2011-02-15

新作映画に投資はしたけれど

ガンツ&奇跡110214

 日本映画の最新作に投資してきました。
 といっても、ささやかに入場料でおますけどね。
 観てきた作品は画像の、現在公開中の2作品でおます。くしくも、どちらも配給が東宝、製作の中心が日本テレビでおましたが、最近、テレビ局が製作グループのメーンになって映画が作られるって多いですね。
 キー局のほか、相乗りで地方の提携局がズラズラーッと並んどります。ほかに出版社や新聞社も名前を連ねておりますが、映画の配給網を握っている映画会社はやっとこさブラ下がっているという塩梅でおます。

 こういうので、ええんですやろかね。
 東宝が映画製作部門を独立させた「東宝映画」なんて、とっくに映画製作を放棄しているような状態でおますな。東京・大船の製作拠点を失った松竹も映画よりも演劇部門で儲けて本家帰りし、閉鎖したはずの京都の撮影所もテレビの2時間ドラマを請け負う以外は貸しスタジオ状態でおます。東映も東京撮影所を貸しスタジオ化し、京都でテレビ用の時代劇のほか、京都を舞台にした現代劇を請け負ってますな。日活も配給だけで、製作再開(1955年)以前に戻っとります。大映は遺産を角川書店に買い取られて以降、「大映映画」という名称は存在してまへん。
 誇り高き暖簾をかかげてきた旧来の日本の映画会社が自社資金だけで映画を製作する馬力を失って30数年来、もはや映画産業という日本のモノ作りの一部門は消え失せ、現在のこの混沌とした状態は何と言うんでしょうね。

 


 人気コミックを映画化した「GANTZ」(監督・佐藤信介)は、死んだはずの2人の青年が黒い球体の「GANTZ」と名乗る正体不明の物体が命じるまま、この世のよみがえりを賭してネギ星人やら何とか星人やらと死闘を繰り広げます。
 最初は何が何やらようわかりまへんが、東京近辺の住宅地や駐車場、博物館などでドタン、バタン、ガソリンが引火して大爆発を起こしても、建物が大きな音を立てて壊れても周辺の人たちが全然騒ぎ立てないというのもおかしな話でおます。しかし、そういう理屈は抜きで観ていたら面白うおます。

 青年2人、二宮和也と松山ケンイチは小学校の同級生。二宮クン、いじめられっ子だったマツケンをよくいじめっ子からかばってやったそうでおますが、いつも頼りなげで今にも倒れそうな顔の二宮クン、とてもガッツのある小学生に見えないのも、ご愛嬌でおます。
 就活にいそしむ大学生で、面接ガイドの受け答えを丸暗記しているようなトボけた青年でおますが、そのガイドに書かれてある「人は必ず何らかの才能があり、それを生かすべきだ」という下りをお題目のように唱えとります。しかし、それがGANTZのサバイバルゲームの中で信念のようになっていくんですな。
 マツケンは、かつてアル中の父親の暴力から弟を守るため、父親を殺して少年院に入っていたという過去を背負ってます。生活環境は二宮クンとは真逆で、小さなアパートで弟と暮らしていますが、地下鉄のホームで酔っぱらった男が線路に落ち、素早く助けにかかるような正義漢でおます。この点、目をそらしてしまった二宮クンとは、これまた真逆でおます。

 こんな2人が博物館前で巨大な仁王像とも闘うわけでおますが、この仁王さんを見ていてボクは何だか大映の特撮映画「大魔神」を彷彿しました。結構、笑えますねんけどね。
 千手観音との闘いでマツケンは本当に死んでしまうのでおますが、GANTZから百点取れれば生き返ると約束され、さて、二宮クンは…? というところで続編に乞うご期待という映画でおました。百点取れれば、記憶をすべて消して生き返るか、好きな人を生き返らせるか、どちらを選ぶのですやろね。
 最後のクレジットタイトルが終わってから4月公開予定の予告編がおますが、やはり、最近の映画で早々と席を立つもんではおませんな。こういうイジワルがおますから。

 「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」(監督・平山秀幸)は、大変まじめな作りの映画でおました。まじめだけれど、それだけ? という映画でもおます。主人公(竹野内豊)の苦悩が常に自分の内にあるだけで、その苦悩が他者とぶつからないので葛藤のドラマにはなってないんですよね。
 実話をもとにしているということですが、昔の戦争でアメリカ軍に追い詰められた際、将兵と民間人の命を守るため、こういう軍人さんがいたんだよと、ただそう教えられただけに終わってしまいました。

 唯一、面白いと感じたのは、ギリギリに追い詰められた将兵の中で日本に妻子を残している軍曹(岡田義徳)が妻子と3人で写った写真を前に軍刀で自決しようとして果たせず、泣き崩れてしまうところでおました。生きて帰りたいと秘かに思っている人間、そう簡単に自分で死ねないですよね。
 この軍曹の行動を葉影から主人公は目撃するのですが、これとて、制止に入るわけではなく、ただ見ているだけでおます。人と人とが交差しないんですよね。この目撃がアメリカ軍への投降を決意する主人公の動機になってますが、この時の主人公の心の内は、観客よ、見て察しろというような描写でおました。

 立派な軍人がいたというだけの映画で、映画の描写とは関係おませんが、本当の怖ろしさは情報統制ということではなかったのかと思います。
 現在でも中国や北の国では国民に対して外の世界の情報を制限し、国政を司る権力者の都合のいいように情報が操作されていますが、正確な情報がもたらされない中で人はどう思い、どういう行動を取るのか、そのあたりのことを想起させたという点で、それを考えさせる映画でおました。
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

ワシも見たでぇ

両作品とも、濃厚にクリント・イーストウッドの影響を受けた映画でしたよね。
『太平洋のナントカ』は、まさに『硫黄島の手紙』の二番煎じですが、全編にエピソードを作りすぎで、逆にドラマ性をそいでいて、あれで感動しろというのはおこがましい。
『ガンツ』は二宮くんの起用自体が、映画オタク的。きっと企画の段階でジャニーズをかますことが命題で、監督としては「じゃあ、イーストウッドの映画に出た二宮くんにしよおっーと」てなことを言ったかどうかは知りませんが、そのようなことが安易に想像できます。
なぜかといえば、この映画全編に過去の映画に類したしーんが結構でてきます。ラストの仏像との戦闘シーンは、ハリー・ハウゼンのような感じでしたし、大仏の出現シーンは、どちらかといえばウルトラマンとかゴジラのように見えました。東宝映画だしね。それ以外にも『スパイダーマン』『海外特派員』など。
でも、若手の監督にしてはかなりの演出力で、しかも夏菜ちゃんが良かったので、ゆるしちゃう。とはいえ、もっと見せんかいという気分もいなめへんでぇ。

柿を・・・の友人さんへ

クリちゃんの例の戦争2部作は観てないんですよね。だから、わからん。
東宝映画たって、確かにゴジラとか怪獣映画とか想起したけど、東宝映画であって東宝映画じゃないもんね。
「GANTZ」に登場した風呂場で自殺した女の子もマンガを描いているっつう女子大生も名前も知らん女優未満の女の子で、私は勉強不足でおます。
プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事