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2011-02-26

「次郎長と小天狗 殴り込み甲州路」で欣也VS錦之助

殴り込み甲州路110226


 もののついでに「若き日の次郎長 東海道のつむじ風」の後、もう1本、マキノ節で映画化された次郎長派生のような「次郎長と小天狗 殴り込み甲州路」(1962年)について、今回はその映画でおます。

 この作品も「若き日の次郎長」シリーズ同様、マキノ村の次郎長物の一環といってもよろしおますが、今回は中村錦之助の次郎長が主役ではおません。「次郎長三国志」の作者、村上元三の原作をもとにした北大路欣也主演の作品で、1958年に大川橋蔵主演でマキノ雅弘が監督した「喧嘩笠」のリメイク作品でおます。ちなみに「喧嘩笠」の時の次郎長に扮していたのは大友柳太朗でおました。

 次郎長が主役でないのに、画像にある通り、ソフト化されたビデオのパッケージにはゲスト出演の中村錦之助が大きく出て、「主演・中村錦之助」となっており、肝心の欣也クン、上のほうで小さく写っとります。ま、ビデオリリースに当たって営業政策上のことでおますねんやろね。欣也を大きく扱うより、錦之助を大きくしたほうが注目度が違うんですやろね。

 錦之助の左上にいる女の子は小林哲子でおます。この当時の俳優座の新人女優で、俳優座とは縁の深かった東映が北大路欣也の相手役として起用し、この作品では「喧嘩笠」で大川恵子が演じたヒロインのお喜代に扮しておりますが、ほかにも欣也と共演した時代劇が1、2本おます。
 とはいえ、第三世代の東映時代劇も健闘空しく、その後、彼女は俳優座に戻り、中堅女優として頑張ってはりましたが、1994年、53歳で早々にあちらの世界へ旅立ってはります。そういえば、1966年の市村泰一監督、栗塚旭主演の「燃えよ剣」に、土方歳三の初恋の女、佐絵役で出てはりましたな。


 次郎長が主役でないのに、映画の始まり早々、登場するのは旅行く次郎長一家でおます。
 残念ながらお蝶さんはおりまへんが、錦之助の次郎長ほか、大政の水島道太郎、石松のジェリー藤尾、法印大五郎の田中春男、桶屋の鬼吉の加賀邦男、お相撲常の大前均など、メンバーはほとんど「若き日の次郎長」シリーズのまんまでおます。ただし、今回は関東綱五郎の渥美清も欠席です。

 まるで「東海道のつむじ風」の撮影終了後、皆、そのまま衣装を着替えずに次の撮影に臨んだような塩梅で、このあたり、「若き日の次郎長」シリーズの番外編みたいなもんでおますな。脚本は「喧嘩笠」と同じく結束信二で、これにマキノも加わり、欣也主演の映画用にマキノが書き加えているんでしょうな。

 旅の次郎長一家、上州・大前田を目指します。
 ここにいるのが博徒仲間では大親分とされている大前田の栄五郎、次郎長さんの大先輩でおます。大前田の栄五郎は実際にはどうか知りまへんが、この手の映画にはよく登場しているスター級のキャラクターで、主役になることはおまへんが、たいがい、ベテラン級のおじさんが扮してります。
 で、ここでは柳永二郎が演じております。このおじさん、劇団新派の俳優でおますが、歌舞伎の二世中村鴈治郎同様、本来の職場に嫌気がさしていたのか、このころは東映時代劇に限らず、大映時代劇や松竹時代劇などにも善人、悪人によらず、よく顔見世していた、どっぷり肥えたおじさんでおます。

 この栄五郎に栄二郎という暴れん坊の息子がおり、それが北大路欣也扮する主役の若者でおます。
 ちょっと話はそれますが、1971年の加藤泰監督の「緋牡丹博徒 お命戴きます」に嵐寛寿郎扮する「大前田の親分」と呼ばれる老侠客が登場します。ヒロイン、緋牡丹のお龍とは顔なじみで、映画の前半、お龍の賭場でのトラブルに調停に入る親分さんですが、この老いたる親分がひょっとして北大路欣也が扮した若き日の大前田の栄二郎の老後の姿ではないのんかいな…と「緋牡丹博徒 お命戴きます」を初めて観た当初から思っておりました。
 真偽のほどはわかりまへん。大前田の栄二郎そのものが実在していたのかどうかも知りまへんけどね。

 さて、次郎長が大前田へ着くと、栄五郎親分は牢屋に入っとります。
 というのも、芝居小屋で酔っぱらった代官所の役人が見物客の娘さんに「酌をしろ」と難クセをつけていたところ、止めに入った息子の栄二郎が役人を傷つけてしまったため、代官所から追われることになり、栄二郎を逃した栄五郎が息子の代わりに牢屋に入っていたのでおます。
 栄二郎が目指した先は、栄五郎の古い顔なじみの海老屋甚八という、これまた老親分のもとでおます。演じているのは簿田研二、東映京都撮影所では「とうさん」と愛称されていた、東映時代劇では欠かすことのできなかったおじいちゃんでおます。
 その娘が小林哲子扮するお喜代というわけで、栄五郎が甚八のもとへ息子を逃したのも、年頃の男女をそれとなくめあわせるというイキな目的もあったのでおます。

 ところが、これが初旅の栄二郎クン、道中で1匹のゴマの蝿に目を付けられます。年若い旅人が旅慣れぬと踏んだゴマの蝿、つまり、道中師、スリでおますな、これがしつこく栄二郎にまとわりつき、懐にある五十両を狙っとります。栄二郎も「お前なんかに掏られてたまるかい」と気をつけているのでおますが…。
 この栄二郎とスリとのやり取り、前半のみものでおます。栄二郎とスリとの攻防戦が、今では見かけなくなったのどかな田園風景、あるいはセット内に造られた田舎道の中で繰り広げられております。
 スリに扮しているのは本郷秀雄。これまた東映時代劇では、この手の役柄を得意としたおっちゃんでおますが、前作の「喧嘩笠」でこの役を演じたのが堺駿二でおます。本郷秀雄以上に、こういう役を演じたら右に出る者はいないほどのコメディアンでおました。

 結局、栄二郎は五十両を掏られてしまい、腹をすかせてフラフラ状態で甚八宅へ到着し、ここからが本腰を入れた映画の始まりでおます。甚八の縄張りを狙う竹居のども安に甚八は殺され、提携関係にある黒駒の勝蔵のもとに逃げ込んだども安を目指し、栄二郎とお喜代が次郎長一家の加勢を得て見事、仇を討つという、お馴染みの展開でおます。黒駒の勝蔵に山形勲、ども安に阿部九州男と、悪役の駒も揃っております。

 当時、やんちゃ派の松方弘樹に対し、北大路欣也はまじめ派といわれており、そのイメージ通りにきちんと役柄をこなしてはおりますが、それ以上でもおません。まだまだ自分の芝居をするには時間が必要だったのか、そのイケメン顔の見栄えに比べて演技はどこか借りてきたような印象があるのは否めません。
 一方、ゲスト出演の錦之助は主役を食ってしまいそうな勢いがあり、それとは別に錦之助の次郎長を4本観ていると、だんだん威勢がよすぎるようになっているのでおます。まるで江戸っ子でおます。そんなに舌を巻くようなしゃべり方をしなくても…。錦ちゃんは東京生まれの東京育ちでおますから、ついつい、そうなってしまったのでおますやろかね。

 最後に、お喜代に付いている女中さんが出てきます。「喧嘩笠」では赤木春恵が扮しておりましたが、ここでは木内三枝子と名乗っていた三島ゆり子が演じとります。まだ芸名を改める以前で、気前よく裸を見せるようになるのはまだまだ先のことでおますが、北大路欣也や赤木春恵と並び、この時代からの数少なくなった現役組の一人でおました。
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私も日劇で『若き日の次郎長 東海の顔役』を見た口です。その日、ある友人と出会い、その話をしたところ、少し悔しがって、「負けてなるか」と日を置いて観に行ったそうです。

マキノの次郎長物は、『次郎長三国志』四作、『若き日の次郎長』の第一作と『清水港の名物男 遠州森の石松』がDVD化されていますが、なかなか観ることは出来ません。

ビデオは出ているのですが、もうビデオを置いているレンタルショップは皆無で、かろうじてBSとかCSで放送している程度。

どこかの映画館でかかることを待っているしかないのかしらねぇ。


これからは東京の友人さん?へ

悔しがって日を置いて観にいったって、へぇー奇特なお友達を持っているんですね。
「清水港の名物男 遠州森の石松」はリアルタイムで観ていたんですね。でも、場面の断片しか覚えておらず、初めてテレビで観た時、「この映画やったんか!」となりました。
2年前の京都映画祭であったマキノ特集で無事、劇場で再会しました。よかった、よかった^^
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