2006-05-04

41)育児奮闘記の「遊侠列伝」

遊侠列伝110803


 1970年の東映京都作品、高倉健主演「遊侠列伝」(監督・小沢茂弘、脚本・大和久守正)は、健さんが妻に先立たれて残された一人息子の育児にオロオロするという、哀しくもおかしな映画です。
 現実の高倉健は子供もいないのに、なぜか、おとーちゃん役が似合っているんですよね。本妻との間以外にも子供があった鶴田浩二がオヤジ役が似合わなかった(避けていた?)のと大きな違いです。


 この映画では健さんは、各地の祭りなどで物品を販売する男(テキヤ)です。そして、兄貴分の天津敏の妹と恋に落ち、駆け落ちしてしまいます。愛する女に扮するのは、わがご贔屓の藤純子です。
 兄貴の天津敏は妹を大変可愛がっています。その心は兄貴というより、父親そのものです。将来は堅い職業の男と結婚させてやるんだと思っているのに、妹は自分と同じ仕事をする男と仲良くなってしまいます。兄貴は許せません。大事な妹を奪った健さんが憎くてたまらず、執拗に二人の行方を追います。

 任侠映画では悪役の多かった天津敏が、ここでは妹思いの、だからこそ、妹をさらった健さんが憎くてたまらないという泣かせる男を演じています。
「日本女侠伝 血斗乱れ花」(1971年、監督・山下耕作)でも天津敏は義理と人情の板ばさみになって苦しむ川筋船頭の親方を演じており、このニ作品は単純悪でない役柄で観客を魅了した双璧でしょう。
 その分、憎まれ役は悪役では実力を二分した遠藤辰雄が一手に引き受けております。

 さて、駆け落ちした二人は各地をさまよいます。しかし、純子は愛する男と一緒なので幸せそのものです。ただ、心配なのは健さんが喧嘩早くて辛抱が足らないことで、いつも気に病んでいます。
 そんな二人に男の子が生まれ、いよいよ、これからだという矢先、純子は病に倒れ、やがて、夫と子供の行く末を心配しながら亡くなります。
 いまはの際の純子の言葉が泣かせます。

 「あんたは赤ん坊のまま大人になったような人だから、心配だわ・・・」

 女房というより、純子さん、健さんの母親のような気持ちでいたんですね。女房にそう心配される通り、健さんは子供っぽく、ここは当時の高倉健、のキャラクターを考えた設定なのでしょうが、男とおんなが一緒になると、やがて、おんなは男に対して妻というより母親的な存在になるという夫婦関係の一つの形がよく表れております。

 最愛の妻に先立たれ、乳飲み子を残された健さんは、それからの育児に戸惑ってしまいます。そんな健さんに何かと世話を焼く酌婦(ホステス)が登場します。演じるのは浜木綿子ですが、このあたり、三船敏郎や三國連太郎が主演した「馬喰一代」のパクリですね。
 ちなみに、健さんの息子役を演じた子役は36年後の現在、真田広之となっています。ついでにいうなら、各地をさまよった健さんと純子が世話になるテキヤの元締め・嵐寛寿郎の小学生の娘は藤山直美が演じています。
 
 藤純子ファンサイドからいえば、この作品では純子は途中で退場してしまうのでガッカリな映画でしたが、その分、世にも優しい、慈愛溢れる女房像を見せてくれています。
 酒呑みで暴れん坊、テキヤ稼業以外に何も知らない不器用な健さんの世話を甲斐甲斐しく焼き、そっと温かく亭主を包み込んでいます。

 ま、「こんなおんな、おらへんで」と言えば、それまでですが、任侠映画の作り手たちが純子に託した男の夢ですね^^
 生活に疲れた表情の純子の頬に幾筋かの髪の毛が乱れているのを見た時、緋牡丹のお龍とはまた違う「おんな」を感じて、純子ファンにはたまらない作品の一つでありました。 
 
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久しぶりでもないです

連日のような書き込みです。別に愚痴った訳じゃないけど。今の現状ですわ。でも、同じ派遣に、好みの女の子がいましてね…。まあ、この仕事も今月末で終わりですから、それまでですけど…。ということで、疲れ果てて、本日はリサーチを出来ずじまいです。これから、近くのシネコンで『ニューワールド』を観ようと思います。寝てしまいそうですけど。それにしても、シネコンはいいけど、指定席というのは腹立たしい。上映時間が始まっていて、急いで入ろうとしても、あれやこれや言われる。あのなぁ、大人なんやから、どの席に座ろうと、好きにさせぇや。どうせガラガラのくせに。最近も、自由席だった大阪の小屋が指定席に変わっていた。つい半年前は自由に座れたのに、どういうことだ。しかも、映画は史上最低の映画だった。ちくしょう。火を付けるぞ!!←と、こんなことを書いたら、これからは捕まることになりそうですね。
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