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2011-06-28

「女殺油地獄」は地味さが祟り派手にならず

女殺し110629


 久しぶりに観たシネマ歌舞伎は、近松門左衛門の作品から一昨年6月の東京・歌舞伎座公演、片岡仁左衛門主演の「女殺油地獄」でおます。

 油商河内屋の道楽息子、与兵衛が借金の返済に困り、近所の同業の内儀、お吉を殺してしまうという、破滅に向かってひたすら突き進んでいくアホな男の話は決して詰まらない作品ではないのでおますが、今回のシネマ歌舞伎は「大江戸リビングデッド」に次ぐ退屈さで、時々、居眠りが出る始末…。

 灯油などの油の小売りを営む家の話でおますので、最後の殺しの場面で商売物の油を使って殺人の凄惨さを盛り上げるアイデアは、さすが大近松でおます。しかし、いかんせん、そんな派手な殺しの場面が用意されているにもかかわらず、全体を覆う地味っぽさはどうしてでおますやろか?
 従って、ラストの殺しの場面も意外に盛り上がってないのでおます。作品中の見せ場として、ただ、そこにあるだけでは仕様おませんな。

 作品自体が決して地味というわけやおません。
 最初の徳庵堤の場は野崎参りのにぎやかな中で与兵衛をめぐって芸者の小菊との伊達引きあり、大尽との喧嘩ありで与兵衛のアホさ加減が十分に描かれてます。次の河内屋の場でも与兵衛の家族関係が描かれ、最後の豊島屋の場では殺しの場面に至る前、お吉に与兵衛の義父と実母が親の苦衷と愛情を示す世話場になって、最後に油まみれの殺しの場が用意されております。

 でもね…。


 全体を覆う地味っぽさは、ひとえに演者の地味さにかかってるんとちゃいますか。

 仁左衛門以下、今回は松嶋屋のご一統が大活躍でおます。
 大活躍はええことでおますが、道楽息子を演じる仁左衛門さん、華のある役者なのに、その道楽ぶりがいっこうにはじけないんですね。はじけてこそ道楽息子のアホさ加減が見えてくるというものなのに、変に真面目な演じっぷりで、型を気にしたせいか、仁左衛門の中に遊びの部分がおませんのですな。
 松嶋屋伝統? の生真面目さが裏目に出てしまって仁左衛門にとっては初役ではなし、その遊びの部分がなければ道楽息子のアホさも出てこないですわな。与兵衛という男はなさぬ仲の義父を気遣い、わざと放蕩に身を持ちくずしている、そんなよくできた男ではないのと違いますか。

 これに輪をかけて困ったのが仁左衛門の息子で、お吉を演じる片岡孝太郎でおます。一生懸命、人妻を演じてはるのですが、色気がおません。よくできたおばさんという感じで、幼い子どもがあるものの、年増女のちょっとした色っぱさが、お吉にはほしいもんでおます。最近はよくできてきたとは聞いてましたが、若い時と同様、やっぱり華がおません。だから、単におばさんにしか見えないのでおます。
 殺しの場面で2度ほど、アクロバット的にのけぞる所作があり、そのたびに客席から拍手が起こっておましたが、あんなところで拍手なんかするもんかいな? でおます。
 この人、立役系の息子でありながら若いころから女形を演じていますが、今回は小菊と与兵衛の実母との二役を演じている、仁左衛門の兄で女形の秀太郎の養子が立役の愛之助というのも、松嶋屋一門の不思議というか、皮肉というのか。

 加えて、お吉の夫を演じる中村梅玉、与兵衛の義父役の中村歌六など、いずれも役者としての地味めは否めません。役そのものが派手な役柄ではおませんから、いわずもがなでおます。
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