2011-07-31

マキノさんのご町内映画の「捨てうり勘兵衛」

捨てうり勘兵衛110731


 大友柳太朗扮する主人公の浪人が別れた女を忘れられず、煩悶するマキノ雅弘監督の「捨てうり勘兵衛」(東映京都、1958年)は、碌を離れた侍が江戸の町で生きる浪人映画でおますが、マキノ雅弘の手にかかると主人公が浪人であっても、たちまち貧乏な町人たちが周囲に集まってくる、マキノ独特のご町内映画になってしまいます。

 相思相愛の女(大川恵子)を主君(小柴幹治)に奪われた大友さん、江戸の町で喧嘩仲裁の商売を始めます。そして無理やり、廃品回収が生業の男(星十郎)の家に居候するのでおますが、男の家は貧乏長屋の中にあり、大友さんと仲良くなった堺駿二以下、長屋の連中が事あるごとに大友さんに加勢して立ち向かうという図式はマキノのご町内映画ではお馴染みでおます。立ち向かう相手は権力であったり、不正であったり、やくざであったりとさまざま。



 相思相愛の女(大川恵子)を主君(小柴幹治)に奪われた大友さん、江戸の町で喧嘩仲裁の商売を始めます。そして無理やり、廃品回収が生業の男(星十郎)の家に居候するのでおますが、男の家は貧乏長屋の中にあり、大友さんと仲良くなった堺駿二以下、長屋の連中が事あるごとに大友さんに加勢して立ち向かうという図式はマキノのご町内映画ではお馴染みでおます。立ち向かう相手は権力であったり、不正であったり、やくざであったりとさまざま。

 さて、大友さん、チンケなやくざたち(吉田義夫ら)に絡まれていた女役者(大川恵子=二役)を助けたところ、これが忘れられぬ女と瓜二つ。おかげで忘れようとしていた過去がよみがえり、大友さんの煩悶の始まりでおます。
 一方の助けられた女役者のほうも、言い寄っていた旗本(堀雄二)から逃れるため、同じように長屋に寄宿するのでおますが、いつしか大友さんが忘れられなくなり、それでも大友さんが相手にしてくれないので、こちらも煩悶。
 女役者さん、呑めない酒に酔って心配する堺駿二、星十郎のおっちゃん相手に大友さんにまいってしまった自分の気持ちを酔いに任せてタラタラと口にするのですが、この時の大川恵子の演技がみものでおます。目のやり場、手の付き方、体の揺れ方、畳にうつぶせになる姿、どれをとってもマキノ式演技指導がきっちり入っとります。
 「東映城の三人娘」の1人、大川恵子(ほかは丘さとみ、桜町弘子)は、この時、女優になって2年目であり、特にこのころはお姫様役や武家娘役が多く、そう難しい演技を要求されるでもなく、主演男優の横で泣いたり、笑ったりしていればいいというくらいの人形みたいな程度でおました。
 それが、まだ演技は硬いものの、マキノ雅弘にみっちりしごかれて酔った女の芝居をしてはります。
 後年、マキノ雅弘はデビュー間もない藤純子に流れ者の芸者(1966年の「日本大侠客」)を演じさせ、当初は周囲の反対があったということですが、マキノさん、言ってはりますな。
 
「まだできないんじゃなく、やらせてみるべきだ。やらせないから成長しない」

 演技指導ができてこその映画監督の言葉でおます。ただ、俳優の演技を見ていて自分で振りを見せてから演じさせているなとモロ分かりなのもマキノの特徴でおますけどね。

 結局、大友さんは親友(山形勲)の必死の奔走で他人の女を取ってしまった形の主君に頭を下げられて振り上げた手を下せなくなってしまい、侍を捨てて女役者の興行に一緒に旅立っていくという、なんやわけのわからん結末で映画全巻の終わりでおます。

 ところで、この作品を観た友人が「この映画、リメイクされてない?」という質問を寄こし、ボクが「リメイクされてないと思う」と返事したところ、再び「似たような映画をカラーで観たことがある」と言ってきました。
 はて…?
 「捨てうり勘兵衛」はリメイクされたのですやろか?
 ご存じの方は、ご一報を!
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