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2009-08-02

長谷川伸シリーズ1

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 このところ、夜の家飲みの酒のお相手は、テレビで観る「長谷川伸シリーズ」でおます。

 今から37年前の1972年、NET(現・テレビ朝日)と東映が共同製作したテレビ映画で、マキノ雅弘、村上元三、小倉浩一郎、俊藤浩滋、上月信二など、60~70年代の映画、テレビ映画をご存じの方なら、おなじみの面々がプロデュサーとして名前を連ねております。

 長谷川伸―といえば、縞の合羽に三度傘の股旅小説、戯曲でよく知られてますが、実は歴史小説の大家でもあり、それを証明しているのが前年の1971年、朝日新聞社から刊行された「長谷川伸全集」全16巻でおます。
 殊に、昭和の時代になって忘れ去られてしまった幕末の志士たちの掘り起こしは、勝った側からは語られることのない幕末の裏面史でもあり、偉大な仕事でおます。

 とはいえ、歌舞伎、新国劇、そのほかの商業演劇、または映画、テレビを問わず、取り上げられたのは股旅物であり、関の弥太ッぺ、沓掛時次郎、磯の源太、駒形茂兵衛、番場の忠太郎などの面々でおます。
 かくして、日本の劇界には「股旅物」というジャンルが生まれ、芝居のほうはともかく、映画、テレビの世界では、このジャンルは絶滅してしまいました。
 
 長谷川伸作品の股旅物は多く、江戸中期から末期を時代背景にしています。西洋暦でいうと18世紀末から19世紀半ばということでおますな。
 その時代に生きた人間たち(フィクションであるにしろ)を20世紀に生きた俳優たちが演じていたわけですが、明治、大正ですら、既に時代劇の感覚でしかとらえられない21世紀の今、テレビで多少の時代劇番組があるとはいえ、もはや現実味を感じさせないということですやろか?

 さて、「長谷川伸シリーズ」の第1作は、「沓掛時次郎」前後篇でおました。
 「沓掛時次郎」といえば、映画のほうでは加藤泰監督、中村錦之助主演、の「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年、東映)という、大変優れた映画がおます。あるいは、池広一夫監督、市川雷蔵主演の「沓掛時次郎」(1961年、大映)という佳作もおます。

 この作品、いつ観ても寄る辺のない男と女の心のやりとりがよろしおます。
 
 男は、女の亭主を殺しています。
 なんで殺したのか? というと一宿一飯の掟のためでおます。
 男は旅から旅を駆ける渡り鳥のやくざです。たまたま、草鞋を脱いだやくざの一家が、敵対していた一家の生き残りが邪魔で、その粛清役に指名されたのが時次郎です。

 一宿一飯の掟で殺人を請け負うなんて、われわれ、やくざじゃない者にとっては理解しがたいですよね。
 でも、旅のやくざが一夜の宿を、その土地の親分に頼ることができ、親分のほうも「一晩、泊めてくれ」と旅のやくざから申し入れがあったら拒否することはできません。
 その代わり、旅のやくざが親分の家に滞在中、その親分とどこかの親分とが喧嘩になった場合、旅のやくざは寄宿先の親分に助力しなければなりません。親分のほうでも、泊めてやった代わりに旅のやくざに助力を要求することができます。
 不文律のルールながら、ギブ&テークの世界が出来上がっていたのですね。

 時次郎は、その不文律の掟に従って六ツ田の三蔵という男を粛清してしまいます。
 これで、時次郎のやくざとしての義理は果たし、立派に任務を遂行したのですが、自分が斬った男から頼まれ事を聞いたために、さぁ、これが悲劇の始まりとなります。

 頼まれ事とは、三蔵から女房と子供の落ち着き先まで面倒を見てくれということです。
 こうして時次郎は、三蔵の女房、おきぬと子供の太郎吉と旅することになります。おまけにおきぬと太郎吉を殺してしまおうとする親分の手下たちの追手がかかります。
 
 でも、異常ですよね。
 殺人をめぐる加害者と被害者がともに旅をするってことは。

 当然、おきぬは被害者ですから、加害者の時次郎を憎みます。口もききません。時次郎も加害者としての負い目を背負い、おきぬの冷たい視線にさらされながらも三蔵との約束があるため、親子から離れるわけにはいきません。

 日照りの中を、雨が降りしきる中を3人は旅していきますが、やがて、男と女の心に微妙な変化が訪れるようになります。
 この作品が、本当に面白くなるのは、ここからでおます。しかも、重要なのは被害者であるはずの女の、加害者の男に対する思いでおます。

 このあたりの女の心の変化が後篇では丹念に描かれています。

 脚本は結束信二、監督は山下耕作。このコンビは映画「新黄金孔雀城 七人の騎士」(1961年、東映)以来ではなかったかいな・・・?
 時次郎には鶴田浩二。さすがに見た目には、この時期、いささかくたびれた観は否めません。
 おきぬは松尾嘉代。映画版の池内淳子に劣らず、ええ味出してはります。
 三蔵には菅原文太。この時代、映画で「木枯し紋次郎」をやっていたので、造りはまんまでおます。 新番組の第一回作品ということもあってか、後篇で時次郎が金策のために力を貸す親分に片岡千恵蔵、時次郎たちが逗留するはたごの女将に三益愛子という大ベテランがご祝儀出演しています。 


 
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