2011-10-04

蓄音器の余録

チラシ喧嘩鳶111004


 石田民三監督の作品歴を眺めていて、「あれ!?」となりました。
 1939年に東宝京都作品「喧嘩鳶」前篇、後篇がおます。
 「ああ、いつか映画館のチラシで見たこと、あったな…」

 この映画は長谷川一夫、山田五十鈴、花井蘭子、黒川弥太郎と当時の東宝時代劇のスターが出演している「火事と喧嘩は江戸の華」の火消しの男のお話(原作・邦枝完二)でおます。おまけに、撮影が唐沢弘光ときてます(唐沢弘光を知らない人は自分で調べてネ)。

 戦後、東映時代劇で1961年に「江戸っ子肌」としてリメイクされており、その時の監督がマキノ雅弘でおます。人気絶頂だった大川橋蔵のいなせな纏持ちの男の「火事と喧嘩」と恋を描いており、こちらは淡島千景、桜町弘子、千原しのぶ、黒川弥太郎が顔を合わせとります。面白いのは黒川さん、22年も経て同じ役(ライバルの組の纏持ち)をやっとります。

 ところで、「いつか映画館のチラシで」でおますが、この映画館のチラシの存在をすっかり忘れておりました。

 チラシ表紙111004

 古い、古い、ボクなどが生まれるずっと以前、映画館が観客に配布していたチラシでおます。

 ボクが中学生か高校生のころ、さして価値があるとも思えない骨董品を集めていた父親が、ある日、どこで手に入れたのか、アサガオ型の拡声器の付いた手動の蓄音器を手に入れてきたのでおますが、その蓄音器の、かすかに機械油のにおいが残っていた戸袋に入っていたのが画像にあるような映画館のチラシでおました。
 何部あるのか数えたことはおませんが、戸袋を開けてみて「おお!」となったボクに反し、父親にとっては映画館の古ぼけたチラシなど、ただの紙くず同然でおます。しかし、ボクには父親の集めた骨董品以上に映画館のチラシのほうに価値があり、「じゃ、貰っておこう」となって、それ以来、手元に置いて仕舞い込んでいたものでおます。

 蓄音器の元の持ち主は分かりまへん。多分、その人が映画好きだったんですやろね。映画館で貰ってきたチラシを貯め込み、それを戸袋に入れたままにして蓄音器を手放す時には、もう戸袋の中のチラシなどすっかり忘れてしまっていたのですやろね。その人は蓄音機でレコードを聴き、映画を観てチラシも蒐集するような生活を送っていたんでしょうね。ちょっと人柄が偲ばれます。

 ボクもチラシを仕舞い込んだまま、もう長い間、取り出すこともなかったのでおますが、石田監督の「喧嘩鳶」の紹介を確認するため、久しぶりにチラシを出してみたところ、あるわ、あるわのパレードで、おおむね1939年から1941年ごろの日本映画(一部、外国映画も)が上映中の、あるいは次週上映の映画として紹介されとります。

 当時、映画法で映画会社の統合が行われましたが、チラシはその統合直前の時代のもので、松竹、東宝、日活、新興キネマなどに分かれております。チラシの表紙には映画館の館名が記されており、それぞれの映画専門館が顧客サービスに発行していたんでしょうな。
 新世界敷島劇場などという大阪の映画館もおますが、主に京都宝塚劇場、松竹座、京都座などのチラシばかりで、このチラシを集めていた人は京都在住だったことが分かります。

チラシ日活111004

チラシ日活2111004

 当時、まだボクはそんなにいろいろな映画を観ていたわけやおませんので気付きもしませんでしたが、改めて調べてみると、その後、ボクも観ることになった映画のほか、有名な映画やプクグラムピクチャーとして消えていった映画など、実にさまざま。日本が「先の戦争」に突入する直前(実際に15年戦争は始ってましたが)の映画情報をうかがい知ることができます。

チラシマキノ111004

 どれも粗雑な紙に印刷されたチラシで、時代を経て変色しとりますが、思わぬところで手に入れていた蓄音器の余録でおます。

チラシ[広告」111004

 チラシの裏表紙には化粧品や歯磨き粉などの広告も載っており、当時のスターたちがニッコリ笑顔を見せてはります。現在のような男性用化粧品の広告もあり、「日本男子の身嗜み(やまとをのこのみだしなみ)」というコピーが何ともほほえましおます。
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ずいぶんと貴重な物を持っていますね。

結構、オークションなどで出ていますが、単品ではあまり大した値が付きませんが、まとまっているとなると少し違うかもしれません。

にしても、このような紙媒体は好事家やマニアにとっては、貴重に思えても、普通の人にはゴミにしか思えないこともあり、処分されてがちです。

とはいえ、どのようなモノがあるか、一度、整理してリスト化することをお勧めします。

ポポ(略)人さんへ

 こんにちは。
 そうなんですよね。たとえ映画好きの人であっても、蒐集家でない限り、こういうのって紙くずなんですよね。今でもシネコンで無料配布されるチラシ類を見終わったらポイする人をよく見かけますから。

 リストにするほど、そうたくさんあるわけじゃないけど、とりあえずは売却はしませんから^^ 
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