2010-07-19

『仁義なき戦い』だったのね「OUTRAGE アウトレイジ」

アウトレイジ


 仲間由紀恵、鈴木京香、竹内結子、蒼井優、広末涼子、田中麗奈のきれいどころ(一部、そうじゃない人もいますが…)が並んだ、日本映画久々の女優競演作品「FLOWAERS」に対抗したわけでもおませんやろが、ほぼ同じ時期に公開されたのが北野武監督の「OUTRAGE アウトレイジ」でおます。
 こちらは、むさいおっちゃん、にいちゃんが並んでいます。

 ビートたけしを中心に三浦友和、北村聡一朗、国村隼、椎名結平、杉本哲太、石橋蓮司、中野英雄、塚本高史、加瀬亮、そして小日向文世と、個性派俳優の11人揃い踏みといえば聞こえはよろしおますが、色気は皆無の映画でおます。
 「世界のキタノ」が監督したニューバイオレンス映画というので、公開から随分経ってからシネコンに駆け付けましたが、でもね、これって「仁義なき戦い」の21世紀バージョンじゃねえの?
 1973年の正月用映画として始まった深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズの、特に笠原和夫の脚本による4部作、あれでんな。
 この「仁義なき戦い」で、事あるごとにバックに流れた津島利章作曲の騒々しくも衝撃的、かつリリシカルなムードも持った音楽を取り除き、セリフと自然の音だけが流れる映像にしたら「アウトレイジ」につながったと、こういうわけでおます。



 「アウトレイジ」の宣伝惹句に『下克上』という文字がおますが、暴力団の内部抗争でおます。命をとったり、とられたりで昨日の友は今日は敵、明日もまた敵かと思えば味方になっているという欲と打算が絡み合った世界で生きる男たちのお話で、ほぼ全員が死に絶えた時、ワッパをかけられたビートたけしは、さしずめ菅原文太の役どころでしょうか。見栄えはグンと違いますがね。

 そして、簡単に予測できた結末。
 テレビで三枚目のおっちゃんで人気の北村聡一朗が、ここでは傘下の子分たちをいいようにあしらって生き残っていくドンでおますが、その貪欲ぶりは山守親分の金子信雄には遠く及びまへん。
 この北村親分の側近の若頭が三浦友和。劇中、北村親分に「お前がしっかりしてないからだ」と2度も頭をたたかれるシーンが出てきますが、三浦友和、スターでっせ。あの山口百恵のダンナはんでっせ。

 そんな頭をたたかれるだけのヘボな子分役だけで出てるわけないやん、何かあると観ていたら、やってくれましたね、まさしく『下克上』を。もっとも、偽装工作はかなり杜撰で、ちょっと調べれば、すぐにわかるようなチャチさでおますが、暴力団幹部とつるんで小銭稼ぎをしている小日向文世の刑事さん、稼ぎがなくなるのを恐れて見て見ぬふりでもしたんでおますねんやろか?

 何かあるごとに皆、「バカヤロー!」って威嚇する一言を吐いていますが、それを聞くたびになにやらガキの喧嘩めいて聞こえたのはどうしてか? およそ、やくざの世界の雰囲気とはほど遠いキャスティングが妙にナマナマしかっただけに(今の世の中、いかにも風な見栄えのやくざなんてチンピラくらいしかおりませんわな)、やくざの迫力が出なかったのかどうか。

 唯一、印象に残ったシーンはビートたけしの右腕の椎名結平が殺されるシーンでおました。
 海沿いの道路。カメラをやや俯瞰気味に固定して据えっぱなしのワンシーンワンショットでおます。 
 そこでロープの先端を道沿いのブイにくくりつけられ、顔を袋で覆われた椎名結平が車から転がり落とされて昇天、肝も冷える惨殺シーンでおますが、暗殺者2人が車を放置して歩いて去るまでの長回しのこのシーンに、ふとフィルムノワールのにおいが立ち込めておりました。
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