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2006-03-19

17)「日本大侠客」で若松、よか海、よか街

 もう一本、鶴田浩二&藤純子で忘れられない作品を。
 「日本大侠客」です。
 実在した北九州出身の代議士、吉田磯吉の若いころのお話です。この人物、火野葦平の小説「花と龍」にも登場しています。この「花と龍」は何度も映画化されていますので、ご存じの人もいるかと思います。
 「日本大侠客」は1966年の東映京都作品、監督はマキノ雅弘、オリジナル脚本は笠原和夫が担当。この作品は1970年、倒産直前の大映で再映画化されています。やはり監督はマキノ雅弘で、タイトルは「玄海遊侠伝 破れかぶれ」、勝新太郎&安田道代(現・大楠道代)のコンビでした。


 「日本大侠客」で忘れられないセリフは、夜の海を見つめながら、わがご贔屓の藤純子がつぶやく
 
 「若松、よか海・・・よか街・・・」

です。純子は流れ者の芸者・お竜を演じています。
 そのお竜が身を売って鶴田浩二扮する大金の必要に迫られた青年・吉田磯吉の危機を救い、そのかわり、戻ってきたら所帯を持つことを磯吉と約束し、晴れ晴れとした気持ちで、この言葉を口にし、大陸(多分、満州あたり?)へ渡っていきます。

 そのころの磯吉は料亭を経営する姉夫婦(木暮実千代、徳大寺伸)の居候です。プータローをしています。喧嘩っ早く、そのくせ、面倒見のいいお人好しです。お竜と知り合ったのも、土地のやくざたちと喧嘩をし、逃げ込んだ先で出会ってかくまってもらったからです。
 やがて数年が過ぎ、お竜が若松に戻ってきます。しかし、その時の磯吉はお竜との約束を裏切っていました。姉の死後、磯吉は料亭の経営を受け継ぎ、しかも、姉が目をかけていた仲居のおふじ(三島ゆり子)を妻にしていたのです。

 当然、お竜の知るところとなり、酔っぱらったお竜が磯吉のいる料亭に乗り込んできます。手には一升瓶を持ち、もう一方の手には日本刀が握られています。お竜の恨みの抗議を前に磯吉はどうすることもできません。二人の事情を知るおふじは磯吉の後ろで小さくなっています。
 「あんた、おんな一人を殺したんよ」と恨み節を突きつけたところでお竜にも、どうなるものでもないことは既に分かっています(このシーンの洗い髪姿の純子の芝居、絶対のみのもです!!)。そして、お竜のセリフは

 「若松、汚か・・・海も、街も・・・」

となります。

 いいですね。男とおんながいますね。さすが、マキノさんですね。北九州の荒くれ男たちのドラマですが、女性が出てきても単に男のそばにくっついているだけの話にしていません。
 鶴田浩二が青年を演じるには、今から40年前の映画であっても正直「?」ですが、その分、藤純子が素晴らしく、おんなの情念を見せてくれています(贔屓目なしよ^^)。
 当時、20歳。演技的にはつたないけれど、マキノ好みのおんなを演じています。マキノ好みの身のこなし、動きを多分、マキノさんにしごかれたのでしょう、頑張っています。

 そして、忘れてならないのは磯吉の妻を演じている三島ゆり子。これもマキノ好みの「待たされる女」を演じています。
 磯吉とお竜との仲を知りながら磯吉への想いを秘めている役です。ある夜、磯吉がやくざに襲われ、代わりにおふじが手傷を負ったことから磯吉はおふじに料亭を出ていくことを勧めます。しかし、その時、おふじは「下働きでもええから大将のそばに置いてください」と泣いて訴えます。そのいじらしさに負けて磯吉はお竜との約束を裏切ることになります。この女優さん、現在は関西でおばさんキャラを発揮してテレビなどに出ていますが、この作品では耐えるおんな心を好演しています。

 ところで、藤純子が演じたお竜は、「緋牡丹博徒」のヒロイン、緋牡丹のお龍の原型になったといわれ、それが定説のようになっています。「緋牡丹博徒」を嫌ったマキノ自身も生前、そう語っています。しかし、この定説に「そうかなぁー?」と疑問視しているのがボクの定説です。

 確かに「日本大侠客」のお竜は立ち回りこそしないものの、名前は同じであり、ピストルを手に男どもを脅したりしていますが、だからといって、それで緋牡丹お龍に結びつけるのは牽強付会にすぎるのでは・・・と考えています。

 むしろ、脚本が笠原和夫(緋牡丹映画への参加は、たった1本)ということから、後年、笠原和夫が「花と龍」の男とおんなのいきさつをを自由に脚色した「日本侠客伝 昇り龍」(1970年、監督・山下耕作)のヒロインで、同じく藤純子が演じた蝶々牡丹のお京につながっていると考えているのがボクの定説です。この映画での蝶々牡丹のお京も惚れた男のために自己犠牲に生き、報われぬ愛に泣いたおんなでした。

 ま、緋牡丹のお龍の方がはるかに有名ですから、その方が話題性があっていいという意図が働いていたのかもしれませんね・・・。
 
 
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