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2011-05-25

「孫文の義士団」はたった6人で

孫文の義士団110525


 中国の民主化を学生たちに説く大学教授が1発の銃弾に襲われるところから始まる、公開中の中国映画「孫文の義士団」(2009年、監督=テディ・チャン)は、よくもまぁ、あの中国が製作を許したもんだと、ちょっと驚きの映画でおました。

 といっても、現代中国のお話ではおません。タイトルからも分かるように今は昔の、日本でいえば明治期の日露戦争が終わったころの時代、彼の国では満州族支配の清朝末期のころのお話で、しかも、政治劇なんて小難しい映画ではなく、中国式技闘を駆使したアクション映画でおます。 


 予告編を観て「おもろそうやん」と思いつつ、公開後1カ月以上も放置状態で、ようやく、この映画が上映されている大阪・難波のパークスシネマへ駆け付けたのでおますが、その時、観客はボクを入れて6人。レイトショーやおません。
 すごいですね、大阪の繁華街にあるシネコンで、観客がたった6人というのは。
 とはいえ、その日は割引デーだったものの、公開されてから1カ月以上も経っていれば、しかも割引デーとはいえ平日であれば、客入りが少ないのも仕方ないことではおますけどね。

 それで、どうだったかといえば「おもろかった」です。

 しんねりむっつり、いっこうに気持ちの晴れない私小説的映画やマンガを原作にする映画ばかりで、ほかに頭が働かない昨今の日本映画と比べたら、お気の毒の限りで「比べんといて」と、この映画に言われそうですが、いかに世界市場をにらんで製作費を投入している映画であっても、わが日本映画よ、何しとん? と首をうなだれて帰途に就かざるを得ないのは間違いおません。

ファン・ビンビン110525

 
 この映画は、中国の社会運動家、孫文の事歴の中でも歴史的に名高い辛亥革命前夜、清王朝を倒して新たな中国建設を目指す孫文をめぐり、反政権派と政権擁護のテロリストとの暗闘を描いております。
 イギリス支配が始まって数年後の香港に日本に亡命していた孫文が来るというので、清朝の西太后おばさんが「殺せ!」と命令を下すわけですが、今回、おばさんは後ろ姿だけで誰が演じているのかわからしません。田中裕子あたりが特別出演してたら面白かったのでおますが…。

 そこで、おばさんの命令を受けたテロリスト軍団が香港入りして、孫文を待ち受けます。軍団が殺しのスペシャリストばかりなのに比べ、孫文を支持する反政権派は香港に住む市井のおっちゃん、にいちゃんばかりで、いわば、殺しには素人集団でおます。

 そんなんで大丈夫なん? と思いますが、恐るべし、そこは住民パワーでおます。
 モロに犠牲者を続出させつつ、この住民パワーが腐敗しきった清朝政権を倒す端緒となった―と、ここまではよろしおますが、はて、これは中国映画なんでおますな。

 いかに今は昔の清朝時代のお話とはいえ、派手派手しいアクション映画とはいえ、この住民パワーをよく現政権が何にも言わなかったもんだと、これは考えすぎでおますやろか。
 だって、この映画は時代を昔に取りながらも現政権打倒を標ぼうし、中国の民主化を目指している人たちが主役なんですよ。現政権にとっては、結構危険だったりして。
 それとも、世界市場での公開を意識して「なに、これ式のことでは揺るぎもせんです」と懐の深さを見せたのでおますやろか? 見方を変えれば、この孫文騒動は中国を満州族(清朝)支配から元々の漢民族国家に戻るきっかけを作ったともいえるのですからね。
 
 ちなみに、画像の女優さん(ファン・ビンビン)、サントリー烏龍茶のテレビCMでお馴染みですよね。出てはりました。
 その旦那で、孫文暗殺騒動で息子(ワン・ポーチエ=音羽屋の若旦那にチョイ似ですな)を亡くす香港の有力者を「花の生涯 梅蘭芳」に蘭芳に造反される師匠役に扮していたワン・シュエチーが演じ、「インファナル・アンフェア」シリーズの愛すべき悪党役のエリック・ツアンが中国人でありながらイギリス警察の著長に扮して微妙な空気を演じとります。
 それにしても、ファン・ビンビンの元夫でチンピラ警官に扮したドニー・イェンは、もう亡くなってしまったけど、怪優・菅貫太郎の若いころの顔に見えて仕方なかったですな。マジ激似でおます。
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