--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2016-04-02

お春さんの戦績

チラシ 杉村 160329

 杉村春子ーあの世に旅立って来年でもう20年になるのでおますな。
 映画、演劇の世界でわれわれが持つことのできた偉大な女優のひとりでおます。まだ、この世にあってしばしば彼女の舞台に接した時、この小柄な、美人でもないおばちゃんのどこから観客を圧してしまう存在の大きさはどこから出てくるのかと不思議の観を抱き、小柄な体躯とは裏腹な大輪の花やかさを舞台上に見いだしたものでおます。
 
 そんな杉村春子の戦前、戦後を通じた映画作品が先月末から東京・神保町の小屋で始まっていると、例のお江戸在住のお友達から知らせが入り、「あらら、お春さんの映画ってまだ特集上映されてなかったんかいな」と改めてびっくりしております。
 今回の特集上映では浅草の歌姫に扮した『浅草の灯』(1937年、監督・島津保次郎)から、最後の映画作品となった、おそろしくもつまらなかった『午後の遺言状』(1995年、監督・新藤兼人)までの17作品が用意されとります。
 劇団文学座の女座長であり、新劇界(今や死語でおますな)を代表する大スターであるとともに、多くの映画作品で純粋な映画俳優たちと四つに組み、さまざまな足跡を残している女優さんでおます。

 杉村春子ー、ご多分にもれず、ボクもこの女優の演技にびっくりしたのは映画作品でおました。
 徳川家康の妻でありながら、夫に見捨てられ、自滅の道を歩んでしまう女を演じた『反逆兒』(1961年、監督・伊藤大輔)、婚期を逃しつつある近所の娘を結婚へ導くおしゃべりおばさんを演じた『麦秋』(1951年、監督・小津安二郎)の2作品は今もなお記憶に残る映画作品でおます。
 東映時代劇でありながら人気アイドルからの脱出を試み、芸術づいた中村錦之助(のちの萬屋錦之介)が主演した『反逆兒』はともかく、よく知られているように『麦秋』は、小津ワールドにあって常に場をさらっていた名脇役・杉村春子の、クルックルと感情をむき出しにし、鶴岡八幡宮の境内で財布を拾い、警官をみかけると慌てふためく世話好きのおばさんを演じた「晩春」(1949年)や親子だから遠慮のない表情、態度を示す娘を演じた『東京物語』(1958年)とともに、のちに「紀子三部作」と呼ばれる小津映画で甲乙つけがたい演技を残している作品群でおます。
 まさに「イヨォー、杉村!」と大向こうから声がかかるような演技者ぶりでおましたが、小津映画に関して言えば、小津安二郎の最後の映画となった『秋刀魚の味』(1963年)の主人公の恩師の娘を演じた時の杉村も忘れがたい味を残しておりますな。早くにヤモメとなった父親(東野英治郎)の世話をするうちにおばさんになってしまった娘を演じる杉村に、主人公の笠智衆に娘の岩下志麻を結婚させる動機を与える役にしろ、杉村が単なる脇役にも関わらず小津安二郎は特別に一人芝居をするシーンを用意し、セリフもなく、表情と体の動きだけで娘の孤独感、悲哀ぶりを要求された杉村も饒舌だった『麦秋』や『東京物語』とは打って変わった無言の演技で、まさにお春さんは「魅せとり」ます。


続きを読む

スポンサーサイト
2012-07-12

ようやく安息を手に入れた大女優

                大奥(秘)物語111207
                山田五十鈴(左) 右は藤純子(「大奥(秘)物語=1967年、監督・中島
                貞夫=から)

 山田五十鈴さん、あっちの世界に旅立たれましたね。7月9日、亨年95。
 失礼ながら、ようやくという感じ。
 かつてのライバル、杉村春子が現役のまま旅立った(1997年、公称91歳)のとは異なり、山田五十鈴の場合、病気で表舞台から消えて約10年。その間、療養のためのベッド生活を送らざるを得なかったのは想像に難くなく、現役女優としては立ち往生していた格好でおましたから。
 年齢的には大往生ながら、だから、ようやく安息の「時」を迎えたという感慨は深おます。
 多臓器不全と発表されましたが、年齢、長年の闘病から考え、むしろ老衰であったのかも…。とはいえ、老衰であっても、一世を風靡した美貌の大女優でおます。さすがに老衰とは発表できまへん。

 ボクが「山田五十鈴」なる女優を知ったのは、小学校の低学年のころと記憶しています。
 そのころ、学校の帰り道、田舎町に2軒あった映画館のポスターを見て回るのが日課のようになっており、思えば、そうして観に行きたい映画の情報を得ていたのでおますな。時代はアナログ全盛期でおます。今なら簡単にネット検索が可能でおますが、まだ、そんな文明の利器はおまへん。キネマ旬報や近代映画などの映画雑誌を、小学生が定期購読できる資金もおません。

 そんなある日、いつものようにポスターを見て回っていたボクは、ポスターの俳優名の中に「山田五十鈴」という文字を見て目を丸くしてしまいました。その映画が何であったのかは記憶におまへんが、大映の時代劇でおました。というのも、その映画館は大映作品をメーンにした小屋であったからでおます(滅多に入ることはおまへんでしたが)。

 やまだ・ごじゅうすず……

 多分、目を丸くしたのは「なんと、すごい名前の女優もいたもんだ!」と思ったからでおますやろね。女優と分かったのも、そのころの多くの映画ポスターがそうであったように、そのポスターにも顔写真の横に小さな文字で俳優の姓が記されていたからで、列記されている俳優の名前とポスターに載っている顔写真をいちいち照合しながら見ているというのも、子どもならではでおます。
 「五十鈴」がよもや「いすず」と読むことなど知らなかった僕は、その日、家に帰ってその話を聞かせた母親から「それは『やまだ・いすず』って読むの」と教えられましたが、それがボクの女優・山田五十鈴とのささやかな出会いでおました。

 そして、映画・舞台外のナマの山田五十鈴を見かけたのは、出会いの時代からポーンと25年ほど経たころでおました。
 当時、まだ健在だった大阪・道頓堀の朝日座で東宝現代劇の「新編たぬき」を観た時でおます。夜の部が終わって道頓堀から堺筋へ出ると、堺筋に面した朝日座の楽屋口から、ついさっきまで舞台のラストまで出ていた主演女優がタクシーに乗り込もうとしているところでおました。芝居の幕が下りて、まだ10分も経っておりまへん。しかし、素早く舞台化粧を落として着替え、外へ出てきはったんでしょうね。
 「なんと早い……」
 ボクと同じように観劇を済ませたオバサマたちに声をかけられたベルさん、胸元まで上げた手をにこやかに振るとタクシーに乗り込み、夜の堺筋に消えていかはりました。

 あのころ、山田五十鈴はまだまだバリバリの現役女優でおましたんですな。合掌……



 
2011-02-19

東映城のおばさまの退場続く

浦里はるみ110219

 浦里はるみ(あるいは浦里はる美)といっても、現在では知らない人のほうが多いと思いますが、かつて東映時代劇の顔ぶれを飾った女優さんでおます。
 この13日、あっちの世界に引っ越ししました。亨年76。

 顔ぶれを飾ったといっても、並みいる主演スターたちの相手役だったというわけではおません。
 時代劇の女優も現代劇と同じで、主演スターたちの相手役を務める娘役の女優ばかりで成立するわけはなく、母親役やおばあさん役、あるいはちょっと年増の色っぽいお姐さん役など、一篇の映画を構成する娘役以外のいろいろな役に扮した女優さんも登場してはります。

 浦里はるみは、そのちょっと年増の色っぽいお姐さん役を得意とした人でおます。
 多くは芸者であったり、料亭の女将であったり、あるいは女スリ、鉄火肌の姐御、大名や旗本の愛人、画像にあるような娘手踊り一座の座長など、間違っても堅気の商家の妻女や大名の奥方などは演じることのない、昔の分類でいえばヴァンプ(妖婦)型の女優さんでおました。

 

続きを読む

2011-01-31

東映城のおばさまも引っ越した

はだか大名110131


 先日、池田敏春監督が三重県の伊勢で入水自殺したことが新聞に報じられましたが、それより早くメールで教えてくれた友人が、その数日前、「夕刊に出てるでぇ」と知らせてくれたのが、花柳小菊の訃報でおました。
 この友人、何も映画監督や俳優の訃報があるたびに知らせてくれているわけでもおませんが、確か、彼は花柳小菊をリアルタイムで知らない世代なのに…。まぁ、映画に詳しい人やから、彼のアンテナに引っかかったのでおましょう。

 花柳小菊、といっても、ある一定の世代以外、享年89とあっては随分以前に姿を見せなくなっていたから、今ではほとんど知られていませんよね。ボクにしたって、この女優さんの現役時代のほとんど後半しか知りません。
 その後半に当たるのが東映時代劇全盛のころで、あっちの時代劇、こっちの時代劇に色っぽい芸者や女スリ、三味線か踊りのお師匠さんなどに扮して出てはりましたが、子どもの目には、いつ見ても「おばさん」にしか見えなかった女優さんでおました。

続きを読む

2010-07-28

東映城のお姉さんも旅立った

長谷川裕見子


 勝気そうな顔立ちにちょっと魅かれるものがあった70~80年代の女優、早乙女愛の訃報(51歳)が伝えられた日の翌日(27日)、東映城のお姉さんだった長谷川裕見子もあちらの世界に行ってしまいました。
 かつての東映時代劇に花を添えていた女優さんでは、昨年11月に引っ越した千原しのぶに続いて2人目でおます。ともに肺がんが死因とは偶然でおますね。

 長谷川裕見子。今、テレビの2時間ドラマでほんわかした探偵や刑事、警備員などを演じている船越英一郎のお母さん、同じようにほんわかした役どころを得意とした故・船越英二の奥さんで、今なお代表的な美形俳優とされる長谷川一夫の姪でおます。

続きを読む

2009-12-22

東映城のお姫様が旅立った

千原しのぶ



 わがブログとリンクしている背寒さんのブログ「錦之助ざんまい」を久しぶりに訪れると、千原しのぶさんの訃報が報じられていました。

 思わず、「ええっ!?」がボクの正直な反応でおました。

 かつて全盛を誇った東映時代劇の名花の一人でおます。
 東映城の初代お姫様の一人(この時のお仲間は高千穂ひづる、田代百合子のご両人)。
 
 それまでの東映時代劇で片岡千恵蔵や市川右太衛門、中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介などの主演スターの相手役をしていた女優さんたちに新たに加わり、演技経験のない素人から東映時代劇のスター女優になった第一号の女優さんでおます。

続きを読む

プロフィール

青山彰吾

Author:青山彰吾
 日本映画を中心にしたコーナーです。
 ただし、取り上げる映画は偏っています^^
 
 

最近はこんなんです^^
ゲストのひと言
テーマ紹介
FC2カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

在庫の記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。