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2011-09-06

半世紀ぶりに水桶を担いだ「一枚のハガキ」

一枚のハガキ110806


 新藤兼人監督の上映中の新作「一枚のハガキ」が評判よろしいようで、でも、ボクが観終わった時の感想は「変な映画」でおました。

 新藤監督が言っているように一兵卒たちの戦争悲劇でおます。
 不本意な「クジ」によって六平直政のように戦地に赴いて命果てた者、豊川悦司のように戦争の終結を迎えて帰還した者、あるいは大杉漣のように戦争に行かずに済んだ者、その命運が分かれる「クジ」がキーワードになっとりますが、戦争による悲劇色が濃い映画というより、従来の新藤映画らしく、この作品も男と女の映画でおます。

 戦地から戻ると待ってくれているはずの妻は自分の父親と男女の関係になって姿をくらまし、すっかり生きる気力を失った男(豊川悦司)と、最初の夫(六平直政)に続いて2度目の夫(大地泰仁)も戦死してしまい、これまた生きる気力を喪失させた女(大竹しのぶ)が出会った時、男と女は…の映画でおます。
 既に、これだけで戦争に翻弄された過去を背中に背負っている庶民ですな。何も語らなくても、経歴そのものが戦争悲劇なんでおますけどね。

 冒頭の画像にある主人公の2人が水桶を担いでいるのは、ともに再生への道のりを歩み始めた1コマでおます。

 【ここから先に進むも進まないも、あなた次第でおます。「心して決めい」←何の惹句か分かった人いますか?】


 大竹しのぶの夫、六平直政は田んぼが一枚しかない貧農の長男でおます。若い弟の大地泰仁がおりますが、これは町に出て工場勤めをしとります。
 戦争末期、兵員が足りず、すでに中年域に達している男たちまで召集されたことは実際にあったことでおますが、でもね…。
 先におっちゃん世代の長男が召集され、その出征と遺骨帰還、次に召集された二男の出征と遺骨帰還のそれぞれのシーンがほぼ同じカメラアングルのワンシーンとして戯画化したような皮肉った雰囲気の中で描かれとりますが、何でおっちゃん世代の長男より、若い弟のほうが後から召集されとるねん? でおます。
 これって変やないですか?
 映画がそうなっているのでおますから文句をつけても仕方おませんが、ボクは「なんでやねん?」なのでおます。

 その六平直政との約束で戦争が終わってから豊川悦司は六平に妻から届いたハガキを携え、大竹しのぶを訪ね、ハガキを託された事情を話すことになるのでおますが、その時の大竹しのぶの演技がねえ、何か変なんですな。
 囲炉裏に2人が向き合って、ともに正座しとります。豊川の打ち明け話(この時の豊川悦司のセリフは全くなってまへんけど)を聴くうち、感情が高ぶってきたのか、大竹さん、少し足を崩して横座りになり、やがて、板の間に尻をつけたまま、足を投げ出して後ずさりしてゆき、そして柱に取りすがって泣き叫びます。おまけに「あんたはどうして生きて還ってきたんじゃ」とののしるように喚くんでおますな。
 大竹さん、お得意の熱演型演技ですな。でも、これってなぁ…なんでおます。
 劇的効果を狙って感情をむき出しにした演出なんですやろうけど、こういう場合、人間の感情の流れを考えた時、観ているほうはこういう演技をされたら逆にシラけるんとちゃいますか?

 先にも大竹しのぶは長男の戦死後、舅(柄本明)と姑(倍賞美津子)に家の存続のため、二男との結婚を懇願されて承諾するシーンで夫の両親に背を向ける格好で喚いとります。そんなところで喚いてたら、義理の弟との結婚を承諾しておきながら本心は不本意な思いでいることはわかりますけどね、夫の両親に対してモロ当てつけになっているのとちゃうやろか、でおます。
 この時の大竹しのぶの叫びは、夫の両親がないところでせんこっとにゃ、ね?

 このシーンでの柄本明も、嫁に頭を下げつつ上目遣いに嫁を盗み見していますが、ねぇ、この演技も…なんですな。そんなことせんでも、年老いた親たちの自分たちのためだけを考えた狡猾な思いはもう十分伝わっているんですけど…。
 念押しな演出はいらんてことです。あんまり馬鹿丁寧にされると、観客は軽く見られてるのん? ってなりまっせ。


 というわけで、ボクには「変な映画」でおました。
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当時の徴兵制度では農村の担い手などは保護されていましたが、昭和18年以降はそうもいってられなくもなったのか、戦場に駆り出される農民も増えてきたようです。

農民以外にも、映画関係者なども保護されていましたが、やはり戦争末期には徴兵されていきます。新藤兼人もそのひとりです。

ただし長男、次男の区別があったかどうかは不明で、もしかしたらこの映画の次男は一度徴兵されて兵役が終わっていたのかもしれませんね。

ポポ(略)人さんへ

 こんにちは。
 だからさ、長男が戦争末期に召集されたのは分かるけど、二男が召集されていなかったことが疑問なのさ。以前に徴兵されて免除になっていたという説明もなかったからなのよ。免除になっていたとしても、おじさん兵が生まれるまで兵員が不足していたら2度目の召集が長男より先にあってもおかしくないよね。
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