2011-11-22

♪「時世 時節は 変わろと ままよ……」

                関東果し状110603
                 鶴田浩二(「関東果し状」=1965年、監督・小沢茂弘)

 新聞報道によると(朝日新聞11月22日付)、東映京都撮影所が「暴力団排除宣言」を出したとか。

 なんだかねぇ~。

 一瞬、「こりゃ、ギャグ?」って思ったのはボクばかりではなかったのでは?

 だって、東映という映画会社、特に京都撮影所は創立以来、映画界では最も暴力団関係者たちとは縁の深い拠点だったのだから。おかげで、そういうこともあって東京の俳優業界では「東映京都撮影所は怖いところで気が抜けない」と噂されていたとか。
 それに1960年代中期から80年代前期にかけて、京都撮影所をベースに着流し物であれ、背広物であれ、「やくざ」をネタにした映画で大いに儲けた映画会社であり、そのため、やくざの現役組が所作指導を名目に撮影所内をウロウロしていたり、卒業して一般人になった引退組が俳優をしていたり、スタッフになっていたりって有名な話でおます(引退組が働いていたということは、更生事業に寄与していたことでありますが)。
 友人の話によると、東映の商標である例の三角マークには、やくざの世界とのつながりを示す意味も込められているそうでおます(真偽のほどはわかりません)。






 



 そういう映画会社が、暴力団との一切の関係を断つ暴力団排除宣言を出したということは、逆にいえば、それまでの多少にかかわらず、関係があったことを自ら認めたわけでもあり、所内で開かれた京都府警主催の研修会には所属の俳優、スタッフが約50人参加したとか。

 その研修会の参加者は、多分、怖いところと噂されていた時代を知らない若いスタッフや大部屋俳優たちだったのではおませんやろか?(ここに研修の意味もおますけどね) だって、暴力団とつながりがあったとすれば、会社のもっと上層部のことであり、俳優にしても、つながりをまことしやかに伝えられた大物たちは既に鬼籍組であり、島田紳助事件で週刊誌につながりを書かれた俳優諸氏も既に専属を離れていますもんね。金のない下っぱ? に暴力団も寄生するはずはおません。

 日本映画がスタートして以来、映画界は不良集団の巣窟のような形で社会から見られていたと、いろいろな映画書によく書かれており、不良くずれの青年たちが俳優に転身したり、群衆シーンの人集めに暴力団関係者の口入れ屋(職業紹介業)が撮影所に出入りしていたり、所属会社を替えた人気俳優への報復にやくざを動かしたり、やくざ出身の社長がワンマンぶりを発揮したりと、癒着ぶりは広く知られておりますな。
 そういう一種の毒気が映画作品を面白くさせていたという面は否めませんが、不良の集まりというような目で見ていた社会がかつて最も映画に快哉を叫んでいたというのも皮肉の構造でおます。

 暴力団関係者との癒着が公然とあったことを知る旧世代組の会長や名物プロデューサー、監督たちは既に西方へ去った現在、優良企業へのイメージ刷新にまい進しようという意気込みは、誠にこれからの企業姿勢としてはもっともなことでおます。しかし、優良イメージが過ぎて映画から毒気がなくなるというのも、なんだかねぇ~でおます。
 これは暴力団との関係があるからこそ、毒気が生まれるという意味ではおません。かつて、やんちゃぶりを発揮した映画界が秩序正しい社会の構造に取り込まれ、自ら牙を抜いてしまうような惧れでもおます。

 えっ? そんなこと心配しなくても、もう現在の日本映画には毒気などあらへんって?
 そりゃ、そうでおますけど、ね^^




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少し前、必要に応じて、最近のVシネの任侠orヤクザ物を何本か観ました。

そのほとんどが基本的に抗争劇の体を成しているのですが、こわもての役者がそれをえんえんと組事務所の会話で説明しているだけで、正直『仁義なき戦い 代理戦争』のマネかい、てな感じで、あまりにもへたくそすぎて、ようこんなもの作ってるなぁ、誰が観るんやろうかいのぉ~というのが感想でした。

その中で、何かにつけて「堅気には迷惑のかからんように」というセリフが語られるのですが、あんさんら存在自体が迷惑じゃけんと、つっこみを入れてくなりました。

とはいえ、ブログにも書かれている通り、映画会社と暴力団はずぶずぶの関係だったのはまぎれもない事実で、それを隠し様はありません。

でも、臭いものに蓋ということで、そういう事実には蓋をされていくのでしょう。かなり前、公的機関が刊行する映画人のインタビュー本の構成をしたことがありますが、戦前の右太衛門の移籍話に大物ヤクザが絡んでいた話とかは、ばっさり削除され、なかったことになりました。

そういう公的機関では、おいおい任侠映画やヤクザ映画、ひいては黒澤の『酔いどれ天使』なんかもクレームを恐れて上映しなくなることになるかもしれませんね。

ポポ(略)人さんへ

 いつもコメント ありがとうございます。
 
 悪書追放と同じですよね。
 ズブズブの関係も今の世では臭いものに蓋式で、なかったことにしたいんですね。蓋をしても元から絶たなきゃダメってテレビCMあったじゃないですか^^

 Vシネのやくざ物はいっさい観ていません。かつて映画館で観た作品の焼き直しばかりはいいとしても、顔だけがコワモテのチンピラ俳優を使い、映像も経費節減でカットの積み重ねもなく無意味な長回しばっかで、どうして面白かろうぞい^^ レンタルビデオ店に行くと、今もあの種のVシネソフトが借り出されているようですが、あんなのしか観る余地ないのも不幸ですね。

 「酔ひどれ天使」は今後も上映されますよ、なにしろ「世界の黒澤」作品だし、やくざ絶賛の話でもないですからね^^
 日活ピンク映画も公共施設では、ピンチ映画なんですねー
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