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2011-02-13

「東海一の若親分」で男と女が再び

東海一の若親分2110213


 「若き日の次郎長 東海の顔役」に続く「東海一の若親分」は、前作で清水に戻った米屋の長五郎こと、やくざになった次郎長(中村錦之助)が、いよいよ次郎長一家の看板を上げ、待たせたお蝶さん(丘さとみ)と夫婦になったのもつかの間、二足草鞋のやくざ(尾形伸之介)とのもめごとで役人に追われることになり、結婚式のその夜に子分たちと清水をトンズラ、またまた、お蝶さん「待つ女」になってしまうお話でおます。

 いかに江戸の昔でも人を、それも二足草鞋の十手を振りかざす人物をあやめてしまえば法の裁きは待っているはずでおますが、当時の政治体制からいえば他国に司法の網は及ばなかったものの、この次郎長さん、半年ほどほとぼりをさませば、また舞い戻ってこられるというのですから、何とも無法な話でおます。

 一家名乗りをした早々、次郎長一家に大政(水島道太郎)が加わります。この人、元は尾張藩の下級武士で、貧乏な宮仕えにイヤ気がさし、浪人しています。貧乏ゆえに女房を身売りさせ、その金で何とか家名を立て直そうとしたのですが、うまくいかず、後にやくざの親分の愛人となっている女房(千原しのぶ)と再会することになります。
 そのやくざの親分というのが、これまた次郎長と敵対することになる武居のども安(平幹二朗)で、大政に再会した女房のおしのさん、夫は自分が体を犠牲にして作った金で無事に侍勤めをしていると思ったら、やくざになっていた現実に「あたしは何のために体を売ったんですか」と大政にキツい一言を投げています。そりゃ、怒るのは当然ですわな。

 さて、役人に追われて旅に出た次郎長一家の前に2人の気のいいにいちゃんが現れます。


 ひとりは、森の石松でおます。次郎長の名声を聞き伝え、ぜひとも子分になりたいと思い、のんきに歌なんぞ歌いながら旅をしとります。演じているのはジェリー藤尾。
 大井川か天竜川かの川越えの場面では、同じように一人旅をしている男のような格好の娘みき(仲宗根美樹)と知り合い、自己紹介がてら歌を歌い合っておりますが、いきなり歌のシーンが出てくるオペレッタ風の作りは、これまたマキノ雅弘監督の得意とするところでおます。

 もうひとりは、関東綱五郎でおます。こちらに扮しているのが渥美清で、いきなり祭礼の縁日でタンカバイをやっとります。渥美さん、フーテンの寅以前に露天商やっていたんですね。インチキ薬の販売で、サクラ(フーテンの寅の妹ではおません)を使って口上を述べとります。
 渥美清は少年時代、露天商の口上を聞き覚えたと自ら語ってましたから、きっと、この初登場のシーンは撮影現場で思い付いたと思われます。なにしろ、マキノ雅弘でおます。この監督さん、現場の状況を読み取って、どんどん予定のホンが変わっていくことで有名でおましたから。

 ジェリー藤尾に渥美清、この当時の東映時代劇にあって異色の顔ぶれでおます。
 どちらもテレビのバラエティー番組などでそろそろ顔が知られてきたころで、東映時代劇の演技陣に新しい風を送り込むため、従来にないキャラクターとして起用されたんでおますねんやろね。

 異色といえば、この作品ではワキの大物を俳優座の面々が占めております。
 石松のオヤジを東野英治郎、ども安の兄弟分の島田の太市を小沢栄太郎がそれぞれ演じており、このベテラン勢のおじさん達はそれまでにもよく東映時代劇に顔を出しておりますから珍しいことはおませんが、ども安を当時まだ俳優座の若手だった平幹二朗が扮しとります。
 今でこそ怪優めいたおじちゃんになっとりますが、そろそろ出てきていたんでおますな。内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズや松田定次監督の「新吾二十番勝負」シリーズなどに顔を出し、同じ俳優座の若手で、工藤栄一監督の「十三人の刺客」や「大殺陣」で出色の殿様を演じて名高い菅貫太郎ともども、それまでの東映時代劇の俳優には見られなかった新しいキャラだったんですな。

 ところで、この平幹二朗は前作「若き日の次郎長 東海の顔役」では次郎長の子分になる増川の仙右衛門を演じとりましたが、ここでは一転、悪の親分で登場してます。代わりに仙右衛門を演じているのは坂東吉弥でおます。映画で開花せず、後に歌舞伎に戻って晩年は関西歌舞伎で頑張ってはりました。坂東好太郎の息子さん、今、歌舞伎のワキで重宝されている坂東弥十郎のお兄さんでおます。
 ひところ、深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリースで梅宮辰夫や松方弘樹が何度も違う役で出ていることがやかましく言われとりましたが、一人の俳優が同じシリーズで役柄を変えて登場することなど、日本映画では珍しいことでも何でもおません。

 さて、話を次郎長に戻します。
 次郎長さん、大がかりな人身売買組織を壊滅させ、最後は清水から駆け付けたお蝶さんと箱根を目指して新婚旅行にでかけますが、恋女房を清水に待たせている間、お蝶さんそっくりな女と出会います。信州から売られてきた宿場女郎のおゆきで、丘さとみが二役に挑んどります。
 子分達とともに上がった妓楼で相方となったおゆきちゃん、「お客さん、寝なさらんのか」と言いながらもシクシク泣いとります。こういう場合、相手となった風俗嬢が泣いてばかりいたら客はうっとおしくて寝る気にもならんものでおますが、心優しい次郎長が訳を聞くと、信州から母親が死んだという知らせがあり、それでも帰れない、それが悲しくて泣いているということでおます。

 とうとう次郎長さん、その夜はおゆきと一つ枕になることはなかったようでおますが、錦之助と丘さとみ、客と女郎、Hはなかった、この組み合わせでボクは「清水港の名物男 遠州森の石松」を思い出したのでおます。
 やはり、マキノ雅弘監督の1958年の作品でおます。石松を演じたのは錦之助、相手の四国・金比羅の宿場女郎、夕顔に扮していたのも丘さとみで、女に惚れられたことのない石松の「惚れる」という願いをキーワードに客と女郎の一夜を描いとりますが、マキノさん、3年たって似たような設定で旅の一夜を描いていたのでおますな。
 もちろん、意味合いは違いますが、さすが、リメイクの大将でおました^^
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