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2010-11-23

某月某日、記憶とデカタンと

清順101123


 某日、CSで放送されて録画しておいたテレビ映画「燃えよ剣」の第9話「京三条池田屋」を観ていて、ラストショットがかつて本放送で観た時の自分の記憶と全く正反対だったことを知らされた。

 「燃えよ剣」は「新選組血風録」と並ぶ司馬遼太郎の新選組小説で、1966(昭和41)年、松竹で映画化(監督・市村泰一、脚本・加藤泰)されているほか、テレビでも何度かドラマ化されているが、ボクが録画してあるのは最も有名な1970(昭和45)年版で、新選組副隊長の土方歳三役者として名高い栗塚旭の出世作となった1965年放送の「新選組血風録」の姉妹篇。

 その「燃えよ剣」第9話はサブタイトルから分かるように新選組の池田屋襲撃を描いており、ラスト、斬り込みを終えた新選組が引き上げると同時に役人の制止を振り切った女(御影京子)が池田屋に駆けこむストップモーションで終わるが、そのカメラアングルがボクの記憶と実際の映像とでは全く逆だった。
 ボクの記憶には、カメラは画面左側から俯瞰のアングルで右側から女が池田屋に駆けこむ映像として長い間、残っていた。しかし、実際には真逆。カメラは画面右側から俯瞰で池田屋の軒先に向けられており、女は左側の通りから池田屋に駆けこんでいた。

 ありゃ…である。真逆であっても何でもどうでもいいことだが、記憶ってヤツの何とあやふやで、頼りないことを改めて思い知らされることになった。1970年といえば日本万博のあった年で、長い時間の中でボクは勝手に映像を作り変えていたことになる。
 翻って、何かの事件における証人の目撃談ってヤツも、これと同じようなことがあり得るのではないか。犯人の赤い服を茶色い服だったと間違えてしまえば、事件の解明は微妙なことになる。
 記憶って、恐ろしいですな。




 筑摩文庫から出ている「鈴木清順エッセイ・コレクション」を読んでいるが、これが実に面白い。
 ボクは映画監督・鈴木清順の熱心なファンではないけれど、映像より面白いのではないか。長年、清順がいろいろな雑誌に書いてきた小文を一冊にまとめたもので、すっとぼけており、思い切りデカタンで、なおかつシニカルな眼差しで、清順さん、懸命に咆哮している。中には「アナキストは誰だ!」のような講演録を読んでいて、それがそのまま映像として彷彿させる一編もあって、ページを繰るのが楽しい。

 その前に読んだのが関川夏央の「家族の昭和」(新潮文庫)。
 昭和の戦前から戦後、そしてバブルに沸いた昭和末期までの人と時代の感覚を向田邦子、幸田文の作品群、大当たりしたテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」や「男女7人夏物語」などを通して述べた一冊だが、昭和という時代はボクの中では既に時代劇のような世界になっている。

 ボクも昭和64年間の半分を生きていた1人で、これまで平成を生きてきた時間より長い。かといって昭和を懐かしむ気持ちなど毛頭ない。昭和を懐かしむのも、時代の再来を渇望するのも個人の自由で、ひところ、昭和30年代を舞台にした映画がヒットし、大いにもてはやされたことがあった。20世紀と21世紀を股にかけた平成という時代も碌な時代ではないが、それでも貧乏たらしい、あんな時代は二度と経験したくない(というボクは現実に十分な貧乏をかこっているが…)。

 それでも、ボクは「家族の昭和」という本を読んだ。あんなことがあった、こんなことがあったと懐旧の情を深くするためではない。いったい、ボクたちが生きた昭和という時代はどんな様相をしていたのか、その一端を知りたかったためで、だから、作品そのものには文句はない。だが、本の末尾に添付された「解説」に、ちょっと待った! となった。

 高名な女性ノンフィクション作家が「解説」を担当しているが、向田邦子や幸田文についてはとにかく、最後の金妻や男女7人については「私にはなじまなかった」とある。
 なじまなかったって、それ、あんたが知らない世界、理解できない世界だったからでしょ。
 この作家はボクの母親とほぼ同世代の人だから向田邦子や幸田文の作品に描かれた時代の中で生まれ、その時代とともに育ってきている。だから、その時代の空気は実感として肌身に染みていても、バブル時代の若い男女の心理を理解できなくても無理はない。
 それを「なじまなかった」などとは格好をつけすぎ。素直に「わからない」としておけば、このノンフィクション作家への好感度はアップしただろうに。
 
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