--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009-03-10

「やさしい嘘」に通じる「ぼくのおばあちゃん」

 今、テレビで放送されている「必殺仕事人2009」は、殺し屋集団の中心人物ともいうべきヒーローが、同じ南町奉行所の同心ながら、かつての藤田まことから東山紀之にバトンタッチされております。
 このシリーズが生んだキャラクター・中村主水を演じる藤田まことはすっかりワキに回り、この役者さんの病後の復帰姿を見ていると、何やら、あちらの世界に引っ越しをする数年前までの「男はつらいよ」の渥美清の姿を彷彿させますが、それはさておき、主役がバトンタッチされるとともに、そのキャラクターまでがバトンタッチされています。

 つまり、ヒガシ演じる小役人は日ごろは冴えない町回りの同心で、なるべく面倒なことにはかかわりたくない役人根性丸出しで、おまけに中村主水同様、家庭では嫁(中越典子)と、その母親(野際陽子)に押さえつけられています。
 ところが、この女たち、中村主水の嫁(白木万理)や母親(菅井きん)に比べれば、ピリカラ度が足りまへんのですな。かつて、事あるごとに「あなた!」「婿殿!」と吠えまくっていた主水の嫁や姑に比べれば、なんともホンワカしていて、そこが違うといえば唯一の違いのような・・・。
 嫁の名前が「ふく」、姑の名前が「こう」、2人合わせて「こうふく」、これではピリッとはなりまへん。ヒガシ演じる夫は幸福なんでしょうな。
 対して、主水の嫁は「りつ」、姑が「せん」で、名前が合体すると「せんりつ」、戦慄でおますな。主水が毎日、ビクビクしていたはずでおます^^

 そんなピリカラ度満載の姑を演じていた菅井きん、脇役一筋60年の女優さんで、ボクは千石規子とともに丈夫で長持ちの双璧をなすと思っていますが(最近、千石規子のほうは見かけなくなったけれど)、そんな菅井きんの初主演映画「ぼくのおばあちゃん」(製作=キノシタ・マネージメント、監督=榊英雄)を、この4月で閉館するお気に入りのシネコンで観てきました。
 「ぼくのおばあちゃん」は、住宅販売の優秀な営業マン(岡本健)が顧客の、年老いた舅をとかくないがしろにしている主婦の家庭を見て、かつて、祖母に育てられた自分の少年時代の日々を回想する話でおます。

 菅井きんさんが主演しているのなら、「佐賀のがばいばあちゃん」(2006年)のばあちゃんのように、何とも強烈な個性のばあちゃんを演じているのかと思ったら、これがまるで逆、孫がかわいくてしかたのないばあちゃんでおます。
 好々爺という言い方がおますが、さしずめ、好々婆、でおますやろか。

 このばあちゃん、若いころは映画会社の結髪部に勤めていたという設定で、そのせいか、大の時代劇ファンで、孫にもそれが伝染したのか、幼稚園時代の孫はしょちゅう、おもちゃの刀を振り回しております。

 このばあちゃんはテレビの時代劇を観るのを楽しみにしてはります。せっかくなら、ばあちゃんが観ているテレビの画面に「必殺」シリーズのフィルムでも流したら、大いなるギャグになるはずですが、この映画は、そんな楽屋落ちのないマジメな映画でおます。
 時代劇ついでにつけ加えると、孫の夢として、冒頭、いきなり出てくるチャンバラシーンのカラミは東映剣会の役者さんみたいで、それに仏壇や鴨居にさりげなく見え隠れする、ばあちゃんの亡き夫の遺影は「ラストサムライ」ですっかり有名になった福本清三さんでおます。

 あえて、悪人が出てこない、登場人物は心優しい庶民ばかりでおます。近所の八百屋の夫婦(寺島進、深浦加奈子)も薬局のおっちゃん(宮川一朗太)も、成長した孫が勤務する会社の社長(亀石征一郎)も上司(船越英一郎)も、いい人ばっか。ま、映画の狙いでおますな。

 ばあちゃんがガンを患い、息子(柳葉敏郎)をガンで亡くしているため、息子の嫁(原日出子)と孫はばあちゃんに病名を隠しとおします。しかし、ある時、ばあちゃんは自分がガンであることを知って錯乱、やがて、呆けたようになってしまいます。
 その時、孫が「隠していて、ごめん」と謝るのですが、ばあちゃんは孫を抱きしめて「やさしい嘘もあるんだねぇ」と涙します。

 その時、ふと思い出したのが5年前に観た外国映画「やさしい嘘」でおました。
 やはり、あの映画もばあちゃんと孫のお話で、田舎にくすぶっていても仕方のない孫娘は都会に行ったきり帰ってきません。そこで、ばあちゃんは都会へ孫娘を探しに出てきます。
 探しあぐねて、公園のベンチに座り込むばあちゃんの姿に、小津安二郎監督の「東京物語」の老夫婦が行くあてもなく立ち止まり、「こげな所で迷子になったら、もう一生会えんような・・・」とつぶやいた東山千栄子の姿がだぶりました。

 同じように、この「ぼくのおばあちゃん」にも、そこはかとなく小津映画のにおいがおまして、それは古い日本家屋の家並みを丹念にとらえたショットからもうかがえます。そういえば、この映画の舞台は「東京物語」の尾道とは瀬戸内海を挟んで向き合うような位置にある愛媛の大洲でおます。

 ショットばかりでなく、強く感じさせられるのは、繰り返される生の営みでおます。
 ばあちゃんが亡くなり、孫にも子どもができ、孫の母親が自分の孫をまたかわいがるようになる、営々と紡がれる、その繰り返しに小津映画のにおいを感じたのでおますな。
 

 
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。