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2011-05-15

「私家版加藤泰論への道」9 加藤泰なんて知らないよの世代へ

加藤泰パンフ101011


 来月、花のお江戸で久しぶりにわが加藤泰監督の特集上映があるそうです。
 早速、その上映館のサイトにお邪魔して、どんな作品が組まれているのかを探ってみたところ、ボクにとってはたった1本、いまだ映画館では観たことのない作品を含め、ざっと20本もの作品が並んでいました。
 「すごいね!」というより、世に膾炙され、加藤泰を加藤泰ならしめている作品ばかりで、この20本の作品を観たら加藤泰がどんな映画監督で、何を思い、どう考えていたおっちゃんだったのか、まぁ掌を指すようにわかるはずじゃないでしょうか。

 「さすがに江戸のにぎわいじゃのう」と水の浪花からはため息をつく思いですが、東京へ移り住んだ友人によれば、最近の江戸の名画座には若い人の姿は少ないそうで、名画座ではないものの、フィルムセンターなどはお年寄りの憩いの場化しているそうです。
 もったいないね。
 DVDという便利なものがあるせいか、はたまた、映画館の闇の面白さを知らないせいか、あるいは古い映画なんぞは興味の外なのか。
 「映画は若い人たちのものです」と、かつて力説してやまなかった加藤泰の信条も今は昔…なのでしょうか。

 上映される20本の作品は? というと……。

◎「源氏九郎颯爽記 白狐二刀流」(1958年)
 源氏九郎といっても、源義経ではありません。義経の末裔と自称する若侍が義経が隠したと伝えられる財宝をめぐって活躍するチャンバラ映画です。
 この作品がきっかけとなり、山田洋次監督との交友が始まったことも知られています。

◎「浪人八景」(1958年)
 大チャンバラスター市川右太衛門が主役の映画ですが、「右太衛門映画」という題材と格闘した加藤泰の雄々しくも残念な戦歴を残していますが、同時に当時の総天然色、ワイドスコープの東映時代劇映画がどういうものであったのかがしのばれます。

◎「炎の城」(1960年)
 シェークスピアの「ハムレット」を翻訳した戦国時代劇で、なぜか、このハムレットは民衆蜂起の先頭に立ち、オフェーリアだけが死んでハムレットは死にません。加藤泰映画というより、大川橋蔵映画なんですけどね。

◎「怪談お岩の亡霊」(1961年)
 モノクロ画面いっぱいに展開する有名なお岩の幽霊話ですが、ほとんどノーメイク、季節感たっぷりと当時の東映時代劇に反抗しているかのような作品で、そろそろ、加藤泰の意固地ぶりが作家の顔としてのぞいてきています。

◎「瞼の母」(1962年)
 加藤泰が好きだったという長谷川伸の世界に初めてチャレンジした作品で、年末ぎりぎりにわずか2週間で撮り上げたことでも知られています。主人公が最後に実の母親に巡り会うまでの過程を丹念に積み上げていき、最後に爆発させています。

◎「風の武士」(1964年)
 東映時代劇末期を飾るチャンバラ映画(原作・司馬遼太郎)で、絵を観ればタイトルを見なくても誰が監督したのかがわかるような映画を目指していた加藤泰の面目躍如の1作で、絵作りで押して押して押しまくっております。

◎「車夫遊侠伝 喧嘩辰」(1964年)
 ヒロインの桜町弘子も言っているように「これぞ、加藤泰!」という映画で、低予算を逆手にとって好き勝手にやっているような作品ですが、思いは伝わっていますな。笑って泣いてハラハラして、おもしろうて、やがて哀しきということが分かってもらえれば…。

◎「幕末残酷物語」(1964年)
 舞台を新選組の屯所内に限定した新選組映画で、かつて白塗りの時代劇スターだった大川橋蔵もノーメイクの冴えない侍姿で頑張っています。その主人公と後年、さわやかイメージとなった沖田総司との組織内での対比が興味深いですぞ。若き日の藤純子もホンマええです。

◎「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年)
 長谷川伸作品2度目の挑戦で、許されない状況の中で男と女が結び付こうとした時、男も女もどうするのかを問いかけている作品です。今から見れば男の行動も、女の思いも古いといえば古いんですけどね。でも、そのせめぎ合いが観る者の心を捉えるんですね。

◎「男の顔は履歴書」(1966年)
 加藤泰の戦中派三部作の1つで、戦後の闇市を舞台に日本人と、その日本人に虐げられていた外国人との闘いを描いた作品。主人公の安藤昇がつぶやく「ついていくってのが好きだからな、日本人ってやつは」は厳しい一言ですな。

◎「みな殺しの霊歌」(1968年)
 殺人犯として逃げている男が、少年の性をもてあそんだ女たちを殺していくという最初から最後まで暗くて救いようのないような映画ですが、加藤泰の怒りがストレートに表現されている1作で、ボクの好きな映画ではあります。

◎「緋牡丹博徒 花札勝負」(1969年)
 東映の任侠映画の世界で傍系であり続けた(時代劇でもそうですが)加藤泰が、当時人気絶頂だった藤純子の主演作品を撮るという、とんでもなくメジャーな作品で、やくざ映画であっても時代劇のノリで、しかし、きちんと最後まで魅せている映画です。

◎「緋牡丹博徒 お竜参上」(1970年)
 東映任侠映画の強力なシリーズ8作のうち、なんのかんのといっても加藤泰が最多の3本も撮ることになった、この不思議さ。シリーズ最高傑作とされており、何にも言いません、ただ黙って観てくださいというしかありません。

◎「緋牡丹博徒 お命戴きます」(1971年)
 このころからでしょうか、「加藤泰の映画って面白いで」と学生の間や一部の映画ファンの間で言われるようになったのは。弱きを助け、強きをくじくお馴染みのお話の中にあっても、加藤泰はヒロインを徹底的にいじめているシリーズ最後の担当作品です。

◎「昭和おんな博徒」(1972年)
 藤純子が映画界を去った後、同じような女やくざの映画をという東映の要請を受けて再び登板したものの、加藤泰と主役の江波杏子が戦い合っているなと、そういうふうに見えた作品です。悪くはないのですが、今もう一度観たら、どう感じることか。

◎「人生劇場」(1972年)
 繰り返し映画化されてきた「人生劇場」映画の戦列に加藤泰も参加し、大正時代の風俗なんて今ではもう時代劇めいて見えるかもしれませんが、チャンバラ映画の時代から一貫して男と女のアヤを描いてきた加藤泰がここでも男の行動、女の思いをしつっこく展開しています。

◎「宮本武蔵」(1973年)
 山深い田舎の若者が関ヶ原の戦いに参加したことで世に出ていく姿を描いた作品で、かつてプログラムピクチャの、それもメーン作品でないほうの映画が多かった加藤泰の「人生劇場」「花と龍」に続く3本目の大作映画で、吉川武蔵を駆け足っています。

◎「日本侠花伝」(1973年)
 タイトルは仰々しいまでにやくざ映画チックですが、いわゆる女の子の成長物語です。そのでんで言えば「宮本武蔵」と同様で、人との出会い、恋、愛、怒り、歓び、悲しみ、こういうのを経て男であっても女であっても人間として場数を踏んでいくのですな。

◎「江戸川乱歩の陰獣」(1977年)
 そのころ、ヒットしていた市川崑監督の金田一映画に対抗すべく企画されて松竹映画ながら、全然前宣伝がなかったという不思議な作品で、それまで映画の中であまり遊ぶことのなかった加藤泰の遊び心満載の作品です。何分にも加藤泰映画というと、グーと息を詰めるかのような作品が多かったからでしょう。

◎「炎のごとく」
 加藤泰の遺作となった作品で、ここでも加藤泰は怒ってます、泣いています、愛し合ってます、笑ってます、抜けていますというような映画で、ふっと新境地ものぞかせているのですが、その新境地がなんだったのか、ファンは観ることなく、加藤泰はこの世から退場してしまったのですね。
 
 
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思い入れがあるんですねぇ~

そういえば、まだスクリーンでは未見の『浪人百景』を観たと報告した時は、地団駄を踏んでいましたね。

しかし、さらりと20作品の見どころを書けるなんて、さすがです。思い入れがあるんですねぇ~。

私も2,3作品は観ようかと思うのですが、この小屋は場所が渋谷だけに、客層は若い人中心で、そのうえ渋谷の雑踏におっさんには疲れてしまいます。

それでもこの小屋の加藤泰特集は2回目ですので、今回はどうなんでしょうね。前回は好調だったと聞いていますが…。

それから写真のサインは何?

ポポポポ~ンの友人さんへ

加藤泰という映画作家は、ボクにとって忘れられない、面白いおっちゃんですからねぇ^^
サインは新文芸坐になる、はるか以前の文芸坐で追悼上映があった時、そのころ文芸坐にいた友達がボクのために日替わりで来場したゲストの人たちのサインをもらってくれたものです。
左上から山根さん、右横が侠花伝の主人公、真木洋子、写真の右上から小倉一郎、蓮実センセ、野村芳太郎、汐路のおっちゃん、コーフンさん、三村さん、カメラの丸山さんです。
随分以前なので、鬼籍組が多いのも時の流れですなぁ~。

何に書いてもらったのですか?

何かのパンフレット?

でも、追悼特集だけに、ご本人のがありません。もっともなことだと思いますが、それが残念ですね。

ポポポポ~ンの友人さんへ

例のパンフレットですよ^^

ご本人のサインについては、ご心配なく。イ

ンタビューした折、その録音テープのケー

スにしっかり署名してもらっているので。

そこにヌカリのある加藤泰フリークじゃござ

んせんことよ^^

ポポポポ~ンの友人さんへ

 ついでにいえば、ど真ん中の写真は「緋牡丹博徒 花札勝負」の1コマです。こういうスチール写真がないので、テレビ画面で撮った苦心の1枚で、どこに出てくるシーンなのか、それを説明すれば京都の時のよくに苦笑されるかもしれないので、やめときます。Y氏なら、すぐにわかるだろうけどね^^

次回のブログで

次回のブログで、そのパンフレットの製作日誌を書いてほしいものです。

ふと思ったのですが、6月は加藤泰の命日なんですね。今年は何回忌にあたるのですか?
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