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2012-11-01

加藤泰を思い出した「高瀬舟」

               高瀬舟121031

 東京のお友達さんから「工藤栄一が監督しているんだって」と教えられたのが、CSで放送された1988年に製作された「高瀬舟」でおます。
 森鴎外の有名な短編小説のドラマ化でおますな。「へぇ、こんなんあったんかいな」と思っていたら、お友達さんによると、学校教材の教育映画だそうな。脚本は松山善三、監督が工藤栄一、そのほかの撮影・石原興、美術・太田誠一などのスタッフは京都映画(現・松竹京都撮影所)のメンツでおます。ナレーションは、当時「家政婦は見た!」真っ只中だった市原悦子さん。

 題材が小舟に乗った役人(前田吟)と島送りになる囚人(岡田吉弘)のやり取りだけで、場所も限定されているため、舞台劇の趣きでおます。舞台は京都の、堀割のような高瀬川でおますので、撮影所のセットに堀割を掘削し、そこへ小舟を浮かべ、時々、溜まり待ち(行き違う商用の舟を先に通すため、舟待ちすること)する風景や川沿いに見え隠れする町家の人々の暮らしぶりをさりげなくカメラに収め、さすがに教育映画らしく、京都の生活風景を取り入れとります。
 画像はラストのワンショットで、高瀬川を下ってきた囚人舟が伏見あたりで川幅の広い淀川に出てきたところでおますやろね。

 お話は貧困に喘ぐ中で兄が弟(荒井紀人)の自殺をほう助して島送りになったことを役人が舟の中で尋ね、聞くというもので、自殺ほう助、つまりは安楽死がテーマでおます。さすが、原作者はお医者さんだけあって、貧困、生活苦などを目撃していたのでおますやろね。

 このドラマを観ているうちに、ハタと思い当ったのが加藤泰でおました。
 「加藤泰にも、よく似たホンがあったぞ……」





 かつて、毎週月曜の夜、TBS系で「水戸黄門」と交互に放送されていた「大岡越前」の一篇でおます。
 調べてみると、1970年、「大岡越前」の第一シリーズで5月に放送された『裁かれた者は…』でおました。1970年とは、もう気が遠くなるような昔でおますな。

 やはり、安楽死を扱っている一篇で、貧乏長屋に病気の姑(高橋芙美子)を抱えた働き者で未亡人の嫁(大谷直子)が住んどります。ある日、嫁が出先から帰ってくると、姑は自分の喉に包丁を突き立て、死にきれずに苦しんでいるところでおました。姑は「早く死なせてくれ」と懇願しますが、嫁にはできまへん。

 姑は病気の自分がいては嫁に迷惑をかけるばかりと覚悟の自殺を図ったのでおますが、運悪く一発で死ねなかったのでおます。苦しむ姑を見過ごせず、意を決した嫁は包丁を引き抜き、姑は死んでしまうのでおますが、これまた運悪く、包丁を引き抜いたところへ長屋のおかみさんが訪ねてきて、親殺しの罪状で嫁は捕縄されてしまいます。

 嫁が姑によく尽くしていたことを知る長屋の連中の助命嘆願が功を奏し、大岡裁きで嫁は町内預けとなるのでおますが、面白いのはここからで、判決を受けた嫁は「もし、目の前で死にきれずに苦しんでいる人を見たら、どうすればいいのか」と越前に迫るのでおますな。越前さん、タジタジ…。
 つまり、安楽死問題の国家権力への提起でおます。

 加藤泰脚本によるこの一篇、鴎外の「高瀬舟」がヒントやったんですな。
 今さらながらの遅すぎる気付きでおました。

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