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2011-02-08

「ヤコブへの手紙」への期待とは

ヤコブへの手紙110209


 第82回アカデミー賞外国語映画賞など何やかやと受賞の多い、クラウス・ハロという監督のフィンランド映画でおます。
 フィンランド映画を観るのは、ひところ「浮き雲」など日本でもしきりに作品が公開されていたアキ・カウリスマキ監督の「白い花びら」(日本公開2000年)以来でおますから、もう11年経とります。

 静かに時間がたゆっているような映画でおます。カウリスマキ監督の作品も決して声高でない、ささやくような映画でおましたが、どうなんでしょうね、フィンランド映画界って。こういう映画ばかりなんですやろか。それとも、本当はもっとやかましい映画がゴロゴロしているのに、そういう感じの映画ばかりを日本の配給会社は選んでいるのですやろか。彼の国の映画事情って、どうなんですやろね。

 終身刑で刑に服している女(カリーナ・ハザード)が服役して13年を迎えた時、恩赦で釈放されます。恩赦の請願を出したのは、片田舎に住む老牧師(ヘイッキ・ノウシアイネン)。ということは、日本とは法律事情が違うせいか、フィンランドではしかるべき人物が恩赦の手続きをすれば服役囚は釈放されることもあるんですやろか。
 女は釈放後、牧師の手伝いをすることになってます。しかし、意外な朗報に女は「私ゃ、そんなこと希望してないのに何で牧師のところへ行かなあかんねん」と不貞腐れとります。
 家族とも連絡が途絶えており、出所しても行くアテはなし、女は「まぁ一丁、行ってやるべえ」と、そんな気持ちで牧師館を訪れるところから映画は本格的に始まります。

 牧師は目が不自由な老人ですが、善人を絵に描いたようなおじいちゃんでおます。一方、女は世をすねているというか、終始、仏頂面をかまして、牧師の「よう来てくれたな。まずは紅茶でも飲まんかいな」という親切心にもそっけなく、わざとインスタントコーヒーなんぞを飲むやつでおます。

 ここまで観れば、この映画がこの先、どう動いていくのかは、もう分かりますよね。
 普通なら知り合うこともない異種な人間2人、ギクシャクしながらも同居生活を送り、やがて、お互いに心の氷解の時を迎え、お互いを理解し合って大団円になるという、よくある話でおます。
 おおよそラストは想像でき、よくある話の映画ではおますが、さて、この映画はどういうふうに、そのよくある話の収まりをつけるのか、それが、この映画に対する期待でおました。


 おじいちゃん牧師は、毎日のように全国から届く悩みの手紙に対して丁寧な返事を送るという悩み事相談を引き受けております。しかし、目が不自由なため、自分で手紙を読むことができません。これまでは近所に住む老婦人が手紙の読み役、返事の書き役として手伝ってくれていたのですが、老婦人が介護施設に入ってしまったため、その代理を探していたのでおます。

 恩赦で出所した女、レイラに与えられたのが、その役目でおます。しかし、自分の意に反して事が進められたことが気にくわない上、不承不承に牧師館へやってきたレイラは「家事はごめんやで」と早々に宣告、老牧師に手紙を読んで返事を書くという仕事も辛気臭く、ある時は何十通という手紙の束から何通が抜きだして捨てたりします。また、ある時は書いてある差し出し人の住所も無視し、わざと住所不明などと伝えるのでおますが、何回も手紙を送る人もいるようで、文面の調子から「それは誰それからやろ」と牧師からやんわり、やり込められることも。

 レイラにとっては面白くなく、退屈極まりない毎日でおます。おまけに毎日、手紙を届けに来る郵便配達夫からは「お前か、刑務所から出てきたってやつは。牧師さんはええ人や。お前なんか早よ刑務所に戻れ」と雑言を浴びせられ、ますます面白くおません。
 ところが、ある日を境にぷっつりと手紙が届かなくなります。レイラが隠したわけやおません。牧師館の近くまで来た郵便配達夫は「今日はないで」と、違う方向に去っていきます。そして変化が訪れます。レイラに、ではおません。牧師に、でおます。
 毎日、待ち兼ねるようにして手紙を受け取っていた牧師は、手紙が途絶えて以来、落ち込むようになり、老いを深くしていきます。
 そればかりか、レイラとのかみ合わない会話の中で牧師は自分の傲慢さを気づかされてしまいます。自分は悩める人の役に立っているんだと自負していた牧師は、レイラの言った「それは違うで。あんた自身が手紙に助けられてたんと違うの?」という言葉に自負心が見事、覆されてしまいます。おまけに予定もない村人の結婚式のために教会へ行ったものの、それまでは覚えていた祈りの言葉も出てこなくなってしまいます。

 ところで、レイラがどういう罪で終身刑になったのか、冒頭から明かされておりまへん。終身刑になるくらいだから、大罪なんでしょね。それが気になりながらずっと観ていて、やがて迎えたラスト、見事でおました。どういうラストを飾ったのかは、あえて説明しません。また、レイラがどういう罪を犯していたのか、それもオフにしておきます。

 レイラを演じたカリーナ・ハザードという女優さん、カリーナという名前の美しい響きに反し、美人ではおません。体型はずんぐりむっくりして、おなかもプクッと出とります。歩き方もガニ股でおます(これは演技か?)。その上、最初から最後まで仏頂面を通し、ラストの出来事まで表情が何にも変わりまへん。
 こういうキャラクターを主役に持ってくる点、おもしろおますな。日本映画ではありえないキャスティングでおます。男女を問わず、外国映画にはちょくちょく見かけることでおますが、こういう点、海の彼方は幅が広おますな。
 負けるなよ、日本映画クン!


 
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