2008-07-13

歌舞伎の呪縛から逃れられなかった化け猫ちゃん

 以前にも記したことですが、ボクが初めて怪猫映画、化け猫ですね、それを観たのは、もうはるか昔のことで、東映京都の1958年のモノクロ作品「怪猫からくり天井」という作品でした。

 主演は月形龍之介と大川恵子、監督は東映京都の量産組監督の1人だった深田金之助です。
 月形龍之介は化け猫を退治するお侍さん、東映城のお姫さま、大川恵子は騒動の発端となる囲碁の宗匠(小柴幹治)の妹役で、お姫さまですから化け猫になるはずはありません。

 化け猫になるのは宗匠兄妹の母親で、これを演じていたのが鈴木澄子。戦後、化け猫女優とうたわれた入江たか子より、はるかに古く、戦前から化け猫女優として鳴らしていた人ですね。
 戦後、映画出演はめっきり減り、この「怪猫からくり天井」に出演したころは成人した男女の母親役をするくらいですから、もう結構なおばさまになっており、この映画は鈴木澄子の最後の化け猫映画となりました。

 
 


 後年、この作品がテレビの深夜枠で放送された時、知り合いにビデオに録画してもらい、20数年ぶりに観ることができました(当時、すでにビデオデッキは所有していたものの、電波の届かない放送局の放映だったのだよ^^)。

 ところで、化け猫映画では恨みをのんで死んだ人物のその怨念が、かわいがっていたペットの猫に乗り移り、その猫が恨まれる側の誰かを食い殺して、その人物になりすまし、また犠牲者を生み出していくというのがパターンですが、「怪猫からくり天井」にしても、入江たか子の化け猫映画にしても、あるいは新東宝の化け猫映画にしても、ほかにも共通点がおます。

 怨念が乗り移った猫が馬脚(猫だから、猫脚?)を現し、いよいよ、化け猫となって大暴れする段になると、どうしてなんでしょうね、あのコスチューム、これが共通していて、どうしてこうなんだろう?って長い間のボクの疑問でもおます。

 「石橋(しゃっきょう)」の獅子ほどではないにしろ、頭は白いざんばら髪、顔は歌舞伎の隈取に似せたメーキャップ、衣装は糊の効いた金糸、銀糸の縫い取りのある袴を身につけています。
 化け猫大暴れのシーンになると、化け猫ちゃんはみんなそろって歌舞伎になってしまうんですよね。ま、衣装は正確にいえば能装束なんですが、これ、どうしてなんでしょうね?

 時代劇映画そのものが歌舞伎から派生しており、化け猫物は歌舞伎ネタにもあるから、先祖の影響ですよといわれれば、仰せごもっともなことなんですが、歌舞伎のフリそのものだった目玉の松ちゃんの時代ならともかく、どうにも歌舞伎の縛りから抜け出していない化け猫ちゃんばかり。
 もっとほかに化け猫のコスチュームに新たな発想はなかったんかいな? って、ついつい今でも昔の化け猫映画を観るたびに思ってしまいます。

 21世紀の今、再び化け猫映画が製作されるとしたら、化け猫にはどんなコスチュームがいいですか?
 もっとも、親が子を殺し、子が親を殺し、夫婦が殺しあって果ては街行く行きずりの人が殺されるという繰り返しの現代、ペットが主人の恨みを晴らすという、何ともおおらかな怨念劇など作られるようなことはないでしょうが・・・。


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