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2008-07-08

南北と円朝と・・・

 映画が産業として成立しなくなってから、その昔、夏になると必ず製作されていた怪談映画は全く見かけなくなってしまいました。

 夏場、どんなにおどろおどろした幽霊映画を観ても、決して涼しくならなかったのは不思議で、冷房設備が完備された現代では、なおさらのことでおます。
 むしろ、稲川さんの怖いお話のほうが、夜、トイレに行きにくくなってしまうような^^

 今で言うホラー映画。ひところ、「学校の怪談」やらなんやら、季節に関係なく製作されていましたが、食べ物に季節感をなくしてしまった日本を象徴しているみたいでんな^^
 「ゲゲゲの鬼太郎」の実写版が公開されていますが、あれはボクが指す怪談映画とは異にしています。

 日本の幽霊物のピカ一といえば、昔も今も「東海道四谷怪談」でおます。
 映画、テレビ、舞台を問わず、これまで数えきれないくらい劇化されています。四世鶴屋南北の筆になる、この作品、今でも岩波文庫版で手軽に読めますが、何よりも原作がよくできております。
 
 ひと言でいうなら、女の怨念ですな。
 「お父ちゃんの仇はとってやるから」の言葉にひかされて、浪人の伊右衛門(お茶と違いまっせ)と復縁したお岩が、貧乏生活から抜け出そうとした夫から徹底的にコケにされて憤死してしまいます。死んでから夫や夫に与した人たちをとことん追い詰めていく一念のすごさに怖くなります。
 怖さはそれだけにとどまらず、伊右衛門との間にもうけたわが子をも、大ネズミ(お岩さんの干支は子年でおます)に襲わせて殺してしまうすさまじさです。

 二番手は、明治のはじめ、三遊亭円朝が語った「怪談牡丹灯籠」でおます。
 旗本の娘、お露さんがカランコロンと下駄の音を鳴らしながら、夜毎、恋しい男の元に通ってくるというストーリーで有名ですが、この作品の面白さは前半のお露と浪人、萩原新三郎との幽霊騒動より、むしろ、新三郎の店子で、お露さんに協力する伴蔵夫婦の後半にあります。
 
 同じ円朝に「真景累ケ淵」という、これまた怪談物があります。真景=神経であって、幽霊や怨霊は人間の神経(精神)が生じさせるものだと円朝が解釈していたことは有名な話です。

 つまり、まだ幽霊の存在が一般的に信じられていた江戸末期から明治の初めにかけて、そうした人々の思い込みをたくみに利用して円朝が語って聴かせたのが「怪談牡丹灯籠」であり、「真景累ケ淵」であったりしたんですね。
 それを実証しているのが、伴蔵の存在です。
 お露と新三郎の幽霊騒動をたくみに仕立て上げて大金を手にすると、古女房を連れて三十六景します。後半は、その伴蔵の破滅に至るストーリーですが、円朝は「幽霊なんて、おらへんよ。怖いのは人間、人間の恨みじゃ」と明言しているのでおますな。
 
 
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No title

木下恵介版の「四谷怪談」を観たばかりです。面白かったけど、どう怖くない。田中絹代は上手いんだけど、なんかおどろおどろしさがないんですね。それよりもおぼこ娘の山根寿子が以外と色っぽかったなぁ。どちらかといえば、山根寿子の方が幽霊顔ですね。ちなみに伊右衛門は上原謙。これもあくどさがあまり。

ちなみに昨年公開された『怪談』は「真景累ケ淵」が原作でしたが、まあまあ怖かったんですけど、役者がトホホもので…。

実際に、このジャンルの一位は『東海道四谷怪談』で、これ以上も以下もないような気もします。

あら、そんなものか・・・

 件さん、今晩は、です。
 そういや、昨年、「怪談」って映画ありましたね。件さんが持ち出すまで、すっかり忘れていました。残念なことにボクは観ていないのですが、最近の映画って、あら、そんなものか・・・程度の軽い認識しかないって残念ですな^^

 木下版「四谷怪談」は滝沢修の直助と杉村春子のお槙とのからみの方がなぜか面白い。とはいえ、これとて原作の設定とは随分違うんですが、原作に最も近い映画といえば加藤泰版1本きりっていうのも残念な現象でおますねんわ。

No title

そうそう木下版『四谷怪談』は、杉村春子のやり手ババアと滝沢修の直助の絡みが最高です。しかし、老いらくの恋に狂う杉村春子に似た人物を、最近、身近に見た様な気がします…。

わたしゃ、加藤版は観ていないんですよ。ということは、中川信夫を最高とするのは誤り?

中川版はねえ・・・

 ボクにとって、ですけど、こんなに面白い「東海道四谷怪談」を全く原作通りにとはいかないだろうけど、なんでつまらなく改変するんやろかって疑問なんですね。
 確かに中川版は世評は高いけど、ボクは今イチでおます。
 なんか、最後の戸板返しの部分だけがカラーリング効いてるんで評価しているみたいな感じで。クレジットタイトルの後、くりからもんもんの男の後ろ姿で始まるんで、江戸後期の妖しさ期待させられたんですけどね。それに花岡菊子のお槙と江見俊太郎の直助が親子っていう設定、考えられへん。2人は利害が相反する間柄なのに。
 なによりも、若杉嘉津子のお岩がつまらん。あんなジクジクしているだけの女だったら、伊右衛門でなくても、うっとおしくてたまらない。天知茂のワルはすごいんですけどね。
 っていうことで、中川版の面白さを逆に教えてくださいよ。

そうですね。

『東海道四谷怪談』の初見は、京都で行われた日本映画監督協会の講演会の時です。講師はなんと鈴木清順。まだ20年前のことですから、いくら今と風貌が変わりないとはいえ、清順氏は元気バリバリ。開口一番、なんていったと思います。「私は、中川監督とは会ったことないんですよ。わははは。何で呼ばれたんでしょうね」ですって。みんな不思議がっていました。その時の清順氏は、記憶が確かなら、その後、「お化け映画」のことを一時間あまりしゃっべたと思います。

 要するに、そういうことなんです。お化け映画として、こけおどし度が最も高いという部分がいいのではないでしょうか。それに、私としては、最も浮世絵の幽霊絵(最近、浮世絵に少しはまっています)に近い世界を体現できる映画ではないでしょうか? ちなみに豊田四郎版は観ました?

ちなみに、私にとっての「四谷怪談」は、手塚治虫なんです。空襲で片目が見えなくなった戦争孤児のもとに現れた幽霊がお岩さんなんです。そのお岩さんは、幽霊なのに足があるピチピチのお姉さん。ラストで、その戦争孤児が失明することを知り、自分の見える方の眼を上げて、昇天していくという話です。
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