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2006-04-23

34)菊は咲けども「任侠列伝 男」

 一日のうちに3回も更新したので、ブログつながりの管理人・ヤノさんから「いきなりペースアップして、どーしたの?」というコメントをいただきました。
 いえ、気がおかしくなったのでも、生き急いでいるわけでもありません。カレンダーを見てもらえば分かるように先週はウイークデーに一度も更新していません。だから、休みだった昨日の土曜日はまとめて更新しただけで、今後もチンタラ更新を続けていきますので、どうか皆さん、よろしゅうおたの申します。

 さて、今回も「任侠映画懐古」です。
 鶴田浩二主演の「任侠列伝 男」は1971年12月、正月を前にして公開された映画ですが、正月作品ではありません。脚本は笠原和夫、監督は山下耕作のベストコンビです。
 この年11月、わがご贔屓の藤純子の婚約が発表されました。歌舞伎俳優・尾上菊之助(現・尾上菊五郎)との結婚を機に翌年3月、女優を引退することも決まり、純子フィーバーがこれから引退映画「関東緋桜一家」に向けて沸点へスピードアップされていきました。
 純子は、この作品にご祝儀出演し、ウマの合った山下耕作監督との最後の作品に花を添え、鮮やかな黄色の菊が咲き乱れる中で鶴田との別れのシーンを演じています。「花とおんな」は山下監督お得意の構図ですよね。
 ご祝儀といえば、高倉健も付き合いで顔を見せています。
 この映画、鶴田、健さん、純子と三羽烏が一堂に会した豪華な作品になるはずだったのですが・・・・・・。
 大阪の親分・内田朝雄の代貸が菅原謙次、若者頭が鶴田浩二、その鶴田が知り合った小料理屋の女将・藤純子は、かつて鶴田が斬りこみの時、彼に手を貸したやくざ・長門裕之の妹で、長門が知り合ったやくざ・伊吹吾郎は純子の小料理屋で働く仲居・北林早苗の夫であり、二人は駆け落ちしてきた仲で、その妹を探すために大阪へ出てきた九州の博徒が高倉健。
 その健さんと兄弟分の水島道太郎と張り合うのが内田親分一門の筆頭・遠藤辰雄で、その遠藤に後見人になってもらって二代目を継いだ菅原の妻が桜町弘子で、桜町は内田の娘であり、かつては鶴田と夫婦になることが内定していたという過去があり、鶴田と菅原はともに孤児で、内田に育てられた兄弟分のつながりがあり、さらに遠藤の弟分・天津敏は菅原の二代目の後釜を狙っている・・・・・・。
 
 ああ、疲れた! 「任侠列伝 男」の登場人物たちは以上のような相関図を展開しております。
 大変、人間関係が入り組んでいるようですが、背骨だけを抜き取ってしまうと、この映画は鶴田、桜町、菅原の三角関係のドラマです。三角関係といっても、そこは任侠映画、みだらなシーンはありません。
 鶴田は桜町との結婚を約束されていますが、その桜町が菅原を愛していることを知り、黙って身を引きます。親分が病気に倒れ、桜町と夫婦になった菅原が二代目になると、鶴田は菅原とのつながりを兄弟分から親分・子分の関係に自らを置き、組の維持に尽力します。とはいえ、桜町に対する想いは消えておらず、かつて桜町から渡された守り袋を身に忍ばせています。
 主役の鶴田がほかの女性への想いを消せないでいる役柄では、せっかくのご祝儀出演の純子も鶴田に絡みようがないのですが、これが絡んでくるんですねぇ。とはいっても、三者のドラマへの核心には入り込みようもなく、鶴田の胸中を知る由もなく、一方的に純子は鶴田に想いを募らせるというドラマの外周の人物でしかありません。
 やがて、菅原が遠藤らの計略で命を落とし、斬り込みを決意した鶴田が菅原の遺骸に思い出の守り袋を置いて桜町への決別に代えます。組を立ち去ろうとした鶴田の目の前に現れるのが純子です。庭には黄色い菊が咲き乱れています。お約束の別れのシーンですが、「おいおい!」と観る方はなってしまいます。
 ついさっき別の女性との別れを果たしたのに、今また、もう一人の女性が現れるなど、いかにも鶴田さんらしいですが、「おいおい!」はそういう意味ではありません。この鶴田と純子の別れのシーンはお約束ながら、あまりにも型通りな設定で、いっこうに盛り上がらないためです。
 これは純子はほんのお付き合い出演で、ドラマの核心にいる登場人物ではなかったためですね。任侠映画の定番にスターを置いて見せてみただけという設定にすぎません。
 同じことは、高倉健の場合にもいえます。妹を探して大阪へ現れた博徒の役ですが、これまた、お付き合い出演であるため、ドラマの外周を彩る人物でしかありません。おまけに死ななくてもよさそうな設定なのに、健さん、斬り込みで死んでみせてくれます。これも任侠映画定番の布石ですね。

 この時期、鶴田浩二の人気に翳りが見えていたのでしょう。
 プロデューサー・俊藤浩滋の苦心がよく表れています。引退を翌春に控えた娘の純子に「年内にもう一本頼むわ」と頼み込んだような姿が想像でき、そこへ高倉健もつき合わせて年末公開の鶴田主演の映画の興行価値を高めたというのが、この作品といえるのではないでしょうか。
 そんな苦心も残念ながら、任侠映画が空回りしているという印象しか持てなかったものですが、後年、笠原和夫は、このころ、任侠映画の脚本を書くことに嫌気が差し始めていた時期だったと述懐しています。
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