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2008-07-15

堅気にはなれなかった「緋牡丹博徒 鉄火場列伝」

 わがごひいき、藤純子主演の「緋牡丹博徒」シリーズ第5弾は、1969年10月封切の「鉄火場列伝」、監督は1作目以来の山下耕作(そして、このシリーズ担当の最後になった作品)で、脚本はお龍の生みの親、鈴木則文に加え、シリーズ初参加の笠原和夫です。

 任侠映画のベストメンバーがそろった作品ですが、サブタイトルの「鉄火場列伝」というタイトルの由来が今イチ、ようわからん映画でもあります。
 前作の「二代目襲名」までは、名は体を表わすといいますか、「な~るほど、うまいこと付けよったな」と感心していました。しかし、「鉄火場列伝」って何じゃ~? なのですな。
 
 当時の東映任侠映画にはオールスター作品、あるいはセミオールスター作品向けに「・・・列伝」と題する映画が何本も製作されていましたが、シリーズのサブタイトルに、それまでのトーンとはガラリと趣を異にした「列伝」はないやろっていう感じでおます。

 そんなどうでもええことを考えていた矢先、この映画のDVDのパッケージを眺めていて、ハタと気がつきました。
 パッケージには主役の藤純子を囲むようにして鶴田浩二、若山富三郎、それに丹波哲郎の顔があしらわれています。「これでか・・・」と、40年近く経てから納得させられましたわい^^

 つまり、任侠映画おなじみの面々ですな。だから「鉄火場列伝」なんやね^^4人で「列伝」はいささかさみしい感じがしないでもありませんが、純子を守るように3人ものおっちゃんが共演者として付き合っているのですから、陣頭指揮を執っていた名物プロデューサー・俊藤浩滋さんの「よっしゃー、このタイトルで行こ!」という掛け声が聞こえてきそうでおます^^

 第5弾「鉄火場列伝」では、藍玉の産地・四国は徳島に現れた緋牡丹のお龍さん、またもや、ここでも堅気の女性として生活することを強いられるのです。

 「鉄火場列伝」は、降りしきる雨の中、病気で1人では歩けないくらい弱っている子分(高宮敬二)を抱きかかえたお龍が刑務所の門から出てくるところから始まります。
 お龍が塀の中に入っていたわけではありません。前作「二代目襲名」にも登場したその子分が、やくざ同士の揉め事で刑務所入りし、病気になったまま出所を迎え、親分であるお龍が身元引き受けに徳島まで迎えに来たのですな。

 病気で弱っている出所者をそのまま追い出す刑務所側も冷たいものですが、迎えに来たお龍さんも病人を乗せるような人力車も用意しとりません。雨の中をトボトボと行き暮れていますと、そこに現れた1台の人力車・・・。

 こうして難渋していたお龍主従は、その土地名産の藍玉を扱う運送業の江口(待田京介)に窮地を救われます。と同時に、お龍さんはまたもや藍玉をめぐって堅気とやくざがもめている諍いにかかわってしまうという端緒が生まれます。

 救われたのも束の間、子分の病状は思わしくなく、子分はあえなく昇天。無事に野辺送りを済ませたお龍に江口は言います。
 「堅気のご寮はんとして過ごしてみませんか」

 お龍に惚れたから口説いたのと違います。
 江口もかつて、やくざだった男です。だから、自分が助けた子分を連れた女が最近、その業界でめきめき売り出してきている緋牡丹のお龍であることは薄々気がついています。やくざ稼業に嫌気がさして足を洗った江口だからこそ、女であるお龍にそう勧めてみたのですね。

 演じる待田京介、ええ役をやってますな。この人、東映の任侠映画では常に脇役として重宝がられ、前作まではお龍の兄貴分、熊坂虎吉(若山富三郎)の子分で、お龍の片腕でもあった不死身の富士松としてレギュラー出演していましたが、その同じ俳優がシリーズの次の作品では全く違うキャラクターとして登場しています。
 「役者、足らんかったん?」と言うなかれ。このいい加減とも言えるような配役の妙が、かつて日本映画に存在したプログラムピクチャーの面白さでおます^^
 ここんとこ、分からな、量産された時代劇や任侠映画は楽しめまへん^^

 さて、毎度おなじみながら藍玉を生産する農民たちは、藍玉売買の利権を狙う親分(天津敏)から圧迫を受けています。高利でカネを借りたばかりに、娘を色町に売ってしまった農民もおります。
 江口は、そんな農民たちの相談相手になっているのですが、ここで、ちょっとおかしなことに気付きます。
 江口も、相談に押し寄せる農民衆も、みんな、大阪弁ですねん!

 ありゃりゃ、ですな。これに気付かせてくれたのは友達でした。
 ボクは注意力散漫ですな。初めて、この映画を観た時は、そこに全然ひっかからなかったのに、2度目に友達が同行して観た時、友達が言いました。
 「なんで、お百姓さんたち、大阪弁なん?」

 おまけに間の悪いことに、その友達が徳島出身でおました^^江口はともかく、農民までが全員、大阪弁なのはおかしい! 
 確かに、おかしいこってすな。だからといって、一観客であるボクに問われても解明のしようがおません。「大阪から集団移住してきたのと違うか?」と、いい加減なことを言っておきましたが、この友達の疑問、後年、山下耕作監督にインタビューした時、すっかり忘れており、遂に聞き漏らしてしまいました。

 ちなみに、その友達によれば、唯一、徳島弁らしい言葉を使っていたのは、江口の妹を演じていた三島ゆり子だけだったそうです。
 兄貴が大阪弁で、妹が徳島弁って、もうバラバラでんな^^

 今回、横道によく反れています。こうなると、もうダラダラいきますので、そこんとこ、よろしく。

 農民から相談を受けても、江口に具体的な解決策はありません。そこは元やくざ、ですな。密かに最後は自分が犠牲になればいいと覚悟しています。事実、江口は2度と持つまいと決意したはずのドスを持って立ち上がろうとします。
 その時、お龍が厳しく言い放ちます。
 「卑怯です!」

 これ、江口がお龍に「堅気として過ごしなはれ」と言った言葉と対をなしてます。
 この時のお龍の気持ちを代弁すれば、アンタ、私に堅気として暮らせいうたやん。せやから、私、精いっぱい我慢してるのに、そういうたアンタがドスで解決しようとするなんて矛盾してへん、これって? ということです(お龍さん、大阪弁使ってませんが、その想いを大阪弁で表わすと、こういうこってす^^)。

 「卑怯です!」と言った以前に、すでにお龍は江口から「アンタ、失格や」と言われています。
 悪いやくざの所業を見るに見かねて、堅気の女性として暮らしているはずのお龍がやくざたちを懲らしめたことで、江口から「あんたはもう、私らとは縁のない人でおます。ここから出て行ってください」と縁切り宣言を受けてしまいます。
 
 お龍も江口との約束を破ったことを十分承知しています。
 だから、「お言葉に従います。ただ、この土地にいることだけは、おめこぼしください」と別れのあいさつをし、以後、江口の妹が営む小料理屋に身を寄せ、遠くから、それとなく藍玉騒動を見守ることになります。

 だから、お龍の「卑怯です!」は、江口の行動の矛盾を鋭く突いているわけです。
 おんなの矛盾、男の矛盾ですな。
 こんな矛盾を抱えたおんなと男なのに、今回は、それが恋には発展しません。

 もう1人、お龍の前に現れる旅のやくざが登場します。鶴田浩二扮する仏壇三次と名乗る男です。
 後に藍玉騒動に絡んで落命してしまいますが、この男とも男が連れている幼い娘、お加代(古城門昌美)を通じて、お付き合いするだけで、こちらとも、お龍さん、恋に発展しません。

 山下耕作はインタビューで「この作品だけが、お龍と待京(まちきょう)との間が何か中途半端に終わったような作品」とつぶやいていましたが、シリーズで、この「鉄火場列伝」と第7作「お命戴きます」だけが、シリーズに彩りを添えていたお龍と男とのほのかな想いのやり取りが見られない作品ですね。
 お龍の恋の相手として、待田京介では貫目が足りなかったのでしょうか、鶴田ではおっちゃん過ぎたのでしょうかね^^

 列伝の1人、若山富三郎はいつも変わらぬコメディーリリーフとしてお龍の窮地を救う兄貴分、熊坂虎吉役で、ご祝儀出演しています。
 残る1人の丹波さんは当初、お龍の子分に「西を向かされた」自分の子分とのいさかいのケジメをつけるため、お龍と対峙します。設定は夏なので、白い麻のスーツ姿はいかにも丹波さんらしいいのですが、いつの間にかお龍に共鳴して、最後はお龍が怒りの斬り込みをかけた時、邪魔者が入らないように防御してやるという、おいしい役を演じています。
 このころの丹波さんは、まだ閻魔大王ではなかったし、人間革命でもなかった「キーハンター」で忙しかったころですね。
 
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