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2011-01-22

ようやくの「最後の忠臣蔵」で上がり

最後の忠臣蔵110122


 昨年の秋から冬にかけて時代劇映画が続き、「桜田門外の変」「十三人の刺客」「雷桜」「武士の家計簿」と併せて『サムライムービー』キャンペーンの一環だった「最後の忠臣蔵」をようやく観てきました。
 豪華賞品が当たるキャンペーンに応募したわけやおませんが、これで上がりでおます。

 1963年の東映作品「十三人の刺客」の脚本を担当した池上金男の小説家としてのペンネーム、池宮彰一郎の同名小説を、お懐かしや、日活ロマンポルノで活躍した田中陽造が脚色、テレビドラマ「北の国から」の演出家、杉田成道が監督した『忠臣蔵16年後の後日譚』でおます。

 ほかの4本の映画は割と早く観ていたのでおますが、「最後の忠臣蔵」をまもなく上映終了になるだろう時期まで放置し、観に行くのが「なんだかね…」とためらっていたのは、「十三人の刺客」同様、この映画でも主役を張っている役所広司ゆえでおました。
 だって、この人、どんな映画に出てきても同じやもん^^
 「十三人の刺客」で映画の前半、甥っ子と話をしている旗本姿なんて、お前は「どら平太」やってるんかい? てなもんでおました。「どら平太」は2000年製作、公開の市川崑監督作品でおます。ダンスやってるおっちゃんやホテルマン、不倫する男、あるいはヤク中の中年やくざなど、いろんな人間を演じとりますが、「すごいやつ!」って膝を打たせるような、そんな役者には見えないのでおます。

 とはいえ、映画そのものは5本のうち、最も面白かったのでおます。

 「最後の忠臣蔵」には、赤穂浪士たちが元禄15(1702)年12月に起こした老人暗殺に絡む2人の浪人が出てきます。
 ひとりは暗殺決行に参加したものの、事件後、離脱した足軽、寺坂吉右衛門(佐藤浩市)でおます。これはよく知られている人物でおます。映画では大石内蔵助(片岡仁左衛門)の命令で16年間にわたり、各地を遍歴して暗殺に加わった浪士の遺族を訪ね、内蔵助から預かった金を配っています。
 その最後の1人、茅野和助の後家(風吹ジュン)を訪ね、役目を終えて京都へ立ち寄った時、ある男を目撃します。

 それが、この映画の主人公、瀬尾孫左衛門(役所広司)でおます。
 瀬尾は寺坂とは友人ですが、内蔵助個人の雇われ人で、祖父から3代、大石家に仕えていた用人でおます。赤穂の浅野家直属の侍ではおません。いわば従者(またもの)の身分で老人暗殺計画に加わっていたものの、決行直前に姿をくらまし、寺坂たちからは裏切り者と認識されています。だから、寺坂は瀬尾を探し回り、なぜ姿をくらましたのか、真相を探ろうとします。

 実は瀬尾さん、16年もの間、内蔵助の隠し子を守り、育てていたんですね。
 暗殺決行直前、内蔵助から密命を帯び、やがては天下の大罪人となる主人の愛人、可留(かる)と子どもの可音(かね)を守るため、主人に一身を捧げたのでおます。可留は可音がまだ乳飲み子の時に死に、以後、可音に大罪人の父の類が及ばないよう世間から隠れるようにして可音を育ててきたのでおます。老人暗殺決行後、幕府は決行に参加した内蔵助以下の浪士たちを切腹をもって処断していますが、その類は遺族にもおよび、内蔵助たち主だった者の子息は遠島などに処されています。

 やがて時がたち、赤穂浪士への世間の評価も変わってもなお、瀬尾さん、自分と自分が育てて成人させた可音(桜庭ななみ)の身分を身近な人たちにも明かそうとしません。それは内蔵助との約束があるからでおます。身分を明かしても誰ももう詮索しない、そんな世の中になってもなお秘密を守り続けている、そんな愚直なまでの男が映画の主人公でおます。

 瀬尾は最後に切腹して果てます。ワーナー資本の映画でおますから、この切腹はサムライ=ハラキリの欧米人が持つイメージやからか? とも最初は思いましたが、違いますよね。一個人の生き方をも縛ってしまう侍の掟の非情さとでもいうんですやろか、主人から遺児を託されて世間から隠れに隠れて遺児の成長を全うしたこともさることながら、最後に見せた瀬尾の切腹も主人と交わした約束を全うしようとした瀬尾の愚直さゆえであり、これまた侍の掟なんですな。

 同時に、切腹は瀬尾が実行した個人としての行動でもおます。
 わけあって決行に参加できず、死に遅れた者の身の処し方でおます。可音が嫁いだ夜、可音の成長に力を貸した島原の元遊女(安田成美)から「もう好きなように生きてええやん」と言われても、最後に瀬尾には16年遅れて浪士の列に加わるという為すべきことが残っていたんですね。これは暗殺決行に参加した後、離脱することになった寺坂との大きな違いでおます。だからこそのタイトルは「最後の忠臣蔵」でなければならなかったんですな。

 瀬尾という愚直な男を主人公にして、人の生き方を描いただけでも、この映画、リキが入っとります。

 せやけど、なんでやねん? と思ったのは可音の花嫁行列に次々と赤穂ゆかりの侍たちが加わることでおます。
 最初は瀬尾独りのわびしい行列だったのが、事情が分かった寺坂が村人たちと加わることはよしとしても、最後の奥野将監(田中邦衛)まで侍たちが次第に人数を増していくのでおますが、よ~う考えたら、このお侍さんたち、皆、赤穂浪士からすれば裏切り者なんですな。赤穂藩瓦解で決行に参加しなかった、できなかった人たちばかりで、まるで隠れていた穴蔵からゾロゾロ這い出してくるように今度こそ遅れを取ってはならんとばかりに花嫁行列の供をしてはりますが、そんなアホな! でおますがな。
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私もこの作品はひいきにいたします

『最後の忠臣蔵』は、映画のルックスが昭和30年代の日本映画のように、少し人工っぽい色調で、その点が面白かった。

恐らくフィルムではなくデジタルで撮影したので、ノーライトだったかもしれないが。特に最後の輿入れのシーンの夕焼けは、かなり絞ったんでしょうか、いい感じでした。

撮影監督の長沼六男は松竹育ちの人ですが、昨年、『沈まぬ太陽』があまりの酷さに愕然としたのですが、これで名誉挽回です。

柿を・・・の友人さんへ

結構、色合いはよかったですよね。
最近の時代劇映画を観ていて思うんですが、産業としての映画会社が壊滅してしまって既存の映画製作会社は配給会社と化しておりますな。んでもって製作面では、かつての映画会社に存在したパーツがこぞって参加しとります。この映画でも美術の西岡善信、東映京都の大部屋さん、所作指導など現存する遺産が協力しとりますな。
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