--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009-09-23

長谷川伸シリーズ4

090915_162419.jpg

 かつて罪を犯して獄につながれたものの、出獄して更生してもなお、何かあると自分が疑われてしまう男の、自分の命に代えて無実を証明せざるを得なかった哀しいてん末。
 それが「長谷川伸シリーズ」第4作の「町のいれずみ者」です。

 原作の戯曲の表題は「町の入墨者」で、はたまた、「街の入墨者」としているのが、今年、生誕百周年を迎えた幻の映画監督、山中貞雄の映画でおます。

 なんで、幻としたのか?
 だって、今、山中貞雄の映画って、もう観られないんですよ。
 そのほとんどの作品のフィルムが失われてしまって、断片的にフィルムは発見されていますが、ほぼ完全な形で残っているのは、わずか3本。それも、製作当時のものとは異なり、故意にカットされている部分もあるそうです。

 山中貞雄の1935年の日活京都作品「街の入墨者」も、もはや観ることはできまへん。わずかにスチール写真や脚本は残っていますが、その脚本も結末部分は未完となっています(キネマ旬報「日本映画代表シナリオ集1」所載)。

 この作品、現存する「河内山宗俊」や「人情紙風船」同様、当時の前進座とのユニット作品でおます。
 河原崎長十郎、中村翫右衛門、河原崎国太郎、山岸しづ江、瀬川菊之丞、坂東調右衛門などのおなじみの面々に、「河内山宗俊」の原節子のごとく、「人情紙風船」の霧立のぼるのごとく、(記録によれば)この作品にも製作会社所属の女優、深水藤子が顔を出しております。

 さて、テレビ版は・・・。


 
 

 「町のいれずみ者」の脚本は結束信二、監督は河野寿一という、60年代後半からの東映京都製作のテレビ時代劇界の黄金コンビでおます。

 主人公の岩吉に近藤正臣が扮しております。
 岩吉の弟夫婦には河原崎建三と大原麗子。河原崎建三は、長十郎の3人の息子のうちの三男坊でおます。大原麗子は先月、この世からひっそりと消えてしまいました(合掌)。

 この岩吉は、元は腕のいい染物職人だったのが、何のはずみか、盗みを働いて島流しとなり、それから10年、ようやく罪を許されて江戸に戻ってきたところから話は始ります。

 江戸時代、遠島に処された犯罪人が再び、大手を振って日常生活に戻る、つまり、罪を許されて刑務所から出所できることは稀だったそうですね。
 何分、江戸の政治体制というのは、現在と違って個人の人権など問題にしておりません。
 冤罪であろうとなかろうと、犯罪人と認定すれば軽くて石川島での強制労働、重くて死刑、その中間が遠島と所払いで、要するに将軍が居住する土地から追い出してしまえばいいというもので、追い出された後の犯罪人のことなど「知らん」というような体制だったようでおます。
 
 1度、島流しにされたら、もう、それっきり。
 そのあたりのことは、中島貞夫監督の映画「木枯し紋次郎」(1972年、東映京都)によく描かれております(原作は笹沢左保の「赦免花は散った」です)。

 では、なぜ、岩吉が無事に江戸に戻ってくることができたのか?
 島抜け(破獄、脱走)しようとした3人組の男2人を捕まえたため、その功労が報われ、江戸に戻ってくることができたためです。
 ところが、残る1人の浪人者(波田久夫)は取り逃がしてしまい、結果、そのことが岩吉の命取りになるという、お話にアヤがついております。

 江戸に戻ってきて、島帰りの身分は隠しているものの、岩吉に岡っ引き(藤岡重慶)がまといつき、そうなると自然と周囲にはそれとなく、島帰りだったのは分かってしまいます。
 長屋住まいの弟夫婦の家に身を寄せていますが、さあ、そうなると再就職の口はなし、長屋の女房たちのヒソヒソ話の肴になる、揚げ句には弟夫婦は大家(海老江寛)から追い立てをくらってしまいます。
 おまけに、恋人だった女(北林早苗)まで既に人妻になっており、岩吉、踏んだり蹴ったりです。

 そんなところに降って湧いたように起こったのが強盗殺人事件。恋人だった女の亭主(永野達雄、後に辰弥)と岩吉につきまとっていた岡っ引きが殺され、大金が奪われたという、岩吉が疑われるには打ってつけの事件内容でおます。
 幸い、岩吉にはアリバイがあったため、「ちょっと来い」とはならずに済んだのですが、ここで岩吉さん、「ぜってぇー捕まえてやろう!」と一念発起、やがて、再び強盗事件が起こり、現場に乗り込んでみると、首謀者はなんと、島抜けした浪人者で、恨み骨髄の浪人者は岩吉に襲いかかります。

 岩吉の奮闘で浪人者は捕縛されますが、同時に岩吉も虫の息で急を聞いて駆けつけた弟夫婦や同心(左右田一平)に看取られながら息を引き取ります。
 そして―。
 そのすぐ近くから、かつて岩吉の恋人であった女が手を合わせる姿が見られたという、人情劇のようなラストシーンが用意されておりました。
 


関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。