--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012-12-10

続・別れたはずが健さん、原点回帰か

                文芸坐・高倉健121207

 東京・池袋の名画座で、この15日から開催予定の高倉健映画特集のことに触れた一文をアップしたら、熱心な読者? から「個々の作品解説をどうして付けてないんだ?」という無茶な横やりが入りました。
 高倉健映画といえば最近は今年公開の「あなたへ」を観ただけでおます。旧作を観ることもなく日々を過ごしているので、今度上映される昔日の映画群、そんなん、よう覚えてまへんがな。

◎昭和残侠伝(1965年、監督=佐伯清)
 このシリーズは7年間も続き、主人公の花田秀次郎(高倉健)と相方の風間重吉(池部良)は役名までが記憶にインプットされているコンビでおますが、終戦直後の浅草を舞台にした第1作は生き別れの妹(水上竜子)を探している池部さんこそ風間重吉でおますが、悪徳やくざと闘い、昔ながらの地縁でつながる浅草を残すために奮闘した健さんはまだ「花田秀次郎」を名乗っておらず、「寺島清次」と名乗っております。

◎昭和残侠伝 唐獅子仁義(1969年、監督=マキノ雅弘)
 シリーズ5作目。健さんとの因縁の一騎打ちで片腕をなくし、女房(藤純子)の芸者の稼ぎで暮らすヒモ状態の池部さんがまことによろしおますな。トシを経てから観るとガチガチに禁欲的な健さんキャラより、くずれた男の色気を醸す池部さんキャラのほうが数倍おもしろいんでおますな。かつて東京の芳町で芸者をしていたという設定の純子と小金稼ぎでどちらにも転ぶようなチンピラの待田京介との掛け合いは、いかにもマキノの世界でおます。

◎昭和残侠伝 吼えろ唐獅子(1971年、監督=佐伯清)
 シリーズ8作目で、前作まで長く監督を担当していたマキノ雅弘に替わり、3作目の「一匹狼」(1966年)まで演出していた佐伯清が返り咲いた作品でおます。かつて東映の若手スターとして出てきながら大きな役どころもなく腐っていた松方弘樹が、市川雷蔵の死去後、大映時代劇のエースになるべく頑張ったものの、大映の倒産で古巣に復帰した最初の作品で、若いやくざの弘樹と愛し合った女(光川環世)と添わせようと健さん扮する秀次郎は奮闘。しかし、焼き物で暮らす風間重吉の女房(松原智恵子)が、かつての秀次郎の恋人だったという皮肉もありでおます。この時、健さんは実生活で愛妻と離婚した直後でおました。

◎昭和残侠伝 血染めの唐獅子(1967年、監督=マキノ雅弘)
 健さんのもうひとつの人気シリーズ「日本侠客伝」の5作目「決斗神田祭り」(1966年、監督=マキノ雅弘)からストーリーを拝借しながら、マキノが新たに恋と喧嘩のお話を構築した作品でおます。ワキを水島道太郎、津川雅彦、河津清三郎などのマキノ映画の常連で固めながらマキノの「ご町内映画」が堪能できるほか、健さんと恋人の藤純子とのやり取りは絶品でおます。

◎いれずみ突撃隊(1964年、監督=石井輝男)
 やくざ出身の一兵卒が戦場で大暴れするという点で、勝新太郎主演の「兵隊やくざ」シリーズ(1965~72年)や若山富三郎主演の極道シリーズの「兵隊極道」(1968年、監督=小沢茂弘)の先を行った作品で、朝丘雪路や殿岡ハツエが「従軍慰安婦」に扮して観ているのでおますが、よう憶えとりません。

◎ならず者(1964年、監督=石井輝男)
 日本と香港を股にかけたギャング映画だそうでおますが、残念なことにボクは観落としているので何とも言えまへん。

◎人生劇場 飛車角(1963年、監督=沢島忠)
 男の身勝手、女の心細さを描いた作品でおます。命をかけて愛し合った男(鶴田浩二)が殺人罪で服役している間、行き場をなくした女(佐久間良子)が男の知り合い(高倉健)に頼るように身を任せたことから起こる悲劇を時代劇作家だった沢島忠が、こってり時代物のように男女のアヤを描いとります。尾崎士郎の長編小説「人生劇場」の「残侠篇」の映画化作品でおます。

◎侠骨一代(1967年、監督=マキノ雅弘)
 マキノの母恋いのお話でおます。高倉健が女とイチャイチャするより、親不孝をしている母親に対する思いが最も似会うキャラクターと見抜いたマキノが全編、主人公の母恋い物語で染め上げた一篇で、母親役の藤純子が、成長した主人公が出会う銘酒屋の女にも扮して二役を演じてはります。あばずれな女なのですが、最後に「あばずれじゃなかったでしょ」と呟くのが何とも泣かせ、健さん扮する主人公はそんな女に母親のイメージを託し、手を出せないというのもおもしろ、悲しい結末なのでおます。

◎ジャコ萬と鉄(1964年、監督=深作欣二)
 かつて東宝で映画化された監督・谷口千吉、脚本・黒澤明の「ジャコ萬と鉄」の再映画化作品でおます。三船敏郎が演じた網元の次男坊を健さんが演じ、月形龍之介が演じた男を大天界の主人になる以前の丹波哲郎が扮しております。健さんが酒席でやけくそのように踊るバカ踊りがみもので、大物になって以降の高倉健には見られないアホっぽさが楽しめまっせ。

◎狼と豚と人間(1964年、監督=深作欣二)
 深作お得意のスラム街に育った3兄弟のお話で、組織に忠実な長男の三国連太郎、組織に牙を剥く二男の高倉健、スラム街を抜け出そうと必死の三男の北大路欣也、それぞれの思いが交錯する確執のうち、結局、より大きなものに振り回されていたというオチは深作欣二の見据えていた社会構造でおますな。

◎網走番外地 望郷篇(1965年、監督=石井輝男)
 第1作「網走番外地」(1965年、監督=石井輝男)のヒットで、このシリーズは年2本の割で1本は九州、もう1本は北海道を舞台にしとりましたが、これは第3作の長崎が舞台でおます。刑期を終えて出所した主人公がもとの所属組織の難儀を救うという話は定番ながら12聖人の像をバックに繰り広げる黒人の孤児の少女(林田マーガレット)とのやり取り、サングラスに白装束のキザな殺し屋(杉浦直樹)との決闘などはみもの。元の恋人には、この手の映画には珍しく、桜町弘子が演じてはります。

◎網走番外地 南国の対決(1966年、監督=石井輝男)
 今回の特集で選ばれた番外地シリーズは夏場の九州篇ばかりで、第6作のこの作品もしかり。お話はいつものごとく、ワルなやくざの親分が許せず、死んだ親分の仇を討つため、主人公が立ち上がるというお決まりのストーリーで、今回の殺し屋は新東宝時代から石井輝男とは縁の深かった吉田輝雄が扮しとります。

◎山口組三代目(1973年、監督=山下耕作)
 東映任侠映画が完全に傾き、それに替わるように実録やくざ映画が台頭してきた、その替わり目のころに企画された実在の暴力団組長の青年時代を描いた映画でおます。ウリは実録やくざ映画、しかし、実質は任侠映画そのもので、任侠映画の雄であった山下耕作が監督なら、それも当然というべきか。涙なくしては見られぬ浪花節的サクセスストーリーで、ラストの健さんと菅原文太との一騎打ちなどは、こってり任侠映画なんでおますな。

◎ゴルゴ13(1973年、監督=佐藤純弥)
 さいとうたかおの人気コミックの映画化で、かつての「荒野の渡世人」(1968年、監督=佐藤純弥)同様、全編、海外ロケの映画でおますが、ボクはこんなん、観る気もおませんでした。

◎日本侠客伝(1964年、監督=マキノ雅弘)
 「昭和残侠伝」に先立つこと1年の純正東映任侠映画の傑作でおますが、かねがね「やくざな生活はしても、やくざにはなるな」と言っていたマキノの職人映画でおます。ここでいう職人とは東京・木場の材木搬送人のことで、材木販売の利権を狙うやくざ組織に健さん扮する職人が立ち向かう話でおます。マキノの一種のご町内映画で、完全セットの建て込みに、今は失われつつある映画美術の粋を見ることができます。

◎日本侠客伝 浪花篇(1964年、監督=マキノ雅弘)
 シリーズ2作目。大阪で死んだ沖仲仕の弟のために大阪を訪れた健さんが弟が世話になっていた荷受けの組のために一肌脱ぐ映画で、これもご町内映画でおます。仲良くなった長門裕之と女郎のハ千草薫、旅人の鶴田浩二と女郎屋の女将の南田洋子との悲恋もからまり、健さん、ご町内の衆とともに頑張ります。極悪の斬られ役の親分には大友柳太朗が扮しとります。

◎日本侠客伝 関東篇(1965年、監督=マキノ雅弘)
 シリーズ3作目。船に乗り遅れてしまった外国航路の船員の健さんが、たまたま世話になった東京・築地の魚問屋の窮状を見かね、魚市場の利権を牛耳ろうとするやくざ(天津敏)を相手に闘うお話でおます。これまた、ご町内映画で長門裕之、待田京介、藤純子、北島三郎などがご町内の衆として彩ってはります。健さんと魚問屋の跡取り娘の南田洋子とのほのかな愛のシーンもマキノらしさにあふれ、みものでおます。

◎日本侠客伝 斬り込み(1967年、監督=マキノ雅弘)
 シリーズ7作目。テキ屋稼業で暮らす子持ちのヤモメ男の健さんが、縁あってテキ屋の元締となり、敵対する同業者のいやがらせに立ち向かう話で、のちに女房になる親分の娘の藤純子との、女房が夫の窮地を救おうとする時のやり取りが見せ場になっとります。長門裕之、南田洋子、金子信雄などが健さんの応援に立ち上がるのも、ご町内映画ゆえでおますな。マキノは後年、日活やくざ映画のために、この作品を高橋英樹、和泉雅子主演の「牡丹と竜」(1969年)としてリメイクしてはります。


 
 





◎夜叉(1985年、監督=降旗康男)
 やくざの足を洗い、堅気として生きる男の話で、健さんと北野武の初顔合わせ作品でおますが、これまた観ていない高倉健映画の1本で、従ってボクは何とも言えまへん。

◎冬の華(1978年、監督=降旗康男)
 心ならずも兄貴分(池部良)を殺し、服役していた男(高倉健)が出所後、女学生に成長した兄貴分の娘(池上季実子)を遠くから見守ることから当時、やくざ映画版「足長おじさん」と言われておりましたが、何のことはない、こりゃ、長谷川伸の「関の弥太ッぺ」でおますがな。出所しても、なおやくざ社会の付き合いが男を追いかけてきて、遂には抜けきれず……。出所して用意されていたマンションには長いコードの黒電話があるきりという設定が寒々とし、脚本・倉本聡、音楽・クロード・チアリという、健さんの東映時代末期の逸品でおます。

◎幸福の黄色いハンカチ(1977年、監督=山田洋次)
 映画デビュー以後、せっせと東映の三角マーク付きの映画でさまざまな男を演じてきた健さんが、三角マーク以外の世界もあることを知る衝動を与えたと言っても過言ではない、松竹映画でおます。当時、「男はつらいよ」シリーズで会社を儲けさせる代わりに年に数本、自分の思う映画を撮っていた山田洋次と健さんの出会いの作品で、アメリカ映画でリメイクされとりますな。健さんはやくざではないけれど、酔った勢いで人を殺し、出所してくる炭鉱労働者を演じとります。

◎無宿(1974年、監督=斎藤耕一)
 無鉄砲な男(勝新太郎)と寡黙なやくざ(高倉健)に流れ者の女(梶芽衣子)が絡むお話で、勝新との唯一の共演作品でおます。当時、東宝と東映のバーター契約で健さんが初めて東宝マークの映画に出演するかわりに東宝と配給契約のあった勝プロの勝新が初めて三角マークの映画に出ることになりましたが、勝新が主演した「海軍横須賀刑務所」(1974年、監督=山下耕作)も珍妙な映画でおました。

◎君よ憤怒の河を渉れ(1976年、監督=佐藤純弥)
 今、大映作品の版権は角川書店が持ってはりますが、かつて徳間書店が版権を保有していたころの、いわゆる「徳間大映」の超大作で、このころから大作映画づいていた佐藤純弥と健さんの「新幹線大爆破」に続く顔合わせ作品でおます。ハメられた検事役の健さんがが真犯人を追って相手役の中野良子ともども馬を駆って走り回るという壮大な? 映画で、高倉健、中野良子が中国での公開により一躍、中国人の人気者になったという作品でおます。

◎新幹線大爆破(1975年、監督=佐藤純弥)
 ストップすれば爆破してしまう爆弾装置が仕掛けられた新幹線が走り続けなければならないという、スリルとサスペンスの一篇。多くの乗客を乗せた新幹線が狙われるなど、今ではJRの許可も得られそうにおませんが、当時も協力は得られず、新幹線の外観は撮影できても内部はセット撮影、一部、ミニチュアの新幹線が走っとります。健さんは倒産した町工場の経営者で、学生運動くずれの男(山本圭)と沖縄からの集団就職の青年(織田あきら)と組んで爆弾装置を仕掛ける犯人役でおます。高度経済成長に乗れなかった男たちが高度経済成長を象徴する新幹線に挑む話でおますな。封切時、ヒットしなかったのにフランスではヒットし、凱旋公開された映画でおます。

◎海峡(1982年、監督=森谷司郎)
 青函トンネル建設に意欲を燃やす技師たちのお話で、健さん以外に吉永小百合、森繁久弥、三浦友和なども出てはりますが、このころ日本映画界で流行していた大作映画の1本で、当時の日本は景気がよかったのでおますやろね。関連企業の協力を得て製作されているものの、大作すぎて、よう憶えていないのが正直なところでおます。
 
◎八甲田山(1978年、監督=森谷司郎)
 実際に起こった雪中行軍遭難をドラマ化した、橋本忍主宰のシナノ企画作品。青森の陸軍連隊の兵隊さんたちが猛吹雪の中、ひたすら歩き続け、おかげで演じている俳優も誰が誰なのか、判別しがたいという、内容には関係のない部分で「困ったちゃん」映画でおます。遭難する側の将校を演じた北大路欣也が呟く「天はわれを見放した」は流行語になりましたが、行軍に成功する側の将校の健さんが大雪に殉じた北大路を抱きしめるショットは意味深? でおますで。

◎ホタル(2001年、監督=降旗康男)
 ラスト、エンドタイトルを見ていて、びっくりしました。出演俳優の序列の締めに小林稔侍が来ているではありませんか! 小林稔侍といえば今でこそ、テレビではナイスミドルなおじさん役を演じてはります。主役を演じても華がないのが難でおますが、かつては高倉健映画以外でも東映映画ではチンピラ役、斬られ役をしていた人でおます。トップに来る健さんの向こうを張って締めにランクインされるとは、稔侍も出世したものよのう~なんでおました。

◎鉄道員(1999年、監督=降旗康男)
 浅田次郎原作の大ヒットした作品でおます。しかし、このころの健さんが好んで演じた中年~初老の男の生き方が妙にうっとおしく、この作品は観ておりまへん。

◎動乱(1980年、監督=森谷司郎)
 昭和の戦前に起こった2・26事件に参加する将校の苦悩を描いた作品で、健さんは貧しさから身売りした女(吉永小百合)を妻にしたため、周囲の反感を買い、それにもめげず、夫婦が夫婦として過ごしていく中で決起将校の群れに身を投じ、処刑されるという軍人さんでおます。将校の決起の一因とされている東北の農村の疲弊から妻のような身売り、あるいは農村出身の部下(永島敏行)の脱走が描かれとりますが、どうせ描くなら当時の腐敗した政財界のからくりこそ描いていれば…ね。

◎四十七人の刺客(1994年、監督=市川崑)
 今回の特集のラストを飾るのは、内田吐夢監督の「宮本武蔵 巌流島の決斗」(1965年)以来の、健さんの本格的時代劇でおます。演じるのは大石内蔵助で、奥さんがタヌキの目の浅丘ルリ子、愛人を力士との婚約解消直後の宮沢りえでおます。まことにもって異色の忠臣蔵映画で、暗い、うっとおしい、面白くないの三拍子そろった映画で、若いころ、才気渙発だった市川崑の晩年は……どうしようもありまへん。

関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。