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2011-07-27

国定親分と女博徒の組み合わせ

唄祭り赤城山110726


 このところ、少し映画館から足が遠のいておりましたが、久しぶりに「これや!」と決めて大阪・新世界に足を向け、いつもの映画館で観たのが深田金之助監督、近衛十四郎主演の「唄祭り赤城山」(1962年)と加藤泰監督、江波杏子主演の「昭和おんな博徒」(1972年)の2本立てで、どちらも東映京都作品でおます。

 くしくも両作品の間には10年の開きがあり、片や東映時代劇末期の作品、片や東映任侠映画末期の作品で、末期同士のカップリングは偶然ながら、末期に見られがちな八方破れのような暴れっぷり、やけくそ気味の開き直りというような快い〃異常さ〃はおません。よくいえば、きちんと注文の商品を納入した感じ、悪くいえば、細部には突っ込みどころあり~の、ボルテージ下がってまんなぁ~の2本立てでおます。

 さきごろ、東京在住の友人が伊藤大輔監督、大河内傳次郎主演の「忠治旅日記」総集版のデジタル処理作品を観て「堪能した」と知らせてきましたが、ボクが観た近衛版忠治映画の主人公は、だんだん堕ちていく大河内忠治のような活躍ぶりもなく、見せ場を子分の板割の浅太郎に扮した品川隆二に取られっぱなしの、さすがの近衛さん、芝居のしどころがおません。



 「唄祭り赤城山」は、監督、主演、脚本(高田宏治)、撮影(羽田辰治)に加え、モノクロ作品という陣容から、前年(1961年)までなら東映の第二系統であった第二東映(後にニュー東映、61年に第二系統撤退)作品でおます。今と映画の製作状況も異なり、まだ映画会社に単独で映画製作の体力があった時代ながら、全国に張り巡らされていた契約映画館の番線を満たすだけの映画の1本でおます。

 お話は、国定村の村人たちを苦しめる代官(中村時之介)を粛清した忠治が役人の包囲網を逃れて赤城山に籠り、その包囲網を脱する際、日ごろ気脈を通じていた村の目明しで、浅太郎の叔父でもある勘助(水野浩)の死にまつわるエピソードが絡むという、昔なら新国劇あたりの舞台でお馴染みの一幕でおます。
 でありながら、この映画、ストレートに忠治の代官殺しとその後の逃亡を見せるのではなく、なぜか、冒頭から板割の浅太郎が大活躍なんでおます。
 旅先で女道中師、スリですな、そんな女(北原しげみ)と知り合ったり、バクチに負けたばかりに土地のやくざ(堀正夫)に苦しめられる駆け落ち者(末広恵二郎、木内三枝子=後の三島ゆり子)を助けたり、知り合いの大庄屋(有馬宏治)の娘(立川さゆり=後の松川純子)からプロポーズされたりと、大いに寄り道しとります。

 これでは近衛忠治の出番も少なくて当然ってことで、新国劇ばりに忠治が愛刀を取り出し、有名な「俺には生涯、てめえという強い味方があったのだ」のひとくさりを演じてますが、舞台では忠治の周囲を子分たちが取り囲んでいるものの、この映画では国定一家を解散した後で、忠治一人っきりでおます。独りで忠治さん、天空に輝く月に愛刀をかざしとります。

 やがて、忠治は自分を慕ってきた浅太郎とともに役人の包囲網を脱出し、あてのない旅に出て映画全巻の終わりとなるのでおますが、途中、二代目ダイナ・ブラザーズ(初代は川田晴久のん)の歌があったり、村田英雄や藤島恒夫の歌が画面に流れたりで、なんやわからん映画でおました。

            ◇              ◇

 およそ30年ぶりの再会となった加藤泰監督の「昭和おんな博徒」は、さきごろ東京で開かれた加藤泰特集でも上映されたようでおますが、原作は藤原審爾の「昭和おんな仁義」。主演の江波杏子は大映時代、原作名の映画(1969年)でも主役を張っとります。
 愛する男を殺された女が復讐を果たしていくストーリーで、トリュフォーの「黒衣の花嫁」でおますな。そして、殺しの手順、場面は山本周五郎の「五弁の椿」でおます(ヒロインは、おしののように生娘ではおませんけどね)。

 今観てみると全編、加藤泰ならではのショットてんこもりでおます。
 しのつく雨、音もなくしんしんと降る雪、雪の中を走る列車、その列車の煙と轟音、道行く足元のドアップ、長回し、仰いで仰いで、しんどくなるくらいのローアングルなどなど。出てこなかったのは果物くらいでおます。

 今回初めて気付いたことでおますが、ラストショットが加藤泰の師匠、伊藤大輔監督の「王將」(1948年)のラストショットを彷彿させとります。
 「王將」のラストは、近くに通天閣のイルミネーションが見える長屋の一角で坂田三吉とおぼしき人影が通天閣を見据えている後ろ姿に汽車の煙が立ち上る遠景でおましたが、「昭和おんな博徒」でも坂道の上がりきった一隅でヒロインとおぼしき人影がたたずみ、そこに汽車が通過する音がかぶっています。

 ただし、通天閣のような建物は視線の先にはおませんが、加藤さん、きっと師匠の「王將」を意識したんやろね、とうかがわせるのに十分な幕切れショットでおました。
 
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