2013-02-26
月形は特異な風貌の「砂絵呪縛(すなえ・しばり)」
またもやの活動大写真でおます。
観たのは月形龍之介主演の「砂絵呪縛」で、1927(昭和2)年のマキノ御室作品。
この当時の大衆時代小説作家、土師清二の原作を山上伊太郎が脚色し、金森万象と二川文太郎が共同で監督。クレジットタイトルに「マキノ御室超大作」とおますので、マキノ映画の御大将、マキノ省三が総指揮を採ってはります。
この「砂絵呪縛」は、その後も何度か映画化され、登場人物のひとり、森尾重四郎は中里介山の「大菩薩峠」で訳もなく老巡礼を斬り捨てる主人公、机龍之助や大佛次郎の「赤穂浪士」で世の中も赤穂の浪人たちの老人襲撃計画も冷ややかに見ている堀田隼人などと並び、小説誕生当時の世相を反映したニヒリストとされとりますが、今回の映画では月形龍之介と対立する一派の侍のひとりに過ぎず、ニヒリストのかけらもおません。
徳川五代将軍綱吉の時代、政権を握る柳沢吉保一派と次期将軍家宣時代に側用人となる間部詮房一派との政権争奪戦のお話でおますが、主人公は月形扮する間部派の若侍、勝浦孫之丞でおます。画像の月形さん、なかなかの面構え。この時、25歳。しかし、お世辞にもイケメンではおませんな。
同時代の剣戟スターたちが揃って美貌も競っていたのに、月形さんはどちらかといえば渋さがウリだったのかな。事実、年を経て月形龍之介は派手さはないものの、大物脇役俳優として映画の要所を締める味のある、渋いおっちゃんにならはりました。
こちらは柳沢一派の手先になっている姐御のお酉さん。このお酉さんに砂絵師(荒木忍)がしつこくつきまとい、お酉さんは老人のストーカーに困ってしまいます。
演じているのは、バンプ型時代劇女優のひとり、鈴木澄子でおます。時代が進んで、鈴木澄子はすっかり「化け猫女優」として有名になっちゃいましたが、彼女の最後の化け猫映画「怪猫からくり天井」(1958年、東映京都、監督・深田金之助)の主演俳優が月形龍之介でおました。
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