2011-09-24

「アジョシ」の、おじさん孤闘奮戦

アジョシ1110923


 「おじさん」と小学生の女の子にそう呼ばれるのはチョイかわいそうな気もしましたが、公開中の韓国製バイオレンス映画「アジョシ」(脚本・監督=イ・ジョンポム)のウォンビン、カッコよろしまんな^^
 女性うけする甘い表情を残しつつ精悍さを漂わせ、今年34歳になるこのにいちゃん、孤独な男の孤独な闘いをワイド画面いっぱいに展開させてはります。

 知的障害のある青年を演じた「母なる証明」以来のウォンビン主演のこの映画、バイオレンスな世界に生きる(正確には、生きていた、でおますが)男に女の子を絡ませたあたり、フランス映画「レオン」の韓国版めいとりますが、別段、女の子にピストルを撃たせるわけでもなく、ひたすら自らの内にうごめく想いに突き動かされるように女の子を救おうとする男の物語でおます。

 多分、ウォンビン目当てに観に来たであろう、近くの座席にいたおばさまたちは、全編、めまぐるしく展開するハードアクションと韓国映画お馴染みのエグいほどの血の描写に息をのむ思いでおましたろうけど、ラストに至り、しきりに鼻をすする音をさせとりました。
 ウォンビンゆえか、男と女の子との哀しい結末ゆえか?
アジョシ2110923
 【殺し屋ラム=クナヨン・ウオンタラクン】


 子どもが出てきて観客の涙を誘うというのは、かつて日本映画でもたくさんあったので、よく使われる手でおますな。

 さて…。

 古ぼけたアパートで質屋を営んでいる独り暮らしのテシク(ウォンビン)。伸びた前髪を右目に垂らし、いつも暗い表情の彼がどんな経歴の持ち主か分かりまへん。
 そんな彼のもとに遊びに来る小学生の女の子ソミ(キム・セロン)。同じ年ごろの友達がいる様子もないソミはテクシを「アジョシ」と呼んで無邪気にしていますが、ソミが勝手に家に入ってきてもテクシは何とも言いまへんが、決して自分から親しく接しようとはしまへん。そればかりか、買ってきた白い菊をソミが気を利かせて花瓶に生けたところ、「人のものに勝手に触るな!」と怒る始末でおます。

 ソミと2人暮らしの母親はクラブのダンサーで、ヤク中でもあり、いい加減な女ですが、それでも娘がテクシの部屋に遊びに行くことにいい顔はしてまへん。テクシを口には出さないものの、「ロリコン趣味の変態男か」と思っている節がおます。
 この母親がクラブで取引される覚せい剤を横取りしたことから、過去を封じて隠れるように生きてきたテクシは否応なしに事件に巻き込まれ、親子ともども覚せい剤売買、臓器売買に手を出している闇組織のマンソク兄弟(キム・ヒウオン、キム・ソンオ)に誘拐されたことからソミ救出のため、組織を追う警察も絡んでソミ救出に挑むことになります。

 花を生けたくらいで、何でそんなに子どもに怒るんかいな? と思いますが、これにはワケがあったんですな。だからといって映画はソミが花を生けたことにテシクが怒ったことを説明するわけやおません。サラリとテクシの過去をうかがわせるシーンを用意して、観客に「ああ、そうだったのか」と感じさせるだけでおます。
 この手法はのちのち再び出てきて、この映画は、セリフで説明してしまう陳腐な描写を避けているのでおますな。映像で見せても、くどくどと絵でも説明しとりません。

 それが、ラストに用意されています。
 劇中の主人公にも観客にも、救出されるべき人物が死んだといったんは思わせ、実は生きていたという手法はよくあることでおますが、この映画はここでもほどよい省略法で絵だけで見せて、日本映画のように説明するというお節介は焼いとりません。

 そこに登場するのが画像の、マンソクに雇われた殺し屋、ラム役のクナヨン・ウオンタラクンというタイ人俳優でおます。ラムは非情な殺し屋で最後にテクシに斃されることになりますが、斃されてからさりげなく見せ場が作られている役柄で、この俳優さん、おいしい役どころでおます。かつての日活アクション映画でいえば、宍戸錠あたりのキャラクターですな。



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ああ韓国映画も観てないや。韓国映画どころか中国映画も。

ジョン・ウーの新作も公開されているんですよね。

この映画も気になっていたし、『下女』のリメイク映画もなんとなく気になるのだけど…。

最近は韓国映画ブームも一段落した感じですかねぇ。

韓国映画は国による支援があるのは公然の事実ですが、一説によると韓国政府の団体が日本の雑誌を枠買いして、自国映画の宣伝記事を書かせていたとかいないとか。

日本もアニメや漫画を産業として政府が支援しようとする動きがありますが、これらは所詮はサブカルで万人受けするものにはならないように思えるにですが、それに一昔前は漫画を読むと馬鹿になると言っていたような。

ポポ(略)人さんへ

 いつも訪問してくださり、ありがとうございました。
 そういえば、ここ数本観た日本映画には全部、国の助成金が付いていたことがタイトルから確認できました。いったい金額はどれくらいなのかは調べないと分からないけど、彼の国の助成は国家規模としても、どれくらいなんでしょうね。
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