前でも現在でも変わりおません。
 そこで考えたのが、自分の下宿の部屋を美人の女性に貸すことで、手っとり早く部屋の窓に「貸し間あり」の張り紙をして募集するのでおますが、訪ねてくるのはおっちゃんであったり、女性であっても自分の理想に合う人でなかったり。いずれもスルーでおます。ようやく、楚々とした松井潤子さんが訪ねてきて、めでたく契約成立でおます。
 ところが、部屋を貸したのはいいけれど、そのために結城君は部屋を明け渡さなくてはならなくなってしまいます。自分の計画では部屋を貸した女性と同居するつもりだったのでおますが、そんなこと、女性は承知しません。恋人でもないのに、見知らぬ男性と一間きりの部屋をシェアしようとする女性がいるはずがないのは今も昔も同じでおます。

 それにしても、結城君のしたことはいわば又貸しでおますが、結城君が借りている部屋の持ち主は何と考えていたのか、映画を観る限りでは結城君は下宿屋の子どもを使って又貸しの下宿人を募集し、潤子さんが入居することが決まったのはいいけれど、下宿屋のおばさん(高松栄子)は人のよさそうな笑顔を見せているだけで、そこんとこ、映画はまったく触れておりまへん。おかしな話でおます。

 ともかく、自分が又貸し人を募ったために部屋を出ていかざるを得なくなった結城君が転がり込んだのが斎藤君の部屋でおます。人のいい斎藤君がいやも応もなく、強引に同居を決め込んだ結城君はよく言えば世渡り上手、悪く言えば要領がいいだけのチャランポラン男でおます。
 しかし、ひと目で潤子さんに心魅かれた結城君は用もないのに「忘れ物を取りに来ました」と誤魔化して潤子さんのもとへ遊びに行ったりします。実は潤子さんは斎藤君とは知り合いで、デートまがいのこともしており、潤子さんは彼のために靴下を編む約束をしており、その靴下を編んでいるところへ結城君が遊びに来て潤子さんは「用もないのに困るわ…」と思いつつ、いやな顔もでけまへん。
 結城君のほうは、そんな潤子さんの困惑など、どこ吹く風かで、ちょうど潤子さんが編んでいた靴下を見つけると「僕に頂戴!」と、どこまでも図々しくできている学生でおます。

 結城君も斎藤君も大学のスキー部に所属しており、潤子さんもスキーが趣味であることから、このあと、赤倉へ合宿にでかけた結城くんたちスキー部の合宿の模様や、同じように赤倉へスキーに来ていた潤子さんをめぐって何とか斎藤君を出し抜こうとする結城君と、秘めたる想いをなかなか伝えられない斎藤君とのドタバタが繰り広げられ、結果、結城君も斎藤君も突然、潤子さんのおばさんの飯田蝶子が出てきたために潤子さんにはフラれてしまうという結末で、先に述べたような俯瞰のパン移動のシーンで終わるのでおます。

 ちなみに、学生たちには例によって若き日の笠智衆、後年、松竹映画の好人物なら、このおっちゃんとなる日守新一、喜劇俳優となる小倉繁などが演じてはります。
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