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2008-01-08

「Always」はこれだよ!の「流れる」

 久しぶりに女優競演の映画を観たくて、夜のリカータイムに登場したのが成瀬巳喜男監督の1956年の東宝作品「流れる」です。

 明治の文豪・幸田露伴の娘さん、幸田文の同名小説を成瀬映画の常連ライター、田中澄江と井手俊郎が脚本を担当していますが、ボクがこの映画を初めて観たのは中学生のころで、もちろん、テレビ放映です。
 のちに20代前半のころ、ホール上映で観直すことはできましたが、中学の時、テレビで映画を観た後、新潮文庫から出ている原作も読みました。しかし、幸田文の文体がどうにもなじめず、「よ~う分からへん」が中学生の感想でおました。

それにしても、この映画、主役、脇役を問わず、モノクロ映画ではありますが、絢爛豪華な女優競演でおます。
 田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、中北千枝子、賀原夏子などのほか、それだけでは足りなかったのか、無声映画のスターで、そのころ、すでに引退していた栗島すみ子まで特別出演格で引っ張ってきています。成瀬さん、交通整理が大変やったやろな~でおます^^

 通常、タイトルに特別出演と記されている俳優は顔見せ程度のご祝儀出演が通り相場ですが、この作品での栗島すみ子が演じた料亭の女将は、きっちりストーリーに組み込まれています。山田五十鈴扮する芸者置屋の女将の芸者時代の先輩で、仏顔でなにかと山田に親切に接していますが、実は借金のカタに置屋の土地、建物を狙っているという、コワい女将さんです。

 そんな女ばかりの世界に「女中」として現れるのが主役の田中絹代で、夫も子どもも亡くした中年の素人女です。幸田文は実際に本名を隠して芸者置屋に女中として住み込んだことがあるそうですが、その時の体験がもとになっているのですね。
 「極道の妻たち」の原作者、家田荘子もやくざ社会の女たちの実態を知るため、やくざの家に女中として潜入したことはよく知られていますが、幸田文はそんな先例ですね。

 それにしても、この映画、昭和レトロがいっぱいです。
 タイトルバックの東京・隅田川の向こう岸に瓦屋根の家が何軒も並んでいます。そればかりか、舞台となる置屋がある下町の一角もロケ地にしろ、セットにしろ、昭和の風景にあふれています。
 時は昭和31年。まだ東京オリンピックで東京の街並みが一変するには時間があり、かといって、戦後の焼け跡から卒業したころです。「経済白書」に「もはや戦後ではない」と書かれたのも、この年ですね。
 置屋の女中となった田中絹代が歩いて買い物に行ける距離にいろいろな店があり、家は木造で、夏は仕切りを取り外して冷房設備などなく、氷の塊を買ってきて台所の流しで細かく砕き、買い物は節季払いで家には通い帳があり、路地では子どもたちが遊び回るなど、ボクも見知っている昭和の生活が映画の中であるがままに展開しています。
 つまり、まちの造りが人間サイズなんですね。現代のように、どこかに行くのに車を使う車サイズのまちの造りではありません。

 いま出来の映画を観に行くより、昭和レトロを楽しみたいのなら、この映画1本で十分じゃ~というのが、久しぶりにこの映画を観たボクの感想でおます。

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ようやく始動しました。ちまたで流行っている映画に、まったく興味を持てなくなっています。もちろん『ALWAYS』も、しかり。昭和30年代だからといって、風俗面ばかりクローズアップするのもどうかと思い、観ていません。それよりも、昭和30年代に作られた映画の方が圧倒的に面白い。それらの映画で、ことさら家でテレビを観る事に固執していたのは『おはよう』でしたね。また、冷蔵庫は『僕は2才』。しかし、どれもドラマがあってですからねぇー。
ちなみに、ロマンポルノ版『肉体の門』は、なかなか渋い作品でした。
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