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2012-10-09

たおやかな烈女を描く「花のあと」

              花のあと 121009

 ひところ流行した藤沢周平の小説を映画化した作品の1本でおます。珍しく男性が主人公ではなく、女性、それも武家娘が主役で、それを北川景子が演じてはる時代劇でおます。脚本は長谷川康夫、飯田健三郎、監督は中西健二でおます。

 この映画が公開された時(2010年)、大阪在住の友達がえらく絶賛していたのでおますが、公開時に観る機会を逸し、それから2年、ようやくのCS放送での見参でおました。
 なるほどねぇ…ふむふむ…しかし、何と映画としての「この小ささよ!」なんでおました。

 ある老女の声で自分が若かった時を振り返るナレーションで映画が始まるのでおますが、当初、「誰やろ?」とナレーションの声を聴いて「岸田今日子…? しかし、あの人はあっちの世界に引っ越して、この映画が製作された時にはいないしな…」といぶかしみ、やがて、その声の主は「吉行和子?」になりました。でも、ちょっと違う…。
 後半に至り、ようやく分かりました。声の主は、藤村志保でおました。彼女の低音部に特徴のある声域から分かったのでおますが、最後、クレジットタイトルで確認しました。

 最近の日本映画は尺をケチるのか、スタッフ、キャストはすべてラストに出てくるので、ナレーションの声に限らず、登場する俳優も顔を見知っていないと「誰やったんかな?」と、まるで判じ物でおます。あとでしか紹介されないとは、俳優さんも大変でおますな。
 最後にスタッフ、キャストをロールで紹介するのは明らかに外国映画の影響でおますが、そのお手本の外国映画でも最初に主要メンバーは紹介くらいしてますで。日本映画は冒頭、題名を記すだけで、ほかはいっさいなしのつれないものでおます。
 公開中の「あなたへ」では、久しぶりに主要キャストと監督名を最初に紹介することが復活していましたけどね。こんなところにも友達のメールにあった「普通の日本映画らしい映画」の意味もあるのかもしれまへん。






 舞台は、藤沢周平が考えた東北地方の架空の小さな藩、海坂(うなさか)藩。
 その藩の重役(國村隼)の一人娘に生まれ、武芸達者の評判が高い以登(北川景子)が、藩随一の剣の達人、江口孫四郎(宮尾俊太郎)の恥辱を晴らすお話でおます。

 お以登さん、江口君と木刀で試合をし、江口君のりりしさに強く恋心を抱いてしまうんですな。しかし、2人はそのことに触れることもなく、別れてしまいます。お以登さんには江戸へ出張中の片桐才助(甲本雅弘)という婚約者がいてます。才助は一見、風采の上がらない侍でおますが、やがては夫婦になり、自分の生家を継がなくてはならないので、ほかの男によろめくなんて許されまへん。

 江口君にも婚約者がいてはります。しかし、この婚約者が重臣の藤井さん(市川亀治郎=現・市川猿之助)と不倫の仲でおます。藩の娘たちのもっぱらの噂でおますが、不倫現場を町の料亭なんぞに選んでいるようでは、そら目立ちますわな。
 江口君はそんなことを知ってか知らずか、やがて江戸出張を命じられ、幕閣へのあいさつで、えらい失態を演じてしまいます。そして、そのことを恥じて切腹して果てます。実は、この江戸出張で失態を演じてしまうことは藤井さんの策略で、藤井さん、公金横領をしているうえに不倫がばれたら自分の身が危ないので、それが江口君の口から洩れたら一大事になるため、江口君が切腹するように謀ったのでおますな。

 忘れ得ぬ江口君の謎の切腹を知り、ここから、お以登さんの反撃が始まります。
 国元へ帰ってきた才助を利用し、不倫の噂話が本当かどうかを探らせます。才助さん、がさつな男でおますが、意外に切れ者で、不倫が本当であることのほか、汚職まで探り出してきます。
 あとは、どうやって藤井さんを追い詰めていくか……でおます。

 結局、お以登さん、藤井さんを追い詰め、江口君へのひそやかな仇討ちを果たすのでおますが、話はおもしろおます。かつての山本周五郎の小説のように、武家物であっても武勇を鼓舞する侍の話ではなく、武家者であっても、われわれと同じ喜怒哀楽に生きている人間であることに変わりはないという視点で、藤沢周平も話をつむいでいてはります。

 しかし、それが映画となった時、この映画の器量に小ささを感じてしまうのですね。莫大な製作費用をかけて派手に色を塗るばかりが映画ではおませんし、この作品はむしろ、あまり製作費はかかっていないことはセット、ロケ、俳優などからうかがい知れるので、その弱点を逆手に取ることなく、ささやかさに終始しているところに器量の小ささを感じてしまうのでおますやろか。
 ふた昔前なら、主力商品とともに公開された併映作品の趣きでおます。


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