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2007-01-07

千景、孤軍奮闘の「大奥絵巻」

 現在、映画「大奥」が公開されていますね。しかも、ヒットしているようで・・・・・。
 実は、ボクもこの種のドラマは好きです。
 数年前から、フジテレビ系列でテレビ映画「大奥」が放送され、それが高視聴率を稼いでいたこともあり、その延長線上に現在公開されている映画「大奥」があるわけですが、この手のドラマが好きな割には、テレビで放送されていた時はほとんど観たことはありませんでした。
 テレビでは食指を動かされなかったのに、今、映画版のほうには少し食指を動かされています。とは言いながら、まだ観に行っていない体たらくでは、お話にもなりませんけど^^。

 映画「大奥絵巻」は、現在公開されている映画版より、はるかな昔、1968年に公開された脚本・成沢昌成、監督・山下耕作による東映京都作品です。
 そのころ、やはり、テレビで「大奥」というテレビ映画が放送されていました。ちょうど、テレビ放送のカラー化が全面的に実施された年で、こちらは関西テレビ放送開局10周年記念と銘打った作品でしたが、ここ数年、放送されていたテレビ版「大奥」の本家本元となる作品です。
 やはり、この関西テレビ製作の「大奥」もヒットし、それに気を良くした共同製作の東映が映画化したのが「大奥絵巻」というわけでありますが、東映の大奥物といえば、この「大奥絵巻」が最初ではありません。
 主演は佐久間良子。
 佐久間良子といえば、この前年、オムニバスの大奥映画「大奥(秘)物語」に、わがご贔屓の藤純子、それから小川知子とともに主演しており、さらにはテレビドラマ「徳川の夫人たち」にも主演しています。
 本当は、映画・テレビを通じて大奥物の火付け役となったのは、この「徳川の夫人たち」というテレビドラマですが、それはまた、別に機会に記すことにしましょう。
 注:「大奥(秘)物語」の(秘)は本来、○に秘なのですが、わがパソコンさんは思うように変換してくれません。悪しからず。




 
 

 さて、映画「大奥絵巻」の主役は佐久間良子ですが、映画を観れば、本当の主役は佐久間良子ではなく、淡島千景であることはすぐに分かります。
 時は徳川11代将軍・家斉のころ。大奥では、出世欲、権力欲につき動かされた高級女官・淡島千景が孤軍奮闘しております。彼女が敵とみなしているのは将軍の正妻、いわゆる、御台所グループであります。
 このグループ、御台所(桜町弘子)を中心に大奥の最高責任者である大年寄の三益愛子以下、木暮実千代、阿井美千子、宮園純子など、そうそうたる顔触れをそろえています。
 対する淡島派には有力な女官たちはいません。そこで馬を射るのではなく、一挙に将を射ようとばかり、淡島さんは実の妹である佐久間良子を将軍(田村高広)の側室、お妾さんですね、に差し出して将軍の威光をバックに大奥の権力を握ろうとします。
 
 そのころ、将軍さんは人間不信に陥っています。なにしろ、大奥は女中心の世界であり、大奥にあっては自分は単なる種馬でしかありません。夜毎、ベッドインしてくる女たちは自分の種をもらって世継ぎを生みたいと企んでいる女ばかりです。接する女たちに真心はなく、将軍さんの気持ちはすっかり冷え切っており、女たちとは機械的に寝ているだけです。
 そんな将軍の前に新たに差し出されたのが佐久間良子ですが、この女だけは違っていました。
 それまでの女たちと同様、将軍は佐久間良子を機械的に扱おうとするのですが、佐久間さん、「上様はおかわいそうなお方・・・」と、それまでの女たちとは異なる反応を示します。
 「?」となった将軍は、佐久間良子にそれまでの女たちには見い出せなかった魅力を知り、すっかり、佐久間さんの虜になってしまいます。佐久間さんも元はといえば、姉の権力欲の犠牲となって大奥に来たのですが、将軍個人の孤独を知り、身も心も将軍に捧げるようになります。

 これで「してやったり」と喜んだのは淡島さんです。妹が将軍を虜にしたのですから、もう怖い者なしも同然です。ますます、権力闘争に拍車がかかり、ついに将軍直々の命令で御台所派の三益愛子は大年寄の職を解かれ、淡島さんは大年寄という大奥の最高位に昇りつめます。これで妹に世継ぎの男の子が生まれればバンバンザイなのですが・・・。
 ところが、失脚した三益さんも黙ってはいません。常に淡島さんたちの行動を見張っており、スキあらば・・・と虎視眈々です。
 わが世の春を謳う淡島さんに大事件が持ち上がります。

 淡島さんは、妹と親しくなった将軍を慰めるため、将軍と妹をお忍びで江戸の町に遊ばせます。下々の生活を知らない将軍は町家育ちの佐久間さんにリードされてローマの休日ならぬ、江戸の休日を堪能しますが、このことが御台所一派の知るところとなり、今ぞとばかり、三益さんたちは淡島さんを糾弾、しかも、証人として事の発覚以前に淡島・佐久間の妹、大原麗子を大奥に上げ、御台所付きの見習い女中とします。三益さんたち、なかなか手が込んでいます。
 妹の大原麗子が大奥に上がり、しかも、それが御台所派の手引きによるものと知って愕然とする淡島さんは大原麗子に「アホか、お前は!」と叱り、二人目の姉である佐久間良子も「あんたの来る所じゃない」と諭しますが、無邪気な末の妹は姉2人が勤める大奥のきらびやかな面だけが目についているので「だって、あたしも来たかったんだも~ん」と反発します。

 こうして、お忍びの一件が表ざたになります。糾弾の場に証人として引き出された大原麗子は初めて大奥の現実を知り、御台所派にどんなに責められても姉たちを売ることはできません。淡島さんが「アホか!」と叱り、佐久間も「来てはいけない」と言ったのは、こういう場面を想定していたからなんですね。
 窮地に立たされた淡島さんも巻き返しに取りかかります。お忍びのことをかぎまわっていたのが宮園純子だと知ると、歌舞伎役者(大谷ひと江=のちの嵐徳三郎)との密通事件をでっち上げ、宮園純子は拷問の末、狂死させるは、口封じのために歌舞伎役者は殺してしまうはで、自分の権力保持のために巻き返しを図った淡島さんはどんどん悪の道を突き進み、巻き返しを図ったつもりが破滅への道をたどっていきます。

 大奥の権力闘争を縦軸にし、大奥へ上がった3人の姉妹の悲劇を横軸にした映画ですが、上昇志向に燃えた淡島千景扮する大奥の女官の生き方が貫かれています。
 彼女は町家出身です。普通、旗本階級の子女で占められていた大奥では、武士社会出身でない者が出世していくというのはありえませんが、この映画では町家出身の一人の女が身分社会に敢然と戦いを挑んでいます。
 映画の中でも淡島のセリフに「町家出だからと、何かとバカにされて・・・」と出てきますが、彼女が戦いを挑んだ先は御台所派です。将軍の正妻は京都の宮家階級から迎えることが慣わしになっていましたから、映画ではことさら説明されていませんが、桜町弘子が演じた御台所は宮家出身と推察されます。とすると、そばに仕える三益愛子以下のおばさまたちも、それに準じた出身階級か武家階級だと考えられます。
 そんなすごいおばさんたちを相手に、淡島千景扮するヒロインはたった一人で殴り込みをかけ、上昇志向に燃えた前半はまっしぐらに自分の目的に向かって突き進み、後半、権力を手に入れてから、今度はその権力を守るために、どんどん悪女になっていきます。分かっていながら最早、後戻りできない生き方、もがけばもがくほど悪の道を進んでいかざるを得ない女の物語で、エロティックなイメージを抱かれがちな大奥物にあってピカレスクロマンの漂う大奥映画でした。
 
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