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2012-09-06

ご老公は化け猫とも共演の「水戸黄門漫遊記 怪猫乱舞」

               怪猫乱舞2 120905

 昨年、縁あって伊賀山正徳(のちに正光)監督の作品歴を調べたことがおますが、その作品歴に含まれていたのが、これ。1956年の東映京都作品で、当然、モノクロ。スタンダード画面でおます。

 戦前から活躍していた伊賀山監督は今ではもう埋もれてしまった量産監督の一人で、作品歴を見ると現代劇から時代劇、戦争物、アクション物、アイドル映画、恋愛物など、いやはや、何でもござれで、映画が撮影所という工場で次々と生み出され、映画産業がまだ日本の産業界の一角を占めていたころの、映画監督が企業に重宝されていた時代の企業戦士の一人でおます。
 戦後は大映、東映と渡り歩き、ボクが映画を観始めたころは主に東映東京で現代劇の監督だった人で、最後は東映系のテレビ映画(「特別機動捜査隊」など)に移っていかはりました。「水戸黄門漫遊記 怪猫乱舞」は時々、東映京都に出張って時代劇にタッチしていたころの作品で、当然、ボクはリアルタイムでは知りまへん。

 黄門映画はかつて、時代劇の一ジャンルとして戦後の日本映画6社でさかんに製作され、水戸黄門を演じる役者も大河内傳次郎、市川右太衛門、長谷川一夫から古川緑波、柳家金語楼、森繁久弥、花菱アチャコ、伴淳三郎などの喜劇人も演じ、さらには中村鴈治郎、阪東好太郎、宇佐美淳也も黄門を演じてはります。
 そんな中で、月形龍之介が黄門に扮した映画は全14作品。最多の本数でおます。1954年の東映京都作品「水戸黄門漫遊記」(監督・伊賀山正徳)に始まる月形黄門は、ちょうど東映の時代劇が隆盛期を迎える時期と重なり、1957年には月形龍之介の芸能生活30周年を記念した「水戸黄門」(監督・佐々木康)がオールスター作品として製作されとります。
 俳優個人の記念映画といい、一社所属の俳優によるオールスター映画といい、東映に限らず日本映画村全体が空前の活況を呈していたのでおますな。今では「ホンマか?」というような話でおます。

 映画だけでなく、テレビのほうでも黄門ドラマはおよそ40年間放送されとりましたが、日本人ってよほど、この神頼み的なドラマが好きなんですね。水戸黄門、すなわち、徳川家康の孫に当たる徳川光圀が諸国を漫遊したのかどうかはともかく、黄門が全国を歩き、行った先々でワルを懲らしめるというストーリーは自分たちの力では困った状況を打破できない弱者の願望を込めて「こんなもん、あったらいいな」とドラえもんのポケットやおまへんが、生まれて定着したんでおますやろね。

 さて、月形黄門映画の第8作になる「怪猫乱舞」では、黄門さん、化け猫と共演しとります。
 このころの月形黄門映画にはゴリラやマウンテンヒヒなど、人間ではない生き物が出てくる作品が続いており、「怪猫乱舞」もその一本で、タイトル通り、化け猫が乱舞しているのでおます。







怪猫乱舞120905

 上州(現在の群馬県)を旅する黄門主従&姐御が、複数の侍たちに追われる若侍(東宮秀樹=石井一雄)を救ったことから大名のお家騒動に首を突っ込む一篇でおます。
 主従の助さんに加賀邦男、格さんは月形龍之介の息子の月形哲之介が扮しており、ご両人いささか地味目。この助・格にはのちに大川橋蔵や東千代之介、里見浩太郎(現・浩太朗)、中村加津雄(現・嘉葏雄)、北大路欣也、松方弘樹などのスターが演じておりますが、このころ、まだ華やかなスターが育っていなかったことがよく分かります。
 &姐御は千原しのぶ演じる緋牡丹のお蝶と二つ名の姐さんで、テレビ版「水戸黄門」の由美かおるの先輩格でおますな。ムサい男の三人旅に花を添える一輪で、しかも、格さんとは恋仲というおまけ付きで、このころの月形黄門映画のレギュラー陣の一人でおます。

 さて、お家騒動のほうは主君(清川荘司)が病臥中であるのをいいことに側室(朝雲照代)とデキている国家老(青柳竜太郎=ワルのメーンって珍しおますな)がお家乗っ取りを企むという、よくある話でおます。跡継ぎの姫君(丘さとみ)は狂気に至ったということで幽閉中、忠義の中﨟(月丘千秋)が四面楚歌の中、孤軍奮戦でおます。
 黄門主従が助けた若侍は、お家の一大事で近在を漫遊している黄門の助力を得るため、脱藩してまで黄門を探していた最中で、こうして黄門さんたちがお城に乗り込むことに。ここで、めでたくちゃんちゃんとなったら、お待ちかねの化け猫の出番がおまへん。

 城に乗り込んだ黄門主従&姐御、改心したと見せかけた側室や国家老の策略で、宴会中に眠り薬入りの酒を飲まされ、そろってダウンしはります。ダウンしている間に、中﨟が殺されてしまいます。この人、お蝶さんの生き別れしていた実の姉だったというおまけが付いているのでおますが、それにしても、すぐに人を信じてしまった黄門主従、黄色信号でおますな。

 あえなく国家老たちに殺されてしまった中﨟のかわいがっていた猫に、主人の怨みが乗り移り、いよいよ化け猫さん、出番です。
 まず狙われるのは姫君の監視役で、中﨟をいじめていた側室側の奥女中で、扮するは赤木春恵でおます。
赤木さん、キューと目尻を上げたメイクで同僚役の鳳衣子とともに、いじめ役で出てはりますが、化け猫にとっつかまって首筋をガブリッとやられるわ、猫踊りさせられるわで、化け猫映画の定番シーンを見せてくれはります。もちろん、猫踊りの飛んだり、跳ねたり、バクテンをしたりのアクロバット的な動きはスタントウーマンでおますけどね。

 化け猫を演じるのは、もちろん、中﨟役の月丘千秋で、月丘夢路の妹でおますな。ざんばら髪におなじみの能衣装の出で立ちでおますが、顔はきつめのメイクだけで、目を吊り上げ、口は耳まで裂けたような、例の化け猫メイクではおません。このころ、月丘千秋はスター女優だったので、とてもスターに化け猫メイクはさせられへんという会社の方針だったのでおますやろね。
 上掲の画像は、赤木さんをたいらげた猫の月丘さんが、行燈の油をペロペロの図でおます。

 赤木春恵の奥女中をかみ殺したことでハズミの付いた月丘化け猫は続いて腰元(美山れい子)を襲ったり、国家老の腹心で自分を退治しようとした侍(海江田譲二)をかく乱させたりで大活躍でおます。最後は、ようやく蘇生した黄門主従とともに国家老を追い詰め、側室もガブリッとやって、ようやく化け猫は安息の時間を得るのでおますが、国家老の腹心をかく乱させるシーンが秀逸でおます。

 自分と同じ女中を何人も出現させ、踊る、舞うの、まさに乱舞で腹心の気持ちをかき回してゆきます。まさに、はるか後年の中島貞夫のくの一映画(1964年)や鈴木則文監督のくの一映画(1967年)の先を行っているようでおます。
 まだコンピュータ・グラフィックという便利なツールがある時代やおません。スリムな月丘千秋の体型に似た何人もの女性を横一列に並べたり(中に一人、太めちゃんも……)、もちろん、フィルムの二重焼きも多用したりして、この乱舞シーンの恐ろしさを盛り上げているんでおますな。おかげで、海江田さん、あまりの恐ろしさに逃げ出してしまう始末。
 こういうアクティブな、怨み骨髄の積極的な化け猫って、ホンマ、よろしおます。


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