--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2011-08-01

「もず」の小津映画の女優たち

 長く離れ離れに暮らしてきた母と娘が再び生活をともにするようになった時、母と娘の間に親子としての屈折した感情とともに生々しい女としての心理も交錯する映画「もず」は1961年の松竹配給、文芸プロダクション・にんじんくらぶ製作で、当時の第一線女性シナリオライターだった水木洋子の原作、脚色を松竹の文芸派監督だった渋谷実が乾いた質感で仕上げた作品でおます。

 とりわけ感情を盛り上げるでもなく、事実だけを観客の前にさらけ出し、さぁ皆さん、この母と娘はどない思わはりますか? とでも問いかけているようなトーンで母と娘との再会から別れまでを描いとります。ワキの話で膨らみがあるわけでもなく、直球勝負でおますな。
 後年、文学座の舞台やテレビドラマとしても取り上げられてますが、母と娘との同性同士の肉親だからこそ噴射する葛藤は格好の題材なんですやろね。




 それにしても、主役級から脇役級まで手堅く、豪華な女優陣の共演で、配給だけとはいえ、さすが女優天国の松竹映画でおます。
 わけあって娘と別れた後、水商売で生きてきた母親に淡島千景。
 そんな母親を嫌悪しながらも離れられない娘に有馬稲子。
 母親の勤め先の温かみのひとかけらもないような業突く張りの女将に山田五十鈴。
 母親の同僚で気のいい仲居に乙羽信子と桜むつ子。
 親子が間借りする家の芸者上がりのおばさんに清川虹子。
 桜むつ子のおばさんで小市民な感じの高橋とよ。
 娘が勤める美容院の経営者に日高澄子。
 美容院勤務の娘の同僚に岩崎加根子。
 町の小さな美容院の主人で娘に嫌味を言う辻伊万里。

 面白いのは、同じ松竹作品の小津映画でもしばしば顔を見せる女優さんが多いことでおます。
 山田五十鈴だけは「東京暮色」1本きりでおますが、「麦秋」や「早春」の淡島、「東京暮色」や「彼岸花」の有馬のほか、櫻むつ子や高橋とよは一杯飲み屋のおばさんや小料理屋の女将、近所のおばちゃんなどの役柄で小津映画の貴重なワキとして常連女優でおます。

 女優さんたち、クセ者ぞろいでおます。
 これに対し、男優の方はほんの刺身のツマ程度で…。
 母親のパトロンの永井智雄、娘を慕う田舎の年下の青年に川津祐介、美容院のマスターに佐藤慶、山田五十鈴の旦那役の深見泰三が主な男性陣で、最後に娘の体をいただくことになる永井智雄以外は、まさに「宵にチラリと顔を見せたきり」の扱いでおます。
 女優がツマになることが多いチャンバラ映画とは真逆でおますな。さすが、女性映画!
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

ここ最近、親子の別れと再会について考えています。

例えば「山椒大夫」ですが、あの結末で厨子王は生き別れの母親と再会を果たしますが、果たしてそれ以降は幸せな人生を送れたのだろうかと。

そういう意味でいえば、この映画は未見ですが、興味がそそがれます。

淡島千景と有馬稲子は宝塚歌劇出身なんですね。最も実年齢では親子はあり得ないと思うんですが、当時の映画界ではよくあることでごんすね。

ポポポ(略)人さんへ

 こんにちは。
 淡島さんは、この映画で初めて母親役を演じたそうです。にしては、女の部分が色濃く出て母親の部分は・・・でした。
 機会があれば、ぜひご覧ください。

大好きな作品です

女性の見方が、非常に厳しいのですが、テレビでは最後に有馬稲子が、「親子丼」になってしまうのはなかったそうで、その辺は渋谷実の考えかもしれません。

これが、渋谷の最後の「傑作」で、この後大病し、「いじわる爺さんは、好々爺になってしまい、駄目になった」と、『モンローのような女』でシナリオを書いた白坂依志夫は言っています。

さすらい日乗さんへ

 ひさしぶりです。ご訪問、ありがとうございます。

 渋谷実監督の作品は東京では時々、観られるそうですが、ほかでは無理ですよね。だから、「もず」も採りためたビデオで観たのですが、親子丼はテレビドラマでは難しいでしょうね。あったほうが面白いんですけどね。

 またコメントをお待ちしています。

No title

おます大尽
 久しぶりに、飲もか?
 そっちへ、いくで。 
         元・ジョイパックの男
プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。