2012-08-01

ここから始まった「東京五人男」

               東京五人男120730

 古川緑波、横山エンタツ、花菱アチャコ、石田一松、柳家権太楼。
 
 1945年11月に封切られた斎藤寅次郎監督の東宝映画「東京五人男」の五人衆の面々でおます。
 もはや歴史上の人物ばかりで、このうち、ボクがかろうじてリアルタイムで見たことがあるのはエンタツ、アチャコくらい。先日、NHKのBSで放映されていた古い映画でおます。ボクなんぞ、まだ親の胎内に命の芽生えすらなく、その親のほうもまだ夫婦にはなっていない、戦争が終わって「やれやれ」の時代でおます。

 過ぎ去った昔の作品を現代の目で見ることはできないことはよく言われていることでおますが、すると、その作品からはるか後年に生まれた者はどんな目をもって観たらいいのか、頭の中は差し引き、足し算で忙しおます。
 東京が見渡す限り、焼け野原だった時、ほとんど何にもない光景を使っている映画でおますが、当時の観客はどんな気持ちで観ていたのか。娯楽に飢えていた時代ですから、どんな映画であっても映画小屋に観客は詰めかけただろうことは想像できますが、かつて喜劇の神様と謳われた斎藤寅次郎監督、何とも中途半端な感じでおます。
 得意としたドタバタ喜劇で全編を押すのかと思えば、エンタツ・アチャコの壁一枚を隔てたギャグを見せてはいるものの、そのようでもなく、鈴なりの市電、食糧配給所のごまかし、配給物を求めて並ぶ長蛇の列、都会の買い出しで物持ちになった農家など、世相を皮肉るシニカル風かと思えば、そうでもなく、かといって渾然一体にもならずでおます(脚本・山下与志一)。
 唯一、楽しかったのは買い出しで苦労する緑波が学童疎開から帰ってきた息子と野天風呂に入り、得意の歌を唄いまくるシーンでおました(音楽・鈴木静一)。

 にわか成金のような農家の主人の高瀬実乗や高堂国典、メチルアルコールで酒を増量する飲み屋のおやじの永井柳太郎、軍用物資を貯め込む会社重役の鳥羽陽之助などの当時の東宝映画の脇役に加え、エンタツ、アチャコの奥さんに扮しているのが戸田春子と田中筆子。のちに独立系プロの映画で活躍したおばちゃんたちでおますが、せめて若手を起用したらよかったのに…。女優はおらんかったのか?


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