2009-04-03

若富が阪妻に見えた「大岡政談 魔像篇」

 この映画を再び、映画館で観ることができるなんって、思ってもおりまへんでした。
 といっても、名作とは呼ばれず、むしろ、無視されている一編でおます。
 
 お馴染みの(といっても、最近の若い子には全然お馴染みやおまへんけど)林不忘原作の、昔から映画、テレビ、舞台で何度もドラマ化されている作品でおます。林不忘は「丹下左膳」の原作者で、いくつかペンネームを持ってはる昭和初期の作家でおますな。

 1960年封切の東映京都作品。脚本は高岩肇、監督は河野寿一。ともに1950年代後半から1960年代にかけて活躍した人でおます。
 殊に、河野寿一は時代劇映画もさることながら、時代劇が退潮してテレビ映画の時代劇に移った監督さんで、60年代後半、「新選組血風録」(65~66年)や「俺は用心棒」シリーズ(67~69年)などでテレビとはいえ、映画的な絵作りで深みのある作品を残しとります。

 さて、この「大岡政談 魔像篇」。
 江戸城の公務員(御書院番士)の侍が職場でパワハラを受け、ニートになった後、当時、自分を苛めていた上役や同僚を、自分と瓜二つのニート(浪人)の助けをえながら一人ひとり抹殺していくお話でおます。
 江戸時代にも「いじめ」があったんや、というより、いつの時代でも集団の中には「いじめ」は存在するってことでおますな。
 この侍が何でいじめを受けていたかというと、この映画では上司が侍の妻となった女性が好きだったのに、まんまと侍がその女性と結婚したからということになっています。
 古い言葉でいえば「横恋慕」でおます。後輩の女房に思いを募らせているこの上司、「仮名手本忠臣蔵」の師直さんそのまんまでおますな^^

 苛められる侍と、彼に瓜二つの「喧嘩屋」を商売にしている浪人に扮しているのは若山富三郎。
 侍を苛める集団のトップに立つ上司を演じたのは戸上城太郎。東映や松竹の時代劇で、こわもてのご面相で登場したものの、すぐにやられてしまう悪役をいっぱい演じていたおじさんです。

 いじめの発端となった人といえば「あたし、知らないわよ」と言われそうですが、いじめの原因ともなった美貌の人妻を演じたのは大川恵子。東映城のお姫さまですな。

 実は、この映画をまた観るなんて思っていなかったーと冒頭で書いたのも、このお姫さまなるがゆえでおます。
 ボク、この人のファンでおました^^
 スクリーンに現れた女優を好きになる、憧れる、ファンになる、そういう意味での原体験の人でおます。
 
 ファンといったって、当時はまだ小学生だったガキでおます。このお姫さまが出演する映画を最初に観たのは何だったかは記憶にござりません。でも、このお姫さまが出ていた映画は、欠かさずといっては大げさで嘘になりますが、よく観ていた記憶はおます。

 ガキでしたから、お姫さまに大人が感じるようなエロスを見てとっていたわけではおまへん。
 ただ、当時、ガキだったボクは「わぁ~、きれいな人・・・。ええわ~」と思っていた程度が、ずっと年上のスクリーンに登場する女性に持ったガギの精いっぱいのエロス感でおましたな。

 そんなステキな人が映画に現れたら、当時のボクは食い入るように見つめていたんでおますやろな、きっと^^
 ところが、この映画ではむくつけき戸上城太郎に襲い掛かられ、このお姫さまは貞操を守るため、舌を噛み切って死んでしまい、あえなく映画から退場・・・とあいなります。

 せっかく、ステキな人が出ている映画を観に行ったのに、途中で消えてしまうとは、そりゃ、そんな映画だから少年の心には残りますわな^^、この映画(ストーリーなど、全く関係おまへん)。

 この映画は、ボクにとってそんな映画であり、だから、よく覚えているのでおます。

 翻って、肝心の主役の若山富三郎、彼が侍と浪人の二役を演じていた記憶はおましたが、そこでどういう演技をしていたかなど、さっぱり憶えておりまへん。
 
 ただ、この映画を改めて観て、ちょっとびっくりしたのはラスト、浪人の方のチャンバラでおます。
 この時の立ち回りが阪東妻三郎の爪先を素早く動かし、跳ねるように動く立ち回りにそっくりなんでおます。若富さん、もう一方の侍の立ち回りと区別するため、勉強しはったんですやろね。

 そういえば、バンツマさんも「魔像」(1952年、松竹、監督・大曾根辰夫)に主演してはりますな。

 
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