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2013-05-21

音声を持った映画は「マダムと女房」

               マダムと女房130521

 日本映画が初めて本格的な音声を伴った第1号の映画で、1931年に公開された五所平之助監督の松竹蒲田作品でおます。 
 今では音声付きの映画は当たり前で、むしろ、わざとサイレント映画にしてみたという作品のほうが珍しがられております。当時は活動写真、つまり映画が音声を持つということは革新的な出来事で、当初こそ、それまでのサイレント映画との混在がしばらく続いたようで、しかし、発声映画の出現は活動写真弁士の失職、セリフを満足に言えない俳優たちの凋落など映画業界に社会的変化をもたらしたようでおます。
 ほかの産業と同様、映画産業も日進月歩で進化を遂げていたのでおますな。

 東京郊外(おそらく)の、まだ田園風景がふんだんに残る新興住宅地に続くあぜ道のようなところを一人のチンドン屋が鉦や太鼓をかき鳴らしながら歩くショットから始まる「マダムと女房」は、ともかく、声、音、声、音があふれております。
 そりゃ、当然のことでおますな。
 なにしろ、本格的な発声映画の第1号でおますから、サイレント映画並みに無音では「金、返せ!」となってしまいます。 

 お話自体は、静かな住まいを求めて郊外の住宅地に引っ越してきた劇作家(渡辺篤)が、隣から聞こえてくるジャズバントのメロディーに悩まされて仕事ができず、クレームを言いに行くと主らしいジャズシンガーのマダム(伊達里子)の豊満なボディに悩まされ、歓待されて出された洋酒に酔ってミイラ取りがミイラになったように帰ってくると家で待っていた女房(田中絹代)はツムジを曲げていたという他愛のない、日常スケッチでおます。

 しかし、この若い夫婦の日常スケッチが初めて音声を発したこの映画の狙いどころでおます。
 チンドン屋が賑やかにかき鳴らす鉦や太鼓に始まり、さまざまな生活の中で耳にする、いわば生活音をスクリーンから発しているのでおます。


                                          




 口笛や犬・猫の鳴き声、赤ん坊の泣き声、目覚まし時計、ミシンを踏む音、車のエンジン音やクラクションなどなど、それまでの音が出ない映画の場合、口笛を吹くシーンや家畜が鳴いているシーン、はたまた赤ん坊が泣きわめくシーンなどが出てくれば、当時の観客たちは日常の生活で経験している生活音として記憶にインプットされた中から、そのシーンに見合う音を引っ張りだして音を実感していたのでおますやろね。
 観客自身が音を感じなければならなかったわけで、言い換えれば、サイレント映画では観客が知らない音は観客は感じようもなかったわけでおます。
 発声映画では観客のそうした自助操作は必要でなくなり、観客が観ている映画そのものが音を運んでくれるようになったのでおますな。
 そこで、この「マダムと女房」で考えられたことは観客たちに馴染みの深い生活の中で耳にしている音をあふれさせることだったのでおますやろね。映画自体が音声を届けられるようになれば、まだ観客が聞いたこともない音も届けられるようになります(代表的なのが俳優の声)。
 人間の話し声も含め、さまざまな音を見せ場、いや、聞かせ場とした映画でおます。

 振り返れば、映画の誕生以来、映画が技術革新を遂げるごとに、映画はその発明された技術革新をまず「見せ物」として公開する繰り返しでおました。
 静止画でしかなかったものが汽車が走ったり、人が歩いたりしている姿を捉えて活動写真が生まれ、やがて、音声を得て、色を得て、画面が横に広がり、そして画面の中のものが飛び出してくるかのような錯覚を与え、それらの技術革新の成果を披露する最初は「見せ物」として観客を楽しませることでおました。技術革新が、映画に内容的な深みを付加するのは、その先のことでおます。
 『まずは観客を驚かしてやろう』という見せ物的発想の繰り返しの歴史が、映画の技術革新の歴史に重なっていることが、この「マダムと女房」を現代から観ると、よく分かるのでおます。


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